ヤマレコAACH - 切り抜き一覧
発行日時 | 見出し |
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2021-5-19 22:19 |
槍ヶ岳の真正面イグルー
こんにちは、イグルスキー米山です。 テントではちょっとコワい場所のイグルーシリーズです。 弓折岳山頂イグルー、2018年2月新穂高温泉から蒲田川左股をぐっと奥まで進み、鏡平の西の尾根を直登して弓折岳山頂にイグルーを作りました。狙いは鷲羽岳です。山深いところにあるので、まだ未踏でした。百名山を全部登る気は特にありませんが、まだ登っていない名峰(素敵な山)は百名山であることも多く、どうせ登るなら、夏の沢を直登するか、厳冬期で行きたいもの。人の作った道に世話になって登るのではもったいないです。 退路に最適、地形の変わり目にイグルー弓折岳山頂にイグルーを作った理由は、視界がなくなると尾根の下降点がわかりにくいからです。ここに泊まっていれば、日数不足で下山するときにホワイトアウトでもただ磁石で方向を切って下れば良い。下降点を探すのに困らないからです。これより奥に泊まると、視界がないときはかなり苦労するはずです。このさき双六岳をトラバースして三股山荘から鷲羽岳を往復するコースは、視界が見えていないと地形が難しいからです。 鷲羽岳、幸運なアタック、帰り道に罠イグルーから鷲羽岳への往復は片道5時間の1日仕事です。双六小屋から三俣山荘の間は、だだっ広い雪原のトラバースで、視界がなければスピードはガタ落ちです。白い闇の中を最速で進むことはできません。行きは好天、美しい鷲羽岳がおいでおいでと手招きをしていて、僕らは吸い寄せられるように山頂に到達しました。 しかし、帰路、天候は変わりました。広大な黒部川源流の風景を徐々に霧が覆い、三俣山荘を過ぎたあたりで完全なホワイトアウトに。 イグルーが作れれば全然怖くない地図と磁石ではるか彼方の弓折岳イグルーに帰ろうとしますが、視界が数mの白い闇では、到底スピードを出して進めません。山での判断は一刻を争う競技スポーツのようなスピード感はありません。数時間後に打つ手がなくなってしまわないように、立ち止まって冷静に考えさえすれば、生還できることが多いのです。 今夜はこのあたりで泊まろう、というのが最適解でした。私はイグルーが作れます。こんな時、ツエルトだけならどんなに寒くて心細いだろうと思います。ザックを下ろしてノコとスコップを出そうとしたところで、「相棒が三股山荘の冬季小屋を掘ろう」と提案しました。 結果、大雪原のホワイトアウトで小屋を探し当てるのに小一時間彷徨い、地下3mほどに埋もれた冬季小屋の戸を掘り返すのにも1時間かかりました。中は真っ暗、物置のようなところでした。持っていたマットと、非常用防寒アタック装備を全部着込んで、行動食をむしゃむしゃ食べて、シュラフカバーに入ってザックに脚を突っ込んで眠りました。 でも確信した。イグルーを作れる自信があると、どんなホワイトアウトも全然怖くない。最高に自由な気分だった。 絶景のイグルー翌日、視界は悪かったけれど100mくらいは見えるようになったので、一日かけて弓折岳のイグルーに帰還しました。槍ヶ岳を真正面に見るこのイグルーは最高の立地でした。もう一泊して笠ヶ岳を往復してもいいくらい。でも、一山行にメインは一つがふさわしい。あまり欲張らないほうがいいと思います。雪のコンディションもよく、下りは延々長い斜滑降で弓折岳の南の谷へ滑り降りました。 山行記録: 《北ア》新穂高温泉から鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳厳冬期アタック 2018年02月18日(5日間) 槍・穂高・乗鞍, 積雪期ピークハント/縦走 / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com きょうはここまで。またね。
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2021-5-19 22:19 |
槍ヶ岳の真正面イグルー
こんにちは、イグルスキー米山です。 テントではちょっとコワい場所のイグルーシリーズです。 弓折岳山頂イグルー、2018年2月新穂高温泉から蒲田川左股をぐっと奥まで進み、鏡平の西の尾根を直登して弓折岳山頂にイグルーを作りました。狙いは鷲羽岳です。山深いところにあるので、まだ未踏でした。百名山を全部登る気は特にありませんが、まだ登っていない名峰(素敵な山)は百名山であることも多く、どうせ登るなら、夏の沢を直登するか、厳冬期で行きたいもの。人の作った道に世話になって登るのではもったいないです。 退路に最適、地形の変わり目にイグルー弓折岳山頂にイグルーを作った理由は、視界がなくなると尾根の下降点がわかりにくいからです。ここに泊まっていれば、日数不足で下山するときにホワイトアウトでもただ磁石で方向を切って下れば良い。下降点を探すのに困らないからです。これより奥に泊まると、視界がないときはかなり苦労するはずです。このさき双六岳をトラバースして三股山荘から鷲羽岳を往復するコースは、視界が見えていないと地形が難しいからです。 鷲羽岳、幸運なアタック、帰り道に罠イグルーから鷲羽岳への往復は片道5時間の1日仕事です。双六小屋から三俣山荘の間は、だだっ広い雪原のトラバースで、視界がなければスピードはガタ落ちです。白い闇の中を最速で進むことはできません。行きは好天、美しい鷲羽岳がおいでおいでと手招きをしていて、僕らは吸い寄せられるように山頂に到達しました。 しかし、帰路、天候は変わりました。広大な黒部川源流の風景を徐々に霧が覆い、三俣山荘を過ぎたあたりで完全なホワイトアウトに。 イグルーが作れれば全然怖くない地図と磁石ではるか彼方の弓折岳イグルーに帰ろうとしますが、視界が数mの白い闇では、到底スピードを出して進めません。山での判断は一刻を争う競技スポーツのようなスピード感はありません。数時間後に打つ手がなくなってしまわないように、立ち止まって冷静に考えさえすれば、生還できることが多いのです。 今夜はこのあたりで泊まろう、というのが最適解でした。私はイグルーが作れます。こんな時、ツエルトだけならどんなに寒くて心細いだろうと思います。ザックを下ろしてノコとスコップを出そうとしたところで、「相棒が三股山荘の冬季小屋を掘ろう」と提案しました。 結果、大雪原のホワイトアウトで小屋を探し当てるのに小一時間彷徨い、地下3mほどに埋もれた冬季小屋の戸を掘り返すのにも1時間かかりました。中は真っ暗、物置のようなところでした。持っていたマットと、非常用防寒アタック装備を全部着込んで、行動食をむしゃむしゃ食べて、シュラフカバーに入ってザックに脚を突っ込んで眠りました。 でも確信した。イグルーを作れる自信があると、どんなホワイトアウトも全然怖くない。最高に自由な気分だった。 絶景のイグルー翌日、視界は悪かったけれど100mくらいは見えるようになったので、一日かけて弓折岳のイグルーに帰還しました。槍ヶ岳を真正面に見るこのイグルーは最高の立地でした。もう一泊して笠ヶ岳を往復してもいいくらい。でも、一山行にメインは一つがふさわしい。あまり欲張らないほうがいいと思います。雪のコンディションもよく、下りは延々長い斜滑降で弓折岳の南の谷へ滑り降りました。 山行記録: 《北ア》新穂高温泉から鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳厳冬期アタック 2018年02月18日(5日間) 槍・穂高・乗鞍, 積雪期ピークハント/縦走 / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com きょうはここまで。またね。
