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発行日時
2021-1-8 9:42
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厳冬期南日高単独行(中ノ岳〜神威岳〜ソエマツ岳〜ピリカヌプリ〜春別山)
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厳冬期南日高単独行(中ノ岳〜神威岳〜ソエマツ岳〜ピリカヌプリ〜春別山)(積雪期ピークハント/縦走/日高山脈)日程:2020-12-29〜2021-01-06メンバー: nrtk7写真:Ω4と神威岳。神威岳ピーク!これから歩く山々。靴幅リッジ。夕焼けのソエマツピリカ。Ω8から朝日。Ω5、6とソエマツ。靴幅山手前の荒々しい岩稜。Ω3.初日の出と神威岳。ポンソエマツ直登の氷瀑。Ω2より朝焼け燃ゆるペテガリ。ソエマツ沢林道からいいものを発見。でもアプローチをどうするか…。Ω8とピリカ。これから歩く稜線。小八剣カンバジャングルとソエマツ。今山行で唯一アイゼンにしたところ。ニシュオマナイ岳北面の氷瀑。Ω7とピリカ。ソエマツとピリカ。スノーシューBSで慎重に下った。ソエマツ西峰より神威岳。神威岳に沈む夕日。ソエマツ岳東峰より南望。春別山より神威岳とソエマツ。ピリカ北西面の氷瀑。カメラとスマホの電源落ちて撮れなかったがこの下にも50m以上の氷瀑を確認できた。トータルで100mは越えるだろう。狙いどころか?中ノ岳感想:絶賛無職の僕は、わざわざ年末年始に山に出かけなくても、いつでも山に行くことができる。それでも、年末年始は山にいたい。そして、一番好きな、日高の山の中で眠りたい。そう思って、今回はまだトレースのしていない中ノ岳〜ピリカの稜線を独りで歩くことにした。イグルーには絶対な自信があったので、余計な荷物となるテントは持っていかなかった。12/29 曇時々雪 林道ゲート(400)神威山荘(730-745)・1125(1500)=Ω1入山しようとしたら目出帽忘れに気づく。つくづく自分が嫌になる。浦河まで戻りホーマックで購入して山用にカスタマイズし、林道ゲートでC0。現役のフリードと竹内のキックスが停まっておりニッコリ。中ノ岳肩まで上がってしまうつもりでラテルネつけて林道歩き。尾根は最初はブル道や人工林の合間を縫って登り、Co600-800は藪漕ぎ。Co900辺りからは藪の上に乗った新雪の膝〜腿ラッセルで、なんでこんな罰ゲームみたいなことをしているのだろうと悲しい気持ちになった。Co1125でかろうじて掘れそうだったのでイグルー作って沈。雑な造り、制作1h。12/30 曇→晴→雪 Ω1(800)・1445(1400)=Ω2前日疲れたのでゆっくり起きる。中ノ岳肩まではすぐでしょうと気楽に考えていたが、ラッセル膝〜腿で全く進まない。耐えかねて空身にしてラッセルする。・1445手前は胸ラッセル。発狂。・1445で力尽き、イグルー。100点満点中20点。今日はたった1kmしか進めず、コンタもわずか300mしか稼げなかった。中ノ岳肩までの稜線もやばそう。今年は雪の状態は最悪である。12/31 快晴 Ω2(630)中ノ岳肩(900)中ノ岳(930)小八剣の南最低コル手前(1200)=Ω3朝焼け燃ゆるペテガリとこれから歩く中ノ岳〜神威岳の稜線を臨みながら出発。中ノ岳肩までの稜線は予想に反して比較的歩きやすく、意外といいペースで進めた。とはいえ時折腿以上のラッセルは出てきた。イグルー快適に作れると踏んでいた肩は藪が飛び出しており厳しそう。片手をピッケルに持ち替えて肩にザックデポして中ノ岳を空身でポン。いい天気。ここから稜線は概ね足はスノーシュー、手は片手ストック、片手ピッケルで進んだ。