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OBの山行記録・ 2008年2月12日 (火)

【道南】乙部岳(1017m)東面直登尾根(初登)/米山84

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【ルート】乙部岳東尾根往復
【年月日】2008.2.10-11
【メンバ】米山悟(84年入部)、斉藤清克(87年入部)
【時間】
2月10日:清水沢林道始まり(11:40)→岳の沢二股(14:00)→東尾根末端附近C1(15:00)
2月11日:C1(7:10)→山頂(11:30-40)→C1(13:10-40)→林道入り口(15:45)



乙部岳は道南で指折りの千m峰で、風格もあるよい山だが山頂に雨量計レーダーが立っていて、夏はそこまで車道まである野暮な山だ。夏道のある西面とは反対の東面(厚沢部側)は急傾斜で切れ落ち、乙部岳の最も美しい肖像だと思う。この東面を山頂に直接突き上げる東尾根を、末端からアタックした。おそらく初登。

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道南の秘峰発掘家の坂口、長谷川氏に乙部岳東面の格好いい写真をみせてもらい、乙部はここから登るのが筋だ、と考えた。尾根末端までは道道から8キロほどの林道。広い谷の奥に乙部東面が屏風のように見える様は、十勝三股から見た石狩岳のようだ。



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意外に長い林道のラッセルに飽きた頃、尾根末端への二股。早めに清水沢本流に降り徒渉などしてみたが、ここは早まらずに本流二股の少し先まで行けば支流左岸への渡渉一回で済んだ。なんやかやで一時間ほど費やして尾根末端の第二の二股に辿り着く。雪が少ないので、イグルーは諦め、ツエルトを張ってタンネの葉の布団を敷き詰める。気温は氷点下5度ほどで暖かく、焚き火も快調なので夜更かしした。



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翌朝はスノーシューで急傾斜の藪尾根を登る。スキーはシールも利かなそうな雪なのでC1に置いていく。スノーシューを履くのは今回が初めて。この尾根は雪の少ない道南によくあるタイプでスキーではちょっと苦労するかんじだ。下りは滑れないし、登りも足下が崩れる急な斜面。標高700のポコ手前が特に傾斜有り、苦闘する。



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ポコを超え、700mのコル辺りになると、それまでガスっていた空が広くなり、視界が無限遠になる。ヒマラヤ襞のように見えた東面の全景が見え、細い雪稜や高度感ある両脇斜面が姿を見せた。後ろには道南の怪峰、狗神岳も見えた。山頂への最後の急な雪壁も、スノーシューを脱げばひどいラッセルになりそうなのでそのまま登頂。なんと最後までアイゼンピッケル無用だった。



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下りは滑ると恐ろしい高度感なので、700mのコルまではスノーシューをはずして下る。視界はガスにまかれ、雪も降ってきた。細い所を過ぎると尻セード多用し2時間弱でC1に戻る。帰りの林道は時々滑るが基本的には黙々とスキー歩行で帰る。


おそらく未踏のルートから、本来良き山の乙部岳を登れて満足。未踏には未踏の理由がある。林道は長く、尾根の下半分は快適ではない。誰にでも勧める登路ではないが、人造物の載せられた不憫な乙部岳に本来の敬意を捧げたい人には強く推薦するルート。以前、人造物だらけながら名山の伊吹山(近江、美濃国境)でもこんなルートを見つけ出して礼儀正しく登った事がある。

名湯・銀婚湯で湯浴みして八雲の「きりん」でおいしい塩ラーメンや醤油ラーメンを食べて、解散。
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