6.アールベルクスキー術 高橋次郎(たかはしじろう)/1929/博文社/410頁
高橋次郎(?ー1951)
小樽高商スキー部員として活躍した。1920(大正9)年の北大主催の第1回全道中学校駅伝競走で樽商が優勝しているが、その時高橋は主将である。翌年、小樽スキークラブ創立に参画する。日本のスキー術を一つにまとめるためにその強い意志と実行力を発揮した。特にシュナイダーの指導法の研究をし、アールベルクスキー術の権威であった。その後の理論も纏めて、1947(昭和22)年に「スキー回転技術」を公刊している。1939(昭和14)年、全日本スキー連盟の第2代技術委員長になり、同年山形県五色温泉で行われた「第1回指導員検定講習会」では主任講師を務める。1936(昭和11)年、ガルミッシュ・パルテンキルヘンでのオリンピックでは監督として参加した。戦後は全日本スキー連盟の副会長を務めた。(「スキー技術の歴史と系統」中浦皓至/1991/北大図書刊行会より抜粋)
内容
年配者にはオーストリアの天才スキーヤー、ハンネス・シュナイダーの映画「スキーの驚異」でおなじみのアールベルグスキー術の教科書であり、スキー理論に関する単行本としては初期のものである。高橋は序で、 「近年、我が国にも、その(註:映画“驚異のスキー”)外形的模倣が行われている。然し、私の見た範囲では、その本質を会得して居ない人が多いようである。そこで、吾々はそれを正しく導くの必要を感じる」ので、本書を著したとしている。
内容は装備からジャンプを含むスキー術全般を詳細に解説しているが、写真や図が少ないこともあり、文字を追って内容を理解するのは相当に苦労である。アールベルグスキー術が確立するまでの背景や技術論を知る上では貴重な歴史的資料であるが、多くの読みやすい技術書が刊行されている現在では一般向きではないかもしれない。
山岳館所有の関連蔵書
記念 代表大野精七/1926/北大スキー部
アールベルヒ派研究の補遺 水野祥太郎/1928/岳1号別刷
雪の王者シュナイダーは語る 坂部護郎/1932/三省堂
登山スキー術の手引き 北大山岳部/1933/北大山岳部
スキー技術の歴史と系統−ターンへの挑戦 中浦皓至/1991/北大図書刊行会
日本のスキー・もう一つの源流 中浦皓至/1999/北大図書刊行会
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黒部渓谷/冠松次郎/1928 |
屋上登攀者/藤木九三/1929 |