山の会昔語り・ 2006年6月26日 (月)
山の会昔語りー(9)
合宿の食料問題解決
北大山の会東京支部・木村俊郎(1950年入部)
北大山の会東京支部・木村俊郎(1950年入部)
勝岳荘をベースヒュッテにして行われる冬山合宿はたまに晴れれば十勝岳、上ホロカメットクは言うにおよばず、富良野岳、オプタケシケ方面まで足を伸ばせたが、風雪の日は物凄かった。
泥流スロープを吹き下ろす風は南極のブリザードを思はせるもので、国内の山ではこの辺りでしか体験できないものだと思う。
合宿は初班、二年班、三年班に分かれ、五名くらいのメンバーで三年部員位が一人入ってリーダーを務める。初班は本州出身者が主体で、スキーの着脱から始めて山スキーの手ほどき、三年班は稜線でキャンプなどもあるが、この班はできず、先輩班ができることもある。
二年班の数が多く、それぞれ前日に計画を打ち合わせ登頂を目指す。しかし多くの場合、森林帯を抜けたとたん、風雪で束の間に口まで凍えて暖かい所に戻っても口はまともに動かなくなってしまう。こんな日には樹林帯に引き返してスキーの練習となる。シールを着けたスキーでそのまま昇ったり滑ったり。スキーを下駄のように履いていたドサンコは数回で飽きてしまい、まことにつまらなく長い一日となる。
早めにヒュッテ前に戻ると合宿幹事が雪かきを振ってヒュッテに入るのを阻止するという噂もあった。そのうち、樹木の間で円陣になって歌など歌っている内に出てくるのが先輩の昔語りである。
ある年の合宿で珍しく、おかずに天ぷらが出たという。一番先に手をつけたXさんが
「まあいける」
と言って食べたそうだ。
この天ぷらを作った炊事担当は欣喜して
「これで合宿の食料問題は解決だ!」
とばかりに手を叩いたそうである。
実は、この天ぷらの材料は兎の糞だったというのである。
ここで残念ながら蛇足をつけねばならぬのは野兎などは、とんと見かけぬ昨今だからである。
野兎の冬の食べ物はせいぜい木の皮ぐらい。したがって、糞といってもそれは広葉樹の枯れ葉を固くつぶしたようなもの。牛糞、馬糞、ましてや犬のもののように不潔なものではないことは確かである。
泥流スロープを吹き下ろす風は南極のブリザードを思はせるもので、国内の山ではこの辺りでしか体験できないものだと思う。
合宿は初班、二年班、三年班に分かれ、五名くらいのメンバーで三年部員位が一人入ってリーダーを務める。初班は本州出身者が主体で、スキーの着脱から始めて山スキーの手ほどき、三年班は稜線でキャンプなどもあるが、この班はできず、先輩班ができることもある。
二年班の数が多く、それぞれ前日に計画を打ち合わせ登頂を目指す。しかし多くの場合、森林帯を抜けたとたん、風雪で束の間に口まで凍えて暖かい所に戻っても口はまともに動かなくなってしまう。こんな日には樹林帯に引き返してスキーの練習となる。シールを着けたスキーでそのまま昇ったり滑ったり。スキーを下駄のように履いていたドサンコは数回で飽きてしまい、まことにつまらなく長い一日となる。
早めにヒュッテ前に戻ると合宿幹事が雪かきを振ってヒュッテに入るのを阻止するという噂もあった。そのうち、樹木の間で円陣になって歌など歌っている内に出てくるのが先輩の昔語りである。
ある年の合宿で珍しく、おかずに天ぷらが出たという。一番先に手をつけたXさんが
「まあいける」
と言って食べたそうだ。
この天ぷらを作った炊事担当は欣喜して
「これで合宿の食料問題は解決だ!」
とばかりに手を叩いたそうである。
実は、この天ぷらの材料は兎の糞だったというのである。
ここで残念ながら蛇足をつけねばならぬのは野兎などは、とんと見かけぬ昨今だからである。
野兎の冬の食べ物はせいぜい木の皮ぐらい。したがって、糞といってもそれは広葉樹の枯れ葉を固くつぶしたようなもの。牛糞、馬糞、ましてや犬のもののように不潔なものではないことは確かである。
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