ブニ・ゾム山群はパキスタン、チトラル地方の北東に位置し、マストゥジ川とラスプール川に囲まれた山群で広義のヒンズークシュ山脈の一山塊を構成している。本山塊は6551mのブニ-ゾム主峰を盟主に、北にブニ-ゾム北峰(6338m)、南に南峰(6220m)その他10座の6000m峰を擁する独立した山群と考えてよい。ちなみに主峰は麓の村や谷筋、峠のアプローチからでは姿を現さず、南側の氷河を奥深くつめて行かないと見えない。周囲を6000m級の自然の城塞がとり囲んでいるというわけだ。一方、チトラルからギルギットを結ぶ道は古くからシャンドゥール街道として知られていた為に、ヒンズークシュ山脈の登山史上で早くからこの山域は探られていた。主峰は1938年イギリスのJ. フィンチ、'40年M. ホワイトが試登。'57年ニュージーランドのW. ベリーが初登頂。'75年日本のベルニナ隊が南壁から第2登している。北峰は'65年オーストリア隊が初登後、'71年日本の富山雄山高校OB隊が第2登している。'71年には日本隊が滑落、遭難事故を起こしている。
主峰へのルートとしてはいろいろとられているが、東面のゴールドハン氷河側は雪、岩壁の状態が悪く、西面のコーラボルト氷河側はまず、約500mのクラクマリの滝を越えなければならない。さらにその上部は1000m以上ある西壁となって突き上げている。また北面ブニ・ゴルからは脆い断崖と北峰を越える必要がある。そのため多くの隊がこれらに労力を費やし、また阻まれ主峰を断念している。
参考- 主峰の位置 [36゜09'N, 72°19'E]
- コンサイス外国山名辞典, 三省堂
- 世界山岳地図集成カラコルム編,学研, 1978
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