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2021-5-18 0:40 |
冬のトドを見る・積丹のイグルー
こんにちは、イグルスキー米山です。 きょうは北海道で、トドを見に行ってイグルーを作った話です。北海道と言えばクマ、シカ、キツネです。しかしもうひとつ、忘れちゃいけないトドがいます。冬になると、もっと寒い千島、サハリンから「南国の」北海道に来て、ぬくぬくして、暖かくなると帰っていきます。人が近づけない断崖絶壁の海岸に、何百頭もきています。 北海道に居た2005年、私がイグルー術を伝授した北大の登山愛好学生Cさんが卒論のテーマで、このトドのウオッチングをしていました。場所は積丹半島の断崖海岸です。沿岸の自動車道路はトンネルに潜るので、トドにとっては人が全く来ない安全なところです。何百mもの崖の上から岩礁を見下ろすと、ぞろぞろ居ました。 このポイントは、車では行けず、山スキーを履いて延々藪山をトラバースした末にある急な藪の雪面です。雪山を自由に歩く、冬山登山愛好家にしか行くことができない場所です。 雑木こそ生えていますが、雪の斜面の先は断崖になっていて、たいへん危険な場所でもあります。Cさんはここに毎日通い、トドの数を数え、もうおなじみの個体の識別もして、望遠鏡でストーカー的に観察していました。 こんな吹雪の吹きさらしで張り番とは。なんて過酷で素敵な卒業論文だろう。北海道大学にはこんな地味で忍耐のいる野生動物や自然科学の現場研究者がたくさんいます。 ベストポイントにイグルーを作ってプレゼントしました。 トドは、積丹沿岸の漁場の魚を網を破いて遠慮なしに平らげてくれるので、周辺の漁師には死活問題です。やりたくはないけど鉄砲で脅かしたりもしますが、ほとんど効果がありませんでした。一匹が一度に食べる量は、軽トラ一杯分くらいは軽いのではと思いました。 トドの体には、焼印がついているものもありました。カムチャツカでの研究者が個体識別のために付けたそうで、ロシア文字です。荒っぽいですね。他には、海洋ゴミのポリバケツの底の抜けたものが、襟巻きみたいに首から外れずに困っているトドもいました。漁師も辛く、トドも辛く、この海を生きていました。 一部のトドは函館にまで来ていました。函館山の東海岸は、30万都市のすぐ脇なのに断崖の秘境で、陸から楽には行けない場所です。私はときどき、東海岸のトドを見に出かけました。函館山の上にもイグルーを作って見たいと思っていましたが、果たさずに町を離れました。 きょうはここまで。またね。 |
2021-5-16 9:55 |
赤岩 大壁
赤岩 大壁(アルパインクライミング/札幌近郊)日程:2021-05-15(日帰り)メンバー: nikonikoaokazu aach_17inoueコースタイム:写真:ゼロ1p目逆層の凹角1p目ゼロ1p目終了点から感想:逆層の凹角はケミカルに飼い殺された人を解放するだろう。。
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2021-5-14 21:48 |
イグルーはマルかシカクか
こんにちは、イグルスキー米山です。 きょうはそのそもイグルーは円形マストなのかという話です。 見かけはドームなんだから始めから丸く掘って積むイグルーのみかけは半球ドームです。なぜドームかといえば、構造上一番屋根が作りやすいから。だんだん壁が真ん中に寄って行って、最後に穴が狭くなるから屋根が閉じるわけです。壁は傾けなければならないので、倒れることとの戦いです。真っ直ぐな壁は倒れやすいけど弧を描いた壁は倒れにくい。だからドームなのです。 自然な発想で疑いもなくずっと雪の上に円を描いてブロックを掘り始め、円筒の竪穴の周りに丸くブロックを積んでいました。 でも居住スペースは四角形だ最近になって気がついたのですが、人の居住スペースはシカクの方が住みやすい。部屋だって四角いしテントだって底部はシカクじゃないか。自然界には存在しない直線が、人間にとっては快適な住空間なんだ、ちょっと寂しいけど。 それにブロックだって円筒形の竪穴から一辺が弧になったブロックを取るより、四角い豆腐型や長い板状を切り出すほうが、工作には適している。こうして最近は円筒の居住スペースではなく、四角い部屋の上に丸くドームを作るように変わって来ました。 話を聞けばあったりまえなんだけど、30年も先入観に囚われていました。まだまだイグルーは進化しますぞ。 将来は立方体のイグルーもやってみよう最近あみだしたトレンチ切り出し法を使えば、天井に浴槽のフタみたいなブロックをかけて三葉虫の腹状の屋根に作ることも可能です。わざわざエッジを効かせた四角い壁を建てちゃって。 もっと悪ノリすれば、ヘルヴェチアヒュッテ風のイグルーも作れるかも知れないぞ! いや、五層の松本城天守も作れるかも・・・。もうそなると札幌雪まつりですね。 きょうはここまで。またね。 |
2021-5-12 21:58 |
以前は私もダサかった・アルベロベッロとラテルネンデッケ
こんにちは、イグルスキー米山です。 きょうは私のイグルー技術も変わってきているという話です。 以前は私も難しい方法しかしらなかった以前のイグルー作り写真を見ると、ブロックの上側をどんどん傾けて、隣同士をもたれあわさせて作っていました。きのうのブログで15年前の函館時代のイグルー写真を見ていて気が付きました。今の方法とは違います。 ずいぶん前から講習をしたりしていますが、昔のやり方だとやはり誰にでも作れるというわけにはいきません。それでも上手な人は作ってしまうのですが。この方法でも雪が悪くなければ40分で作れますが、いきなりは難しいです。 今の方法の肝は二つ その一・幅広せり出し・アルベロベッロ法壁の厚みを持たせ、幅のあるブロックを載せて内側にずらし、段々に壁を内側へ寄せる。つまり、ブロックの上面を内傾させない。内傾させると、どんどん積んだ上のほうは急になり最後は滑り落ちるからです。 これを思いついたのは、イタリアのアルベロベッロの世界遺産、粘板岩の瓦を積んで作る三角屋根の住宅の村を訪ねたときです。 素材が平たい岩だから傾けたら危ないですよね。