肩からしばらく下ると・1372あたりに細い岩稜、通称小八剣。登りはスノーシューでギリいけたが、下りとその先の岩稜は少し怖いのでアイゼンにした。細いところが終わると腰あたりまでズボズボでやばいので再びスノーシュー。適当に降りて、Co1280に快適に掘れそうなところがあったので少し早いがイグルー作って泊。年末RIZINの堀口vs朝倉の結果を気にしつつ眠る。1/1 晴 Ω3(800)中間尾根頭(1400)=Ω4新年である。堀口が勝ったようだ。気合を入れて早起きしたが二度寝してしまい結局出発が遅くなった。新年最初に発した言葉は「アホすぎる……」。神威岳までいけるか、いや、行けないだろうな…と思いながら出発。-17℃、気にならない風。さむい。出発してすぐに細めの岩稜のクライムダウン。アイゼンのほうが良さそうだが面倒なのでスノーシューで慎重にバックステップで下った。その先は小ポコがいくつかある細めの稜線。スノーシュー幅ぐらいのところもあった。脛〜腿程度のラッセルだが意外と歩きやすかった。急なポコの登りも日高側の草付きとかにピッケルをブスブス刺して快適に登れた。意外とサクサク進めるなと思っていたら、ニシュオマナイ岳の登りの途中から、剛毛カンバと膝〜腰ラッセルのコンボで一気にペースが落ちる。吠え、叫ぶ。最後は日高側剛毛カンバ斜面をズボズボトラバースでニシュオマナイ岳をネグった。ニシュオマナイ岳からの下りはカリカリで歩きやすかった。時折気になる風。中間尾根頭の少し北にイグルーを掘るためのような吹き溜まりがあったので泊。これまでで最も快適なイグルー。1/2 快晴 Ω4(630)神威岳(1245-1300)靴幅山西Co1400ポコ(1600)=Ω5イグルーから出ると気温-20℃。しかし風がないのでそんなに寒くない。中間尾根頭に上がるところで雪庇が崩壊し落ちかけた。落ちてもすぐ下にカンバ生えていたがビビる。その後は引き続き小ポコのうざい稜線。ラッセルは基本脛〜膝で時折腰までズボる。昨日よりも太いがその分陰毛カンバがかなり鬱陶しい。神威岳の登りは最初の一瞬はカリカリで快適だったが、すぐに埋まりきっていない藪やカンバと、膝〜腰ラッセルになりペースダウン。またも吠え、叫ぶ。Co1540からの最後の登りはカリカリで助かった。何気に神威岳ピークは初。いい天気。神威岳からの下りはカンバジャングルでここを登ることは考えたくない。掘れそうなところを探しながら稜線を進むが、いい感じの吹き溜まりがない。中間2個目のポコ付近は少し細かったが藪出ていてスノーシューで通過できた。Co1350からの登りの手前コルで掘れるかと思っていたがサラサラ積雪40cmの微妙な吹き溜まりしかなく相当頑張らないと無理そう。これは僅かな雪で全イグルー制作4時間コースか…?と思いつつ、僅かな望みをかけてCo1400ポコまで偵察に出かけると、そこには超絶快適な吹き溜まりが。思わず雄叫びを上げた。無駄に広いイグルーになってしまい制作に時間かかった。1/3 晴 Ω5=Ω6普通に行動できる天気だったが、今後3日も好天が見込め、次は一気に快適に掘れるという・1529南東コルまで進めたいことと、連日の行動の疲労が溜まっていて今日は一気にそこまで動ける気がしないことから日和って停滞。ああ弱いなあと思いながら惰眠を貪る。山での停滞は極上である。1/4 曇時々晴 Ω6(630)靴幅山(730)ソエマツ岳(1230)・1529南東コル(1440)=Ω7気にならない風、-15℃。テンバから一個ポコを越えると靴幅山への最後の登りとなり、ピーク直前に靴幅リッジ。なるほど、確かに細い。細いが登り基調なのでスノーシューのまま慎重に通過。3、4歩緊張した。逆再生だったらアイゼンにしていただろう。靴幅山から下りる途中、ポンソエマツ直登沢が巨大な氷瀑となっているのを目撃。