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切り抜き詳細

発行日時
2023-1-16 22:17
見出し
北大山岳部の現役とイグルーセッション?
リンクURL
https://igloosky.com/2023/01/16/igloo-session-with-aach/ 北大山岳部の現役とイグルーセッション?への外部リンク
記事詳細

イグルーのふるさと北大山岳部へ

私は、昭和63年の1月にペテガリ山頂にイグルーをぶっ建てたのが始まりで、それ以来イグルー愛好家をしています。北大山岳部の冬季メイン山行でした。そもそも戦中昭和18年の冬季ペテガリ初登頂はイグルーがあって成し得たものでした。

日本のイグルーのふるさとは北大です。その後、部報にイグルー研究の一章を載せたりして、北大山岳部ではイグルー技術は続いていました。でもまだテントフリーではないとのこと。イグルーが続いてはいてもまだ製作に2時間かかるのでは、テントフリーにはできません。1時間以内にできないと。

冬季山行の必修テクニックの一つに

北大山岳部がテントと永遠にサヨナラできる、1時間以内でできるように、僭越ながらイグルスキーが40年磨いた最新技術を伝授しに、札幌に乗り込みました。

年に一度の恒例行事「ビヴァーク訓練」です。正月の長期山行が終わったこの時期に、「テントなし、ストーブなし、晩飯抜き、寝袋なし」で各自で一晩なんとか耐えるという実践「虎の穴」トレーニングです。山中で一人で孤立しても朝まで粘る経験です。その他、弱層テスト練習、雪崩埋没体験、ビーコン救出訓練、滑落停止ビレイ訓練など、雪山訓練定食も盛り込んでいます。全部こなした最後、日が暮れかかった時間帯に、イグルーを作り始めました。ううっ、いつものイグルスキー講習会と違う切迫の展開。

九州の天山山麓出身の一年生。人生初イグルーです。イグルー作りはホント楽しいのです。

イグルスキー最新テクをお伝え

イグルー作りは一年生以外は皆ほとんどやっていました。ノコとスコップでブロックを切って積む事自体はみな慣れているので、基本はOKです。ただ、最近イグルスキーがたどり着いた、「長方形井桁積み法」と、「下二段横三角柱切り出し法」を伝授しました。サイコロ状ブロックよりも、速く作ることができます。テントフリーの域には、製作一時間を切らなくては実用になりません。だからこれを伝えたかった。それから、今回は単身ワンルーム術なので、小さいやつを作るのに特化しました。

今回はサイコロブロックから(立方体ブロックだけだと積むのに時間がかかる)の脱却が課題。「長方形井桁積み法」に不可欠の長細い三角柱イグルー術を伝授。さっそくバンバン積んでいますよ。寒いのヤだからホンキです。

イグルー作っている方があったかいワ!

寝袋無しビヴァークの辛い夜なので、夜更けまで皆イグルー作りを繰り返しました。いくつも作るのが大事なんです。しゃがんでじっとしているより、イグルーを作っているほうが温かいから稽古が進む。これは意外な発見でした。普通日が暮れて暴風雪の中でも宿が無いなんて、かなり壮絶ピンチなんですが、イグルーを作り始めるとすぐ風よけの壁の中に入れるし、結構体を使うので温かいんですよね。うっすら汗かくくらい。

それに今回は寝袋、ストーブなしで寒い夜を過ごすので、隙間を念入りに塞いでいました。「ホンキですよ」とのことでした。3時スタートで9時半まで繰り返し稽古をやってたそうです。スゲえ向上心。イグルスキーは早々にマイイグルーに入って寝袋でひとり酒でした。ほんとは現役とたくさん飲みたかったですが、皆単独訓練なので。

羊蹄山麓出身の新人部員。人生初イグルーの恵迪寮生。黙々と、楽しんで積んでました。

究極のサバイバル技術

翌朝6時、訓練終えてみんなでコーヒー沸かして飲みました。外気温マイナス13℃、イグルー内部は氷点下5℃でした。お疲れ様。寒かったけど、ノコとスコップさえあれば、ザックとマットの上にシュラフカバーと非常用食料、メタ(エスビット)と小鍋だけでお湯作って各自のピンチ食(非常用食料)で過ごします。今回は完全個室なのでトイレも自由。ぴったり入口を締めたらもうサナギの気分、イグルーを出たら生まれ変われます。

ノコギリでエゾマツ、トドマツなど常緑針葉樹の枝を集めて、体の下に敷き詰め、これで雪面からの冷気を遮断します。なんとしても生還する自信を付けます。

北大山岳部は、日本で最高の登山学校だと思いますよ。3つ4つ作れば、もうテントは不要です。天然の雪山に、身も心も同化するような山行をしよう。

きょうはここまで、またね。

https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-21368.html
北海道大学山岳部・山の会 - ペテガリ冬季初登・72年前の今村さんのゲートル  米山悟(1984年入部)
北海道大学山岳部・山の会 Academic Alpine Club of Hokkaido AACH, Sapporo Japan 札幌
 
 
 
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