昔、屋根のある家に課税する役人が来る日に、「屋根なんかねえよ!」と、すぐに取り外せる屋根の住宅を作ってとぼけたのが由来だとか。 重ねる板の幅が、内側にせり出す長さに対して十分あるならば、落っこちないのですね。限度はあるけれど。村の景観が、まるでイグルー講習会やった時みたいだったので思いつきました。 その二・長細ブロック組み上げ、ラテルネンデッケ法長細いブロックで円弧の縁に橋掛けをすれば、どんどん屋根はふさがります。これはラーメンどんぶりに置いた箸や、井桁で組む焚き火の焚き付けなんかでヒントとしました。 ある時一緒に泊まった建築家の友人がイグルー天井を見上げて、「これはラテルネンデッケと言ってアフガン〜パキスタンのイスラム寺院やチベット僧院の丸屋根にあるよ。バーミアンの時代からある」と教えてくれました。古代建築家もやっていた技術だったのですね。 http://www.ne.jp/asahi/arc/ind/6_china/northern/xarakeloc.htm www.ne.jp 最近のはやりは、長細く平たい板状ブロックを切り出して、ダンゴムシか三葉虫の腹みたいなのが、一気に早くふさがって未来型イグルーです。 きょうはここまで。またね。 |
2021-5-11 23:22 |
遭難からイグルーで生還
こんにちは。イグルスキー米山です。 きょうは遭難死の話です。 函館にいたころ16年ほどまえ、函館で4年間過ごしたとき、北大水産ワンゲルの若手OBとよく山に登り、イグルー技術も伝えました。北海道南部は札幌から遠く、以前私も8年過ごした札幌からは、なかなか来られなかった道南の渋い山の数々を雪の季節に登りました。地形図から最適な尾根を選んで、イグルーで海の見えるところに泊まり、誰もいない山頂を目指しました。転勤で予期せぬ町に住み思わぬ山と出会う、私の生涯の宝の山々です。 Aさんの遭難死そんなころ知り合ったAさんは、学生時代は運動部で体は頑丈、仕事を始めてから山が好きになった若者でした。何度か山行を重ねて経験を積んで、あるときメップ岳に登り遭難死してしまいました。ほんの20mほどその時だけコチコチに凍っていた稜線から落ちたのですが、運悪くダケカンバの立ち木に当たって死んでしまいました。同行者のBさんは、Aさんの死を確かめたあと稜線に戻りそこにイグルーを作って悪天をやり過ごし、翌朝ヘリに救助されました。 イグルーで生き延びたBさん後日、何人かで二人の遺留品を回収に行きました。そこでBさんが一晩過ごしたイグルーを見つけました。大きなブロックを並べて作る、一人用の、狭くて低い緊急イグルーです。多分30分以内で作れるはず。彼はその夜このイグルーの中でどんなことを考えただろうか。斜面は凍っていたが、晩にはミゾレが降ったという。 山登りを続けていれば、楽しい事ばかりじゃない。親しい人の死にもしばしば出会います。しかしそれはことさら山だけの話ではなく、人生そのものと同じであると私は考えます。 仲間が事故死、あるいは怪我という大事件のとき、残った者はどうするか。山での判断の多くは、一刻を問うほどには迫らない。時間をかけ、心を落ち着ける必要がある。慌てないこと、考えるのをやめないことが一番肝腎だ。 起こってしまったことを受け入れ、余裕を持ってそこから自分の考えを整理すること。ひどい天候の中でも、まずそれができる場を作ること。私は、Bさんがこの非常事態に、憶えたばかりのイグルーを使ってくれて、本当に良かったと思いました。 死者を弔う、思い出すこと。Aさんは口数少ないけれど心が伝わる好青年で、山にはいつもイカの沖漬けやイカ飯を作って持ってきてくれました。ザックにはやっぱりイカの開きが入っていました。調査船の船乗りだったので、函館港停泊のAさんの夜勤番の夜、Bさん含めて何人か遊びに行って、船で鍋をつついたこともありました。吹雪の赤い街灯の波止場を、路面電車も終わった時間に、ほろ酔いで家まで防寒ゴム長で歩いて帰った夜が懐かしいです。 山で別れた死者のことは、何度でも思い出しましょう。人の生は死んでしまったってそれっきりじゃない。 きょうはここまで。またね。 山行記録: メップ岳 2005年04月23日(日帰り) 道南, 積雪期ピークハント/縦走 / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com |
2021-5-10 21:50 |
イグルー山行、なぜ誰もやらないのか?
こんにちは。イグルスキー米山です。 イグルーをやってみたいという人は多いし、やってみて面白かったという人も多いのですが、私のように30年続ける人がほぼ居ないのはなぜだろう?と問いを立ててみました。 イグルーはエコすぎるほどエコであるミニマリストっていうんでしょうか、最近は。「最小限持ち物主義者」です。テントフリーだから軽いです。あんまり言いたかないけど「エコ」です。現地調達、現地残留の雪ですから。しかし、もしかして、その思想的な潔癖性が重いのだろうか?いやでもさすがにそこではないでしょう。 イグルーは手間であるように見えるテントは一見楽です。整地して広げてポール入れて、天気が良ければこれで終わりかも。ただし、先週の5月連休のように、春のつもりで行ったら、思わぬ豪雪で一晩中テントが潰されないように雪かきを続けなければならないこともあります。もしそんな天気めぐりなら、ブロックを立てても何しても、眠ることはできないでしょう。そんな大げさなと思うなら、そんな状況をまだ知らないだけです。やはり「テントではいつか痛い目にあうことを知らないのだ」と言うのが私の結論です。何も自分で経験しなくても、昔の遭難記にたくさん出てきます。 イグルーを「サボる」前にイグルー講習をした後輩から、「最近イグルー、サボってます」という返答を聞いて、なにかおもしろいと思いました。「サボる」というのは、英語の練習やトレーニングやなにかの、ちょっと億劫なものに使う言葉で、やはりちょっと億劫なんだな、と思いました。 味噌汁作りにたとえてみる
今思いつくいちばんふさわしいたとえは、味噌汁作りに例えることかもしれません。 私は朝昼晩と三食自分で料理するのが好きで、単身先でも、帰省してもやっています。味噌汁のダシは昆布と煮干しで取るのですが、これを面倒だと見る人が意外に多いと思います。 面倒ではありません。昆布と煮干しをすぐ手にとれる所の広口瓶に適切な大きさに切って入れておいて、寝る前に水を張った鍋にぽいぽい入れて置くだけ。朝は煮えたら取り出して、他の料理に使うだけ。ほんだしの顆粒をひとさじ入れるのとほとんど手間は変わりません。つけておく時間が長いだけです。 慣れてみれば簡単なのに、できないと思って便利な顆粒を使う人は多いです。もちろん顆粒のダシもとても美味しいし便利だけど、あれは「誰かが作った商品の味」。昆布、煮干しのダシとは別物です。海から来た懐かしい感じの風味や、舌触りに与えるちょっとした粘度なんかも違います。ダシ顆粒も意外に高価で値段もそう変わりません。つまり、ああ疲れた、もう面倒くさい、と顆粒ダシを使うときは、昆布煮干しダシの威力も魅力も深く知らないだけなのではないかという気がします。 知ってしまえば抜けられない簡潔さ味噌汁もそうなのですが、私はもはや、面倒だから顆粒ダシに戻るということは無いです。ダシとりも実は専門家によればいろいろ面倒です。昆布は沸騰する少し前に引き上げろとか、汚れを乾いた布でふけとか。でもそこまでやらなくても十分美味しくできます。 イグルーも先住民レベルに作るのはすごく難しいです。でもイグルスキー式は、手抜きダシ取り味噌汁のように手間いらずのうまいとこ取りなので、誰でもできます。今さら顆粒ダシにもどる理由がありません。年々手抜き術に磨きをかけています。 イグルー好きは手作りの好きな人かも何十人かに講習してみて、なんとなくですが、料理が好きな人や、工作が好きな人はイグルー山行に親和性があるような気がしています。まあでも、作ってみればどんな人でもウキウキするものですけどね。 きょうはここまで。またね。 |
