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発行日時
2022-2-22 1:26
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知床アイスクライミング(ヨコウシペツの滝、ウンメーンの滝、知床大橋の滝)
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知床アイスクライミング(ヨコウシペツの滝、ウンメーンの滝、知床大橋の滝)(アイスクライミング/道東・知床)日程:2022-02-13〜2022-02-17メンバー: hazuki2012r nrtk7写真:強くなって出直したい。こいつは俺の獲物だ。気になっていた硫黄川の滝マークは滝ではあるがお湯が流れているので凍っていなかった。こいつはプロジェクト。2p目は表面グズグズの所々垂直。1p40mで木まで。いい天気海岸に戻る。2p目フォローヨコウシペツ(硫黄川)は温泉が流れているので水温高く水面の上は結氷せず川は氷のゴルジュ状となる。2日目はヨコウシペツの滝(2021年板橋氏西田氏初登)温泉。準備流氷でオンザロック。記念写真振り返ると流氷のオホーツク海知床大橋の滝。40m。フォロー。隣のウンメーン沢の滝知床大橋にてお宝発見落ち口付近は氷無くスラブや草付きでだましだまし登った。ウンメーン滝、しょぼいが一応登る。たぶん初登。1p目は雪壁トラバースで氷基部イワウペツの滝。これはパス。振り返るといい景色。感想: 去年の知床でのアイスクライミングを計画しているときから、僕はここで未登の氷瀑を登りたいと思っていた。去年は日程的な都合もあり海岸や気になった地形を彷徨うことはできなかったが、知床五湖にある大氷瀑Kei's Giftと、おそらく未登と思われるフレペの滝を登ることができた。それと入れ違うようにして北稜の板橋氏と西田氏が知床の海岸を彷徨い、いくつかの氷瀑を発見・初登した。その報告を聞いた日から、僕の心にはずっと、知床の未登氷瀑への憧れが渦巻いていた。 今年はずっと2月に知床に行くと決めていた。硫黄川(ヨコウシペツ)に連なる滝マークが気になるのでそこを中心に見て回ることにした。今回は船乗りとなって現在下船して長期休暇中の先輩、羽月さんと行くことになった。2/12 道東に用事のあった成田が上ホロで登っていた羽月さんを網走駅でピックアップ。お久しぶりです、と言いたいところだが実は2週間前ぐらいに秀岳荘でたまたま会っていた。知床付近の適当なところでC0。2/13 知床自然センターで装備を準備し、岩尾別ゲートに車停めて9時ごろ出発。出発前はよく調べていなかったが、ここから知床大橋まで16kmである。2人ともなめて軽量化とか全く考えていなかったのでザックはくそ重い。量っていないが多分40kg近くあった。知床五湖までは除雪入っておりスタスタ歩く。そこからはラッセル。ラッセルは脛程度で大したことはないが荷物が重く、荷物と微妙なラッセルがボディーブローのようにじわじわと効いてくる。雪も降ってきて早くもテンションダダ下がり。途中通過する沢は全部ドバドバで全く凍っている気配は無い。崖から染み出しているチョロチョロですら凍っておらず、不安になる。こんな重荷でこんなに歩いてあるかもわからない未登氷瀑を探しに行くとかコスパ最悪だな……とか思いながら歩く。だんだん海岸と流氷が見えてくると少しずつテンションが上がる。なんとかがんばって7時間程歩くと知床大橋から硫黄川上流側壁に美しい氷瀑が。テンションが一気にぶち上がる。とりあえすこいつは帰りに登ることにして、まずは去年から気になっていたが板橋氏西田氏に登られてしまったヨコウシペツの滝を登るべく海岸に下りる。硫黄川とウンメーン沢の間の尾根から沢型を滑り下りて海岸に着いたのは17時。