ログイン   :: お問い合せ :: サイトマップ :: 新着情報 :: おしらせ :: 
 
 
メニュー
次

16.上越国境 角田吉夫(つのだよしお)/1931/大村書店/337頁


Highslide JS
函と表紙
函と表紙
Highslide JS
利根川水源の写真と上流地図
利根川水源の写真と上流地図


角田吉夫(1907- ?)
 東京に生まれる。法政大学英法科卒業、在学中は同大山岳部創立メンバーとして活躍し、南北アルプス、奥秩父、北海道の山々に登った。1925(大正14)年7月、槍・穂高縦走、1927年3月、乗倉岳、1928(昭和3)年3月、穴毛谷により笠ヶ岳、6月、塩見岳より三峰川下降、8月、石狩岳より石狩川下降、1929(昭和4)年1月、仙ノ倉山。特に力を入れたのが上信越にまたがる山域で、この地域の積雪期パイオニアとして知られる。著書「上越国境」は、この地方の最初の山岳案内書である。日本山岳会「山日記」の編集に尽力する。日本山岳会名誉会員。

内容
 東は尾瀬から西は苗場山に至る群馬県、新潟県国境とその付近の山と谷についての詳細な「案内編」と「紀行編(1),(2)」からなる。長大な山域の研究を1冊にまとめたパイオニアワークの結晶である。田部重治は「序」で、 「君は凝り性である。一たび事に従事すれば、そのことに徹しなければ止まない性を持っている。スキー登山に於ても、岩登りに於ても、山岳写真に於ても、君は決して人後に落ちるものではない。・・・・・恐らくこの書は今迄に公にされた上越国境を物語るものの内最も優れたものである。」

 案内編「利根川の上流について」では利根川上流の地形、文献、過去の二つの水源探検隊の行動を研究し、紀行編「利根川水源」で大水上山から5日をかけて宝川温泉まで下って先の研究を実証している。現在は奥利根湖の底となってしまった小穂口澤付近の景況について、
「廊下は水長澤の近くで漸く終わっている。緑の山毛欅が一段とさえる。左岸より水長澤は静かに合流している。広い谷、緩やかな流れは此処に至って初めて大利根の洋々たる下流の雄大さを眼前に彷彿せしめるものである。」
 歴史にしばしば登場する三国峠は、現在は国道17号線(三国トンネル)で簡単に通過できるが、角田の頃の峠の様子について次のように述べている。
「(越後側より)峠に至る途中1012.5mの水準最高点の記号の付近にお助け小屋があるが今は廃朽して宿泊は出来ない。峠には大きな鳥居と三国権現の社殿があり、四、五人を容る避難所ともなる。」

 挿入されている多くの写真が、いずれも素晴らしい。随所に適切な案内図、巻末に詳細な参考文献目録、地名索引が付されている。

山岳館所有の関連蔵書
上越国境(日本山岳写真叢書)/塚本閣治/1946/山と渓谷社
上越国境の山々 日本山岳風土記4/代表編集長尾宏也/1959/宝文堂
 
Tweet| |

次
銀嶺に輝く・剣沢に逝ける人々/東京帝大スキー山岳部
 
 
Copyright © 1996-2024 Academic Alpine Club of Hokkaido