2021-5-9 10:58 |
西表島縦断
西表島縦断(沢登り/九州・沖縄)日程:2021-04-30〜2021-05-05メンバー: Iida_2017コース状況/その他周辺情報:単独での入山や指定地以外でのキャンプは禁止。入山には警察と森林管理所に書類を提出する必要がある。ユチン川,板敷川は結構ピンクテープや踏み跡があった。クイラ越えにもわかりにくいがピンクテープがある。写真:ヘビあひるこの沢滝多し。きもいひるギランイヌビワ泳がされる池になっている出合急に淀むところも多い海にでたミキユーブラックバスみたいだがまずくはないユツンの滝。でかい。この焚火跡の人に乗せてもらって港まで帰った。カラカラの体に嬉しい真水ゴルジュで大放出の滝淀みを泳いで下るセマルハコガメ南部の山々暑い取りつく島もない。ユチン川に入渓。Coほぼ0。左股に入っってすぐ大滝。地形図にはない10m程度の直瀑が多くある。浦内川本流流れる雲シャワーで快適に。ユチン川を下る。滝上から海が見える。ギンゴガーラ出合落ちたら4Qのボルダー右岸からクライミング交えてまくマリユドゥの滝おしまい馬大日本麦酒。おそらく戦前。岩盤が出て開けるところもあるいざ石垣牛ギンゴガーラの滝,3段。小ゴル港で売ってるパイン300円也オオウナギがいた飼われているヤギナンヨウチヌ重荷と沢足袋での砂浜はふくらはぎにくる青い空白い雲幻の湖にゃー落とし物感想:関空でC0して朝一の飛行機で石垣島へ。ホームセンターとスーパーで買い出しし,フェリーで西表島に上陸。西表島にはほとんどお店がないので石垣で飯を食べておくべきだった。バスで一番近いバス停まで。1hほど歩いてユツン川河口。あと10mのところで外国人に乗っていくかとき聞かれた。入山前最後に発した言葉,No thank you。Day1:ユツン川河口(17:00)Co270(18:30)=C1まだ明るいので入渓する。ムツゴロウみたいな魚が泥の上を跳ねている。干潟が終わるとすぐに巨岩。都会なら人気ボルダーであろう。初めの大きめの二股からは普通の沢っぽくなる。大滝は右岸のピンクテープで巻いた。滝上からは海が見える。大自然すぎてひとりで寝るのが怖い。エビつれず。Day2:C1(7:15)幻の湖(9:20)マヤグスクの滝(13:00)ギンゴガーラ出合(15:45)=C2歩き出してすぐ右俣をとると水が枯れる。ここの地図読みはいうほど難しくなかった。板敷川にのっこす。淀み。淀み。淀みすぎてどっちに流れているのかわからない二股があった。しばらくで淀み,ゴーロ帯,ナメが交互に出てくるようになる。オオウナギ。腕くらいあるのが水深10cmで出てきてこっちがびびる。琉球イノシシも走る。幻の湖は左岸から巻いてそのまま懸垂ポイントに出たので懸垂10m。マヤグスクのゴルジュは右岸を歩いて空中懸垂20m。下にツアーの人がいた。ガイドは「俺でよかったね」とうるさく言ってこなかった。感謝。疲れないの?という客の馬鹿な質問には,ええまあとだけ答え,そそくさと退散。本流出合からは夏道を歩く。展望台下の人目を避けられるところでC2。結構ハードだった。Day3:C2(7:00)分水嶺(12:50)仲良川Co10二股(15:00)=C3ツアーが上がって売る前に出発。30分でギンゴガーラの滝。少し戻って右岸の枝沢を登る。が垂直の滝が出てきたので大滝のほうにトラバース。3+くらいのクライミング*2で平坦地まで。ぶっといシダの幹は掴むと簡単に根元から抜ける。トラバって滝上まで。下からは2段だが3段の大滝であった。滝上は枯れており,下から見た感じ分岐っぽくなっているのもあってウロウロしてしまう。30分ほどロスした末再び水流へ。ここからはボルダー小滝と水流のない暗く狭い小ゴルジュ。そしてイノシシ。テナガエビがいっぱいいるのでおやつにすべく釣り。まず1匹目をなんとかすくって針につけて2匹目を釣る。が,針がデカすぎてなかなか釣れない上にせっかくすくった餌エビをハゼに喰われるので全然進まない。1時間以上やって4匹...アヒージョ。分水嶺の地図読みは今度は難しい。絡まるツタ,気持ち悪いヤスデ,照りつける太陽。。仲良川は滝多い。懸垂も2回した。ギンゴガーラもそうだが,岩がデカすぎて滝のクライミングみたいになるところが少なくない。この沢も一瞬だが狭いゴルジュなどあって楽しい。今日も長かった。ほんと言うと海の泳ぎとか波とか怖いので明日雨予報なら降りてしまって石垣島で2,3日観光して帰りたい気分。ビバ単独行。Day4:C3(7:20)クイラ川Co10(1800)=C4この日は仲良川支流〜クイラ川。この支流の楽しいところは短い。直登できるものもいくつかあるが大抵は大きく高捲く垂直瀑。ゲキ狭ゴルジュあり。増水時には面白いかもしれない。やはり水が枯れてからの読図は高難度である。クイラ川も上部は他の沢と同じ感じで淀み〜ナメ〜直瀑のミックス。abこそしなかったがcdできないものが多い。クイラ川下部に入り沢の傾斜がなくなってくると淀み,屈曲がひどいので,岸をつかて泳がずにショートカットしてすすむ。左岸に中国峡谷風な壁が現れると次第に巨岩歩きとなる。巨岩を小一時間降ると完全にマングローブになり沢の水も少ししょっぱくなった。クイラ越えのピンクテープを見つけ,川で少し釣り休憩。魚は見えるが釣れず。時間あるので海岸で寝るべくクイラ越えすることにした。ピンクテープに導かれ海まで。途中分岐があったが東に降りる方をとった。が,沢型に水が流れておらず,海岸岩壁を越えた西の沢型を目指すことにする。この岸壁がほぼ干潮なのにリーフが切れていて突破できない。波に持っていかれたら怖いので諦める。先ほどのピンクテープの分岐のもう一方をいこうかと思ったが時間も遅いうえにこれで水が取れなかったら悲惨なので再びクイラ川へ戻る。あー海怖い。翌日は干潮の時間が朝早いために停滞と決めて夜更かし。Day5: 停滞昼まで寝た。本読んだり寝たり酒飲んだり。夕方に河口方面に釣りに行く。ナンヨウチヌ*3。ソフトルアーだと噛みちぎられてしまいすぐになくなってしまった。生姜は茶に入れても,魚と一緒に入れて米を炊いても旨い。