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92カムチャツカ第二次遠征 »

山域概説

植田勇人


 カムチャツカ半島は北海道東端から北東にのびる千島列島がユーラシア大陸に合する北緯52〜58度に位置する.中央部にカラマツタイガ,山岳地と北部に広くツンドラが分布する他は白樺の森林に覆われた半島である.
 図ー1に示すとおり,スレディニー山脈(中央山脈)とヴァストチニー山脈(東山脈)が中央部の低地帯によって隔てられて,北東−南西方向に並走している.ヴァストチニー山脈は主として非火山性で氷河地形を多く残した痩せた山稜よりなり1500m〜2000m程の高さの山々が連なる.スレディニー山脈北部・中部は多くの火山よりなり,今回登頂したイチンスカヤ・ソプカ(3621m)を除いては,2000m〜2500mの高さの山々が溶岩台地の上にそびえている.スレディニー山脈南部は殆どが非火山性で2000m前後のかつて氷河に削られた山々が広大な地域に分布している.今回登頂したハンガール(2000m)等一部に火山が見られる.半島東部ではヴァストチニー山脈と斜交して多くの火山が列をなしており,半島最高峰のクリュチェフスカヤ・ソプカ(4750m)等,3000mを越える半島屈指の高峰が見られる.



 イチンスカヤ・ソプカは円錐形の火山で,北面にはカルデラが見られ,中に溜まった氷河が縁から周囲に流れ出している.南・東西面は比較的起伏に乏しい斜面よりなり,頂上周辺および大きな谷には小規模な氷河が見られる.頂上は,北峰・中央峰・南峰に別れている(図ー2).
ハンガールは直径2kmの小規模なカルデラをもつ火山で,カルデラの底は湖となっている.痩せ尾根よりなる外輪山の東端に最高点(2000m)がある(図ー3).





 
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