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発行日時
2024-1-1 12:14
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ペテガリ岳単独東西横断 (東尾根〜西尾根)
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ペテガリ岳単独東西横断 (東尾根〜西尾根)(積雪期ピークハント/縦走/日高山脈)日程:2023-12-27〜2024-01-01メンバー: Nakagawa2019コース状況/その他周辺情報:計画よりだいぶ早く抜けれたので東尾根にしては良い状態だったのかもしれない写真:C3朝。シルエットは早大尾根1483峰。東尾根末端先が思いやられすぎるなんか落ちたゾ最後の最後までこの有様主稜線にガスがかかり始める晴れてきた。神々しい。河原に橋が転がってる風景さっそく壊れてるそういや年男かDay2朝。月明かりで動き出す。西尾根から39やヤオロがよく見えた長靴で渡ったポンヤピークより大樹中札内方面細いゾ元旦。振り返って神威岳。里から山へ。山から里へ。今日も残業気味だったなんとか抜けて東尾根振り返るシルエットになってる山並みのさらに向こうまで歩かないと帰れないという現実、、ポンヤ直下の岩場。写真じゃ伝わらないがゴツい。・1518より早大尾根ようやくペテガリを捉えた。まだ遠い。切れ落ち角が毎回すごい林道で振り返るとペテガリが美しい貸し切りやばい気しかしない最後の方がまた大変とりあえず1枚取り付きは急QOL上がったアイテムポンヤもなかなか見栄えのする山ガソリン補給行くべや東尾根が本気を出してくる夕陽を眺めながら西尾根降るこれでもましなゾーン始まった人情の暖かみうんままあなんとかした主稜線方面。まだ遠い。C1抗いがたい誘惑大炎上ON THE ROADルベツネ東面が凄そうだふう雪庇出てるゾ一日中こんなのと格闘したC2これもましなパターン中島みゆきが沁みるぜなんかもう意味がわからなかった遥かなる山感想:近しい人は察しているだろうが、僕は自分の山登りにそろそろ限界を感じている。山のことしか頭になかった時からすれば考えられない話だが、モチベーションの底が見えてしまった。クライミングは楽しいから今後も長くやっていけるだろうと思う。でも、入山の一歩を踏み出すのにエネルギーを必要とするような山としっかりと向き合えるのはもうあと数回持てばいいくらいだと感じている。OBになったからか、事故ったからか、大事な人ができたからか、、とにかく、僕はそう遠くない将来こういう山はやめる。だけどまだやりたい山がいくつか残っている。うまくいくにせよいかないにせよ、とにかく自分の納得する形でそれらにはケジメをつけておきたい。というわけで、この冬僕はペテガリと向き合った。Day0(12/26)例によって札幌からバス。見送りに来てくれた彼女はどこか不安げだ。占冠のあたりは吹雪だったが帯広に来ると嘘みたいに穏やか。柳澤さんのお迎えで中札内へ。いつもの場所にいつもの顔ぶれ。酒を少し入れたのが良かったのかよく寝れた。Day1(12/27) 晴のち雪町営牧場(6:50)東尾根末端(11:15-12:00)・843先(13:50)=C1尾野さんに送ってもらう。林道の橋は3つ落ちている。この為だけに帯広のホーマックで調達した長靴に履き替えて渡渉。面倒だがここでミスると速攻敗退なので慎重に。東尾根末端でテキパキと焚き火して、ルームの先人達がスキーを燃やしたように僕は長靴を燃やした。暖をとれるしメイン感が出て良い。ここで泊まるつもりだったがなんか身体にキレを感じるので進む。出だしの斜面は急。凍った土に雪がうっすら乗っててなかなか。尾根に上がれば適度に積雪あり快適。雲行きが怪しくなって雪まで降って来たので尾根上を整地してC1。Day2(12/28) 晴C1(6:10)・1121(7:20)ポンヤオロマップ岳(11:00)・1417手前(14:30)=C24時に起きると妙に明るい。テントから顔を出すと澄み切った空に満月だ。暗いうちから動く。・1121までは快調。そこから先は猛烈な笹藪帯。夏道もよく分からず藪漕ぎラッセル。こんなのはこれまで何度もやって来てるので動じない。が、行手に突然鹿の死体が出てきてビックリ。ポンヤ手前の岩稜帯でもっとビックリ。なにこれどこ登るのって感じ。