Day6:C5(6:20)キャンプ場(11:20)干潮に合わせて早出。ずいぶん西にあるので6時でもまだくらい。同じ道で海岸まで。崖マークを越えるまでは急ぎ足。照りつける太陽,打ち寄せる波,流れる汗,乾くノド。地図上の沢型はどれも水が流れておらず焦る。これは今日泊まったら乾いてしまうと思い急いで歩く。転がっているココヤシをナタで割ってみるがとんでもなくウ◯コ臭いので敗退。最後の方で崖から滝のように流れているところがあった。ゴールが見えたところで釣り。いかにも南の島っぽいハタ系の魚が釣れた。沢足袋で砂浜に足をとられながらキャンプ場まで。翌日脹脛の筋肉痛が酷かった。港まで道路歩き。道端の家畜たちに声をかけながら一人カラカラで歩いていると,レンタカーに声をかけてもらい乗せてもらった。よく西表に来るそうで今年は南部海岸を歩いたそうな。フェリーまでの時間待ちで買って食べた島パインがうまい。予定よりずいぶん早く下山できてしまったが,石垣島で今さら綺麗な景色を見る趣味もないので安宿に一泊だけして,飛行機を変更して帰った。沢の楽しさとしては 仲良川,ギンゴガーラ>クイラ川>板敷川>ユチン川。ただ,どの沢でも見たことのない巨岩,大滝,植物,鳥,獣,魚,虫,海,空。そのすべてが新鮮だった。真っ暗な中,けたたましくなく鳥,虫。。現代人ひとりのちっぽけさを知るには西表島は十分大きい島だった。
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2021-5-8 7:18 |
笛吹川(東のナメ沢、釜の沢、鶏冠谷)
笛吹川(東のナメ沢、釜の沢、鶏冠谷)(沢登り/奥秩父)日程:2021-05-04〜2021-05-07メンバー: hazuki2012r fukumoto_2013写真:逃げるカモシカ大滝上のナメ滝2日目テンバ出るとこ両門の滝3段目抜け口鶏冠谷1480二股ゴルジュ出口の滝上部1ピッチ目の辺りにカモシカ東のナメ沢大滝 2ピッチ目の顕著なバンド釜の沢魚止の滝逃げるカモシカ4ピッチ目は4段目釜の沢Co1920付近のナメ滝東のナメ沢大滝もうすぐ29歳 裸足で河原を歩くゴルジュ出口の滝東沢に入ってすぐ西俣両門の滝上のナメ釜の沢 魚止の滝上のナメ感想:楽しかった。やっぱり焚火はいい。裸足も慣れれば案外いい。日高の沢に行きたいけど今年は行けない。体力維持に努めるので、現役の方や在札の方やどなたでも、また一緒に行ってください。良いリハビリになりました。みなさん夏誘ってください。以下記録5/4瑞牆から鹿野さんに駅まで送ってもらい、電車とバスを乗り継いで西沢渓谷へ。バス停からハイカーに混じって遊歩道を歩くが、出立ちが明らかに浮いていて恥ずかしい。東沢に入り、山の神までホラ貝などを見ながら遊歩道を歩く。ぬかるみや急なアップダウンが多く、るんるん歩ける道ではない。重荷に首を傾げながら河原をてくてく歩いて東のナメ沢出合過ぎの台地でC1。BCとする。東のナメ沢の大滝偵察に行き、岩も乾いているので翌日は予定通り行こうということになる。グロい鹿の死体がありくわばら。テンバはパリパリの薪だらけで瞬間着火。5/5 東のナメ沢クライミングシューズを履いて出発。大滝は1段目をてくてく歩き、2段目ですぐに水流を跨ぐ。そのままやや傾斜の出てきたスラブを登っていき、残地リングが3つ並んでいるところで登攀開始。支点は最初以外全て木。1ピッチ目 福本 ?- 右岸の顕著なバンドめがけて登りやすいところを登る。ピンは立木で豊富に取れる。2ピッチ目 羽月 ?- バンドを3段目の基部まで。ピンは立木、カム。3ピッチ目 福本 ? 3段目を水流の左の階段状を登る。落ち口が一手緊張する。4段目下の水流渡ったところでビレー。ピンはカム、ハーケン、残置ボルト。4ピッチ目 羽月 ? 4段目を左岸からスラブ上りで越える。ピンは小さめのカム。大滝を登り切ったところで羽月が沢靴をテンバに置いてきたことが発覚。少し悩んだ結果クライミングシューズのまま進むことにする。大滝直後のナメ滝二つは左岸からまとめて捲く。一ノ沢過ぎると汚い渓相になり、小滝が続く。ニノ沢出合以降の滝は大体右岸から捲いた。源頭の3~5股は真ん中ら辺を選ぶ。続く二股は右へ。沢型が潰れると石楠花の藪となり、15分くらい漕ぐと夏道に出る。ピークに空身でポンし、アドベンチャラスな夏道を下る。途中から羽月の足がひどく痛むようになり、裸足になる。鶏冠谷出合からは昨日と同じ道。裸足とは思えない速さで歩いていた。4/6 釜の沢東俣→西俣岩盤状の河原を歩いていくとじきに魚止の滝。左岸巻道から。以降源頭まで滝や二俣には必ず目印や巻道がついており、何も考える必要がない。魚止の滝を越えるときれいなナメがしばらく続く。両門の滝を越えると開けた河原となる。Co1430二股付近の2段ナメ滝から源頭まで再び岩盤状。ポンプ小屋から道を辿ると小屋。夏道からピーク経由して西俣を下る。しかし誤って富士見を過ぎたところから降りてしまい、ガレや倒木などに苦労する。Co2500二俣から下はナメ滝がいくつかある。やがてCo1900二股上のゴルジュマークのところで30mの滝。ロープはテンバに置いてきていたので左岸からシカ道を辿り尾根を乗越して1900右股に入り捲いた。平凡な河原を下っていくとCo1650から両門の滝までナメが出てくる。両門の滝を中間尾根から巻いて東俣に入り、後は来た道をBCまで。4/7 鶏冠谷途中までこの日はバスの時間見つつ鶏冠谷を行けるところまで行くことにする。BC撤収して本流を鶏冠谷出合まで下る。福本の足の調子が芳しくない。Co1200魚止の滝は左岸巻道から越える。なんだか暗い雰囲気の谷。河原を挟んで逆くの字の滝。水流の右側を登るが上部が意外と悪かった。Y字の滝は濡れたくないのでへつっていく。1480二俣からのゴルジュは奥に登れなさそうな滝が見えるので右岸リッジから巻いていく。結構緊張する。ゴルジュ出口の30m滝は右岸捲き気味に登った。その後の小汚いナメのところで引返し。濡れないように頑張ってへつっていく。逆くの字の滝は下のナメ滝2段とまとめて右岸から懸垂。後はバス停まで。バス2時間待ちということでヒッチで温泉寄ってから東京へ。
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2021-5-7 21:36 |
イグルー、素敵な窓からの眺め
こんにちは、イグルスキー米山です。 明かりとり窓は、薄い壁で。入り口を塞ぐ時、ブロックの薄いもの(厚さ10cmくらい)を立てて作ると、そこだけ光が透けて明るくなります。他の壁は30cmの厚さなので、ちょっと違います。 朝起きて、明るくなってきて、さあ今日の天気はどうだろう?という時、寝袋にからだを突っ込んだままノコで窓を開けてみます。朝ラーメンを食べていると、日の出の光線が差し込みました。だいたい山では西風なので、入り口をその逆の風下側の東側に作るため、朝日を浴びることが多いです。 窓からの名峰イグルーから出る朝は、どこから出口を開けても構いません。大型で、大人数で入り口が混雑したら、好きな所に出口をつけて結構です。 イグルーは、どこにでも作れるので、一番景色の良い所に作ります。嵐が来ようと、関係ないです。マドを開けると穂高岳、槍ヶ岳という絵になる所に作ります。日数さえ持ってくれば、写真撮影で何日でも寝たまま粘れます。 きょうはここまで。またね。 |