これは……。ソエマツ西峰肩の登りは岩が出ていて捲くと腰辺りまでズボるので鬱陶しかった。ソエマツピーク踏んで南下。ピーク付近から時折気になる風。ポコの間に岩稜と雪壁があったがスノーシューでいけた。ソエマツ沢からの吹き上げが強いのか、カリカリで歩きやすかった。・1529をネグり気味に通過して下りたところの吹き溜まりでΩ7。1/5 晴 Ω7(650)ピリカ(1000-1020)春別山東2個目のポコ(1430)=Ω8イグルーから出ると普通に風が強い。こんな風でも全く気にならずに泊まれるイグルーはやはり素晴らしい。-17℃、気にならない風〜気になる風。なかなかシビア。おまけに稜線は昨日よりもズボる。ボルダーなども出てきていつもは岩を見ると訳もなくテンションが上がるが、今回は日高側を巻くとカリカリで歩きやすいが切れていて危険なうえ爆風、十勝側を巻くと吹き溜まりで腰ラッセルという地獄。適宜どちらかの地獄を選択していく。ピリカ北西面が魅力的な氷瀑となっている。こ、これは……。ピリカの登りが始まる直前で休憩していると、ピリカの肩で殺人的な風が吹いているのが見える&聞こえる。とても行きたくない。しかし行くしかない。肩への登りはカリカリで歩きやすかった。しかし常時気になる風で無心で登る。肩へ上がる直前に急に風が弱まり、肩で無風となった。祝福である。ザック置いてピークへ空身でポン。ピリカからは日高のほとんどの山が見渡せた。日高の稜線はもう何回も見ているが、今日は格別に美しく感じた。しばらくぼーっと景色を眺めてから下りる。肩から西に伸びる尾根を下り、春別山を目指す。少し下りると無風。コルまでは例のごとくズボズボ&カンバ密林で酷い尾根。春別山の登りは地獄だなと思っていたらこの尾根はソエマツ沢からの吹き上げが強いらしく、雪庇が発達しており雪が締まって歩きやすい。一部急登で首ラッセルがあったが、それ以外は快適に登れた。振り返ると神威ソエマツピリカが目の前に広がっており、予想に反してなかなかいい尾根かもしれない。春別山の東2個目のポコでピリカを眺めながらΩ8。1/6 快晴 Ω8(915)春別山(1030)林道(1345)車(1715)ゆっくり起きてゆっくり出発。僕のような怠け者は単独だとついのんびりしてしまう。脛〜膝ラッセルでポコいくつか越えて春別山最高点まで。春別山からは神威ソエマツピリカが綺麗に一望できる。南日三山を見るには最高の展望台だろう。あとは下るだけと思いきや、平坦地や小ポコの脛〜膝ラッセルがじわじわと体力を削ってくる。Co1000あたりの尾根が不明瞭になって急斜になるところはほとんど藪にうっすら雪が乗っているアレ。最初はスノーシューストックのまま突入するがうざすぎるのでどちらもしまって藪漕ぎ体制で下る。が、雪で滑って歩きにくいので最終的に藪(と雪の下に埋まっている倒木)で制動しながらのデンジャラス滑り台で沢まで滑り降りた。もう二度とやりたくない。沢を少し歩いて林道に乗り、あとは無心で林道歩いて車まで。ソエマツ沢側壁に上物マルチピッチアイスいくつかあり。ただしアプローチに難あり。9日間、人に会わないで過ごしたのは人生で最長だった。入山前は日を経るごとに内省的な世界に嵌っていくのかと思ったが、毎日が(主にラッセル)地獄過ぎてそんな余裕すらなかった。自分はまだまだ弱い。6日目の停滞がまさにそれだ。今回は行動できる天気がずっと続いたからこうやって甘えることができたが、これが微妙な天気の間隙を突いていくような山行だったらどうなっていたのだろう。山行は無事貫徹できたが、自分の胸に残ったのは達成感というより、自分に残る課題点の多さと、自分という人間に対する自己嫌悪だった。
 
 
 
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