岩のそばにテント張ってC1。2/14 ヨコウシペツの滝へ向かう。去年の板橋さんたちのときは滝の中心は完全に水が流れていたが、今回は上部はつながっていた。下部は結氷いまいちなので適当に右岸側壁の雪壁を登り、木でアンカーとって登攀開始。1p目は羽月さんリードで30m程ロープ伸ばして雪壁トラバースで滝の青氷パートの基部まで。2p目は成田リード、表面10cmぐらいがグズグズの所々垂直の氷を50m程で滝の落ち口へ。いつぞやの利尻や、天人峡の氷での経験が活きた気がする。木までは届きそうになかったので氷でビレー。アバラコフロープ直通しで下降。時間余ったので海岸を歩いてウブシノッタ川河口まで滝の探査に行く。去年の板橋さん達のときは結氷悪かったらしいが、今回なら……。結果的に登れなくはないものもいくつかあったが、登る価値を感じられるものは無かった。でも、流氷やオオワシが自由気ままに漂う知床の海岸を歩くのはそれだけで充実感があった。C1に戻ってC2。憧れの流氷でウイスキーオンザロック。2/15 ヨコウシペツ隣のウンメーン沢の氷瀑は小さいが近いので折角なので登ることにした。羽月さんリードで氷15m+雪の乗った緩い氷ラッセル15mで木まで。一応初登ゲット。テンバ撤収して来た道を登り返して林道に上がる。知床大橋に戻り、初日に見つけたお宝を登ることにする。知床大橋に泊まり装備をデポし、大橋から適当に斜面を降りて沢に。お目当てのお宝の下部は急な雪田なので脇の安全そうな斜面を選んで氷の基部まで。1ピッチで行けそうなスケールなので成田リードで取り付く。5m垂直+3m70°グズグズ氷+5m垂直+15m垂直+7m80°氷柱+5m極めて薄い垂直氷の合計40mで木まで。15m垂直パートは凹角状を行けば楽そうだったが水ボタボタだったのでカンテ状を行ったら不通に難しかった。最後の5m垂直はスクリューの決まらない厚さで痺れた。落ち口は氷は消滅し、スラブと微妙な草付きとなったのでランナウト状態で微妙なクライミングとなった。何とか木まで行って無事完登。アプローチ遠すぎだがいい氷だと思う。懸垂で下りて大橋へ登り返してC3。2/16 メインであった硫黄川の滝マークを見に行く。が、どうやらこの川は温泉となっていて水が温かくて中々凍らないようだ。この川の海岸付近で落ち込んでいる先日登ったヨコウシペツの滝は、下流であるが故に雪などが溶け込んで水温が下がりギリギリ凍っているようだ。滝マークの滝はそれなりに大きかったが、やはり凍っておらず、収穫は無かった。だが、無いと言う事を確かめるのも重要だ、と自分を納得させた。もうこの付近に用は無いので道路を再び戻って岩尾別ゲートまで。2/17 去年登ったフレペの滝の裏側に男の涙という崖の途中から流れ出している滝がある。これを登ろうと出発する。氷はあれば登れる自信があるが、上部で氷が途切れた後が登攀可能なのか不明だ。対岸から眺めてから懸垂で下降。壁のスケールは120mくらいだろうか。意外とでかい。上部の氷がないセクションは降りながらいけそうだと確信した。だが、大丈夫だと思っていた下部の氷を見て戦慄した。ハングしたツララの集合体、そして覆いかぶさる傘の連続。これは今の僕の手に負えない。そう瞬間的に直感した。ここまで戦意喪失したのは初めてかもしれない。後から下りてきた羽月さんにその旨を伝え、ビヨンビヨンダイナミックロープユマーリングでヒイヒイいいながら安全地帯に戻る。ユマーリング中観光客にガン見されていた。登らずして敵前逃亡。結果としてはこうなったが。これを書いている今もあの滝のことを考えて心を震わせている。あいつは俺の獲物だ。強くなって絶対に登ってやる。
 
 
 
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