2021-5-6 20:41 |
天井からのポタポタ雫対策
こんにちは!イグルスキー米山です。 今回はささいなことですが、気になる人には気になる話で 暖かい季節にありがちなトラブル、天井からのポタポタ雫の対策です。イグルーの中は暖かいので、春先でなくとも、ストーブをつけて炊事を始めれば、天井の出っ張りから雫が垂れてきます。仕上がったときに中に入ったら、荷を解く前にまずは天井のブロックの、水の垂れそうな出っ張りをノコで落としておきます。徹底的にやらなくてもいいのですが、目立つところをノコでうまく整形しましょう。溜まった水が行き場をなくして落ちないよう、壁を伝って流れるようなラインに整えます。何度かやって慣れてください(図解)。まあ、テントの結露よりはよっぽどマシかな! 天井の空気穴も重要イグルー天井の上の方に暖気が貯まるとポタポタの来る傾向が強いので、適度に空気穴を残しておきます。ただし、風雪の激しいときは、ここから雪が吹き込むので寝る前には塞いだほうが良いです(昨日の記事)。春先、4月以降の暖かい季節は、あちこちポタポタになり、応急的に鍋なんか置いたりして、昔の雨漏り住宅みたいになることも。 ポタポタポイントは水を吸って柔らかいうちに整形します。翌朝まで放置したりすると、そこが凍ってノコでの整形が更に難しくなります。 当然、厳冬期でスキマ風がちょっとあるような作りのときは、一切ポタポタはありません。ポタポタを取るか、吹き込みを取るか。まあどちらも大したことじゃない、というくらいの開き直りが一番強いです。 しかし、運悪くポタポタが顔の上に落ちる位置だったりすると一晩中眠れないので、早めに削ることをおすすめします。尻の下が水たまりになったこともありました。 初めて作った厳冬期イグルーで知ったポタポタ厳冬期のペテガリ岳山頂に強固すぎるイグルーを建設した話、以前書きましたが、 イグルーを始めたきっかけ こんにちは、イグルスキー米山です。
技術的な話が続いたので、違うカテゴリーでも始めてみようと思います。
今回は、なぜ私がイグルーと出会い、ここまで深入りしたのかの話です。
北大山岳部は究極の登山学校
北海道大... igloosky.com 2021.04.19 スキマ吹き込みを防ぎたかったのと、低気圧が怖くて、壁を二重に積み(つまり厚さ60cmくらい?)全く外気と遮断したイグルーを作りました。その夜みんなの熱気と炊事の熱で、天井からポタポタが続き、メンバーの一人が夜中に唸り声を上げて天井を削り始めました。 その後手抜きの穴だらけイグルーが多いせいか、毎回ポタポタというわけではありません。 きょうはここまで。またね。 |
2021-5-5 17:31 |
スキマの穴塞ぎワザについてお伝えします
こんにちは!イグルスキー米山です。 5月のイグルー、やったらできたもう今年は無いだろうと思っていたイグルー、5月連休中に作って泊まりました。新雪が60cmも積もったのでもしや?と思って作りましたが、使えたブロックはその新雪分ではなく、下のザラメ層でした。降って1日や2日の新雪は踏み固めないとブロックにはならないし、長細いのを切れるほどの強度もありませんでした。晴れて日射を浴びたり、3日か4日経ったら固まると思いますが。今後はノコさえ雪面に入るなら、そして、夜気温がプラスになって屋根が落ちないならば、残雪ザラメ雪でも充分作れることがわかりました。いまだに発見の絶えないイグルーです。 最期まで残る穴今回は、雷鳴混じりの防風雪で、テント泊の人は積もって雪かきが大変だったようです。イグルーは積もって埋まれば埋まるほど、隙間も塞がれて雪洞風に静かになっていきます。しかしそれは風上、風下側と側面だけで、一番高い天井部分の穴はいつも最期まで空いたままです。そしてそこから、風がある限り、一晩中粉雪が吹き込みます。気温が低い季節は払えばよいのですが、今どきは降った雪がとけてすぐに濡れてしまうので、かえって厄介です。 外から塞ぐ・カケラ+メソメソの雪基本的には組み立てたあとの仕上げで、イグルーの隙間にはブロクのかけらなどを外側から当てて、隙間を塞ぎます。低温の季節には、すきま風が寒いからです。 まだ壁が安定していない30分以内なので、せっかくのイグルーを壊さないように優しくやってください。ぐいぐい突っ込むと、微妙なバランスで組んだブロックが崩落することもあります。 そして、サラサラの雪ではできないけれど、この季節(残雪期)などはメソメソの少し湿った雪なので、スコップですくって、隙間めがけてザザっとかけておくと、かなりふさがります。 内から塞ぐ・メソメソの雪中に入ると、外の暴風雪が遠くに聞こえます。安堵のひとときです。しかし、荷をほどき、靴を脱ぐ前にもう一度吹き込みが無いかチェックしましょう。風が強い日は、僅かな隙間から地吹雪が吹き込んで寒いです。これを、やはりメソメソの湿った雪で塞ぎます。気温の高い残雪期はこれがやりやすいです。低温の季節は、小さなかけらを作って隙間に埋め込みます。こういう作業に、防寒テムレスはとても助かります。 山行記録: 白馬の乗鞍岳・悪天でイグルー避難・糸魚川まで行けず後退 2021年05月03日(2日間) 白馬・鹿島槍・五竜, 積雪期ピークハント/縦走 / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com どうしても塞げないスキマ・厳冬期富士山どうしても吹き込みが多すぎるというときは、ツエルトをみんなでコタツみたいにかぶって眠るか、いっそイグルー内で張るという手もあるかもしれません。 富士山の樹林限界以上の場所では、基本的に強風少雪のためイグルー適地があまりないのですが、僅かな吹き溜まりで作ったことがあります。しかし乾いた低温のサラサラの地吹雪なので、スキマがなかなか塞げず、結果一晩で寝袋の上に5cmくらいは積もりました。何につけても特殊な山です、富士山は。 きょうはここまで。またね。 |
2021-5-5 7:00 |
H山S壁 義経岩
H山S壁 義経岩(フリークライミング/道南)日程:2021-05-01〜2021-05-04メンバー: sy2017 Takenaka2017コースタイム:写真:アトミックドロップ11bキャンプ場スラブルート左 11aフルマラソン 10b(40m)アトミックドロップタケルくんへの贈り物 11a感想:南壁のクオリティに脱帽でした。
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2021-5-5 1:55 |
枝幸/黒岩山(タツリュウ川林道から)