とりあえずEPにして弱点っぽいところをクライミングチックに繋いでいくと左の方に夏道のFix発見。結局なにが正解だったのか分からん。ここを超えてピークまでスノーシュー。ここからが東尾根の核心。ピークからの降りはそのままスノーシューで突入したらヤバかったので慌ててEPにする。雪庇は進行方向左手に1m前後。細かったり岩が出てたりアップダウンが激しかったり。一度歩いている振動で雪庇が落ちた。ブッシュがエグいのでピッケルはほとんどリーシュにぶら下げた状態で全身日高体操を続ける。・1417の登りに差し掛かるとようやく広く歩きやすい尾根になり平らなところでC2。頑張った日用の高級ソーセージを早くも開封じゃい。Day3(12/29) 晴ときどき曇りC2(6:10)・1518(7:20)東尾根頭(14:15)ペテガリ岳(15:30)西尾根Co1200コル(16:20)=C3今後の天気を考えると今日どこまでいけるかが勝負だ。東の空が色づき始めた頃出発。・1417からしばらくは太い尾根。・1518とのコル付近に岩が出てる箇所がありEストック。ズボるのですぐにスノーシュー。・1518から早大尾根を眺める。東尾根も十分にヤバいが早大尾根、とくに1483峰周辺はとんでもないことになりそうだ。80年近く前にペテガリの厳冬期第2登を目指しこの尾根を極地法で1カ月かけて踏破した早稲田の記録、チャンスがあったらぜひ読んでみたい。さて、行先に目をやれば真っ白な国境稜線に久恋のペテガリが輝いている。手をピッケルに持ち替え足はスノーシューのまま進む。尾根が北西を向いているうちは割と快調。強風の影響かアーティスティックな育ち方をしたカンバを木登りしながら行く。ただ雪庇が両面に出てくるので気が抜けない。名もなきポコで屈曲し尾根に南成分が入り出すと一転タチの悪いブッシュ帯となり悶絶。時折悪い箇所がありアイゼンに替えるが腿まで没するラッセルに耐えかねてすぐにスノーシューに戻すのを数回繰り返す。主稜線に合流するまで一切の容赦なくそれが続いた。尾根頭でようやく解放され絶叫。時間的にギリだがいろいろ考慮し乗越キメることにする。主稜線にはなんとトレースあり。この時期にここに来るなんてたぶん知り合いだろう。片手ピッケル片手ストック足はスノーシューでピークへ。あいにくガスってしまったが僕の心は晴れやかだ。夕陽に向かって西尾根を降る。コルまで降りきってC3。強く激しく美しく命を燃やした一日だった。Day4(12/30) 曇りのち晴C3(7:00)ペテガリ山荘(11:30)神威山荘(16:00)=C4トレースの主も西尾根を降ったようで、ありがたく拝借しながらのんびり降りる。挙動から察するにルーム関係者ではない気がする。思ったより天気が良くて今日も普通に乗越せそうだったがまあどうでもいいや。ペテガリ山荘は一度入ると出れなくなるので惰性で通過。記憶を頼りにベッピリ乗越して神威山荘へ。大事なものはだいたい全部そこにある。Day5(12/31) 吹雪C4=C5 停滞ここまで来ればどうとでもなるのだが、外は吹雪だしやっぱり山で年越ししたいので停滞。物を乾かし、薪ストーブの火を弄りながら2023年を振り返る。今年は物事が悪い方向に転びがちな一年だった。春には自分が遭難事故、夏には歳の近い山仲間が亡くなり、秋から冬にかけては山に行こうとしたら車を2台立て続けにオシャカにしてしまった。でも最後の最後でこんな山ができたんだから、まだまだ人生捨てたもんじゃないってことだ。きっとそうだ。Day6(1/1) 雪のち晴C5(2:00)ゲート(5:30)神威橋(7:00)上野深のおじさん(9:00)昨日たくさん昼寝したので23:55に起きてラジオ聴きながら年越し。ゆっくりと準備と掃除をして出る。全てを理解してしまっている林道は暗いうちに歩くのが吉である。降りてきてからのことをちゃんと考えていなかったのでとりあえず浦河目指して海がありそうな方に歩いてたら、上野深のほぼ最終人家で雪掻き中のおじさんに声をかけられる。人と話すのが1週間ぶりなので少しまごつく。あの山の向こうから来た、浦河に向けて歩いてる云々を説明すると「ちょっと待っちょれ」と家に消えて数分後に熱々のコーヒーとトーストを持ってきてくれた。その上、浦河のバスターミナルまで車で送ってくれてもう涙ちょちょぎれそうだ。今年はいい年になりそうである。
 
 
 
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