枝幸/黒岩山(タツリュウ川林道から)(山滑走/道北・利尻)日程:2021-05-04(日帰り)メンバー: saito1987 Yanke1987コースタイム:写真:うっすら新雪の積もった林道(旧道道)からスタートタツリュウ川筋から黒岩山北東の尾根へ取り付く岩塔を攀じて峠を隔てたシアッシリを望む重たい雪の滑降頂上近くの溶岩岩塔標高700mの緩傾斜面に出たところ行きのトレースが消えてしまった林道板状節理が発達仁宇布から黒岩山遠望溶岩岩塔で山座同定できる感想:GW前半に積もった雪が10?位あり、前日は雨。下部の林道はスキーが使えてラッキーだったが、滑降は湿った雪に難儀した。ザラメだったらもっと楽しめたと思う。今季ラストの山滑降は人の気配の全くしない超マイナーピークでした。
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2021-5-4 20:26 |
新境地・5月の初イグルー、悪天下のシェルター
こんにちは。イグルスキー米山です。 これまではイグルー作るのは4月半ばまでと思っていましたが、一昨日〜昨日と白馬の乗鞍岳で泊まりました。硬いザラメ雪ではできないと思っていましたが、今年は、ノコさえ入れば長細いブロックを取り出せる「トレンチ切り出し法」を発見したので、構わずやってみました。 四日間かけて糸魚川まで縦走のつもりで栂池から登ったのですが、この日の天候が予想外に悪く、暴風雪視界無し落雷付きの久々の大ピンチになりました。寒気が不安定に影響したようで、天気図からは読めないけれど、ここ数日の竜巻騒ぎなどと関連があったのかもしれません。こういうときにどこでも泊まれるイグルーが作れると、とりあえずそこで泊まれます。 1時間でできたイグルーの中で安堵して落雷を聞き、暴風の音も壁越しに遠く聞こえますが別天地でした。吹雪から身を守り落ち着いて考えれば致死的な事態には決してなりません。結局この日のうちに雪倉岳まで進めなければ、後半はエスケープもない計画なので、断念となり本日下山しました。 吹き込みも多少あったけど、10時間たっぷり眠り、下りました。5月の連休は天候が不安定なことが多いです。まさかこの季節にもイグルーができるとは思わなかったのですが、陽気燦々、気温高温にさえならなければ作れますね。 明日は、この季節のイグルー製作で気付いたことを書いていきます。 きょうはここまで。またね。 山行記録: 白馬の乗鞍岳・悪天でイグルー避難・糸魚川まで行けず後退 2021年05月03日(2日間) 白馬・鹿島槍・五竜, 積雪期ピークハント/縦走 / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com |
2021-5-1 22:24 |
クマネシリ倒木危機一髪
嵐の日、針葉樹林帯でイグルーこんにちは。イグルスキー米山です。 11年前の記録から。思い出深いイグルーエピソードです。 北海道東部の、クマネシリ山の山行でした。一日目はすごい低気圧がやってくるので強風でした。何もこんな日に雪山に登らなくても・・と思うかも知れませんが、嵐のとき針葉樹林の中にいるのは(稜線で吹雪かれるのに比べ)とても安心です。樹林が風を防いでくれるから。翌日までには低気圧が通過する見込みで、中腹で泊まりました。もちろんイグルーで。 道東3月下旬の標高760mはあまり良い雪ではなく、ご覧のようなゴロゴロブロックで70分かけて作った、とあります。 大木が強風で倒れるところを初めて見た。イグルーが出来上がったころ、近くのトドマツがグルングルンと、しなり始めました。わずか数m横にある、結構背の高い木です。どっちに倒れるんだろう。イグルーに倒れたら、また作り直しだな。 こんなに太い大木でもどこか弱点があり、こんな機会が来ると、終わりのときが来るのか。木が倒れたらもちろん危ないのだけど、突然倒れるわけでもなく、時間にして数分の間は、倒れどころを探すように揺れていました。やがて方向を定めるように、イグルーとは逆側にメキメキと倒れました。見ている僕らはただ見守るばかりでした。 数えてみたら、年輪は100年ちかくありました。明治終わり頃、じいちゃんと同じ頃の生まれだ。 クマネシリは「竿掛け山」アイヌ語で「竿をかけたような形の平らな山稜の山」という意味です。山頂部は急な三角形ですが、特徴的な平らな台地があり、幅200m〜500m、長さ10kmもあります。絶壁に囲まれていて、一箇所だけゆるい斜面の尾根があり、そこを狙いました。当時は(いまも?)記録も見かけず、探検的な計画で、ギアナ高地に例えていました。その時の記録です。 山行記録: 道東 クマネシリ岳(1586m) ギアナ高地からアタック 2010年03月21日(2日間) 道東・知床, 積雪期ピークハント/縦走 / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com イグルスキーブログ、4月始めから3週間ほど更新してきましたが、明日から山登りで暫く留守にします。 きょうはここまで、またね。
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2021-4-29 11:06 |
本場エルズミア島、北極圏人のイグルー
こんにちは!イグルスキー米山です。 きょうはぜひ紹介したい写真本があります。カナダ北極圏のヌナブット準州、エルズミア島の父子トゥーキルキー・キグクタクとジョピーに作ってもらう1981年撮影の写真集。作者はドイツ人のウーリ・シュテルツァー氏。 ?? まずはキチンとしたブロックを切っています。どうですか?この丁寧なブロック。雪のコンディションは最高の場所を選んでいます。気温が低くて、適度に締まっています。トゥーキルキー氏のことば「いちばんたいせつなのは、良い雪を見つけることだ。やわらかすぎても、かたすぎてもいけない」とあります。良くない雪では、この製法、うまくいきません。この大きさで重さ8〜12kgとあるから、「かるかた雪」です。でも基本は同じです、イグルーには、丁寧に切った大きなブロックが必要です。 本場技術は、お手抜きなし。登山用の米山式と違ってブロックの積み方が大マジです。誰でもできる「壁厚・中ずらし式」や、「細長ブロック橋掛け式」ではなく、板状のものを整形して、渦巻状に立てて並べ緻密に傾けてはめていく高等技術。これは特訓がいりそうです。接合面の幾何学的な整形技術は妥協なき職人級です。息子が、父のワザをじっと見つめている、というのにも納得します。これぞ文化遺産でしょう。私も始めはこれに挑戦して、敗退しました。あっちが崩れ、こっちが崩れてしまいます。 煙突と、窓、玄関イグルーがかわいい大人数で使うから結構大きめ。なのに2〜3時間で作るそうです。中で炊事すると熱気がこもり、米山式なら穴だらけなので問題ないのですが、トゥーキルキー氏のイグルーは煙突をつけ、あかり取りの窓をあけ、ガラスの代わりに海氷をはめこみます。学生の時雪洞の停滞であまりヒマなので鍋の底に雪を溶かした水を凍らせ、それを少し温めて丸い氷ガラスを作ってはめたことがありました。光は入りますが、景色までは見えなかったです。「入り口問題」は、もうひとイグルー作って華麗に解決しています。これはこんど試してみようか。ブロックさえとれればたいして時間もかからなそう。前室付きのイグルーができました。下の写真、窓と煙突が見えますね。いつかイヌイットに教わりにエルズミア島へ行きたいです。 「イグルー」をつくる ウーリ・シュテルツァー:写真と文 千葉茂樹:訳 あすなろ書房1999年 きょうはここまで。じゃあね。 |
2021-4-28 20:40 |
幼稚園でイグルー作って、中でこどもとお茶を飲もう
こんにちは!イグルスキー米山です。 町の中でも作れます青森市に住んでいた時、よく庭に作りました。青森の積雪はすごいですよ。家の一階部分は見えなくなります。道路は除雪車がやってくれますが、屋根の雪も落ちて集まるし、ガラス窓には板を掛けます。屋根のない車庫は悲惨です。庭にイグルーを作るといっても、正確には、庭の積雪の上にイグルーを作るというわけです。信長の安土城みたいですね。 雪山の上の、このイグルーまで階段を切ったり、滑り台ができたりで、とても楽しいです。私も子供のときは魚屋から運んできた木の空き箱を何十個も組み立てて、巨大建築を作って遊びました。立体的で狭い穴ぐら迷路ほど、心躍るものはありませんね。うちのこどもは近所のおねえさんともだちを連れてきて、中でおやつ食べていました。 山の上で作る時との違いこれだけ積雪があっても標高が低いので、気温が高い日も来ます。氷点下で深々と降り積もるような日が何日も続けば山と同じですが、気温が上がってプラスになると雪が溶けて硬くなるので切るのに苦労します。カキンカキンになって、ノコも入らないほど氷みたいになったのは、作れません。特に除雪の雪を集めたような雪山は、雪が氷のように硬くなっていて、ブロック加工が難しいです。 降ったあと誰も踏み固めていない雪がよいです。でも降りたてのふわふわ雪では駄目。低温下で自然に締まった雪が、加工しやすい雪です。屋根の上なんかによくあります。倉庫の上などに、はしごをかけて登ると、良い雪があります。良い雪というのは硬いのにサクサク切れる雪です。 この写真では横にある車庫の屋根の上に、良い雪がたくさんありました。青森の車庫の作りはすごく頑丈です。このあと甲府に引っ越したとき、2014年の2月に歴史的災害級の1mくらいの積雪があって、甲府の町じゅうの車庫の屋根がぺしゃんこになっていました。作りが違うんですね。あのとき甲府の自宅前でもイグルーを作りました。すぐに気温が上がって、降りたてなのにべしゃ雪だったので、くっつきやすい柔らかいブロックで、あっという間に作れたけど、午後にはとけて屋根が落ちました。 こどもの通う幼稚園の庭に作って園長先生に捧げて、子どもたちと潜って遊んだこともありました。青森の人は冬中、もくもくと雪かきをしています。はしゃいでいるのは子供だけで少々気まずいのですが、もっと家にイグルー作ったら楽しいんじゃないかな、と思いました。30万人の都市でこれだけ降るところは世界中探してもここだけって聞きましたよ。 きょうはここまで。またね。 |
2021-4-27 21:56 |
イグルー・秘密の屋根ふさぎ法
グーテンベルクのブロック編集というのにしたら、ブログの編集の勝手が代わり、レイアウトがガタガタですが、もう公開します。忙しいんです。徐々になおします。誰か教えて〜! イグルー作りの関門はやはり屋根を塞ぐところです。ブロック切りが未熟だったり、雪が難しかったりすると、小さくてころころしたブロックしかとれず、これでは縦の壁はなんとか載せられても屋根までは作れません。どんどん積み上げて、手が届かなくなるサイロができてしまいます。 それでも屋根を作って泊まりたい場合、ストックやスキーなどを「橋かけ」すると、驚くほど楽にブロックが乗り、落ちてきません。ストックやスキーは寝ているときは使わないし、翌朝にはブロックが固まっていて、ストックやスキーだけすんなりと抜いたりできます。これは不思議。 足りなければノコで木の枝をいただいてきて、同じように橋掛けすれば良いです。樹林限界以上でピッケルしかない場合は、2本を互い違いにして二か所でシャフトを縛れば、まあまあ長い梁をつくれます。8人用連結イグルーひょうたん型を作るとき、真ん中の梁にする長くて丈夫なブロックがうまく取れず、この手を使ったことがあります。ただ、あまり長かったり力がかかったりする部分にストックを使うと、重さでたわみが出来てしまうこともあるので、ストックが苦しんでいないか、よく見てやってください。 弘前大学山岳部と津軽半島の山でイグルー山行をしたとき、初心者が多くてスキートラブルが多く、初日にイグルー適地の標高まで達する前に日が暮れてしまいました。ろくなブロックが取れないところで8人の宿を作るため、最後はこの手を使いました。大ピンチ!と思ってもなんとか切り抜ける。リーダーはいつもニコニコ。新人にまで不安を与えなくてもなんとかなります。 そういうわけなので、イグルーを試したい方は、保険にテントなど決して持たず、ノコとスコップだけで雪山に向かってください。 きょうはここまで。またね。
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2021-4-26 20:31 |
イグルー出入り口問題
イグルーの出入り口どうするか?ほぼ二つの方法で落ち着いています。 1.雪が多いところ=小さいドーム=深く掘り下げこのタイプでは、雪庇脇などに作ることが多いので、雪洞みたいに横の急斜面側から出入りします。下に掘り下げて最後に室内を整形して横に広げたときにでる「くず雪」を捨てるのにも玄関の前に傾斜があるから便利なのです。
作るだけ作って、閉じ込められてから、自分で掘り進んで脱出することもあります。床が決まらないと穴の位置が決まらないので、出口ホリが最後になります。横穴部分は吹き溜まりで雪が柔らかいので、大体苦労なく脱出できます。最期は蹴っ飛ばして脚から外へでます。外が傾斜のあるところなので、くず雪をすてるのが楽ちんです。とはいえ、イグルー内を広げたときに生じる「くず雪」、床に均等に敷き詰めて、踏んでしまえば沈んでなくなります。苦労して排雪しなくてもいいです。
2.雪が少ないところや平坦な所に作るときこのタイプは、地上部分の一番下の段をイッコ外しておいて、そこを出入り口にします。下に掘り下げていくから、出入り口は室内の床より高いところになり、出入りの時は滑り込むような方法になります。アポロ宇宙船の司令船乗り込みの気分かな。イッコ開けた壁は作る時にその上に「橋かけ」をしてどんどん積んでいきます。入り口はザックがぎりぎり入る狭さで良いので、これでよし。初めは小さく積んで最後に両脇ブロックを必要に応じて広げます。橋掛けするから、あんまり穴の幅が大きいとブロックに苦労します。
外からもブロックを供給する方針の時は、内外を出入りできる方が便利なので、入り口の上の橋かけを、あとの方までせずに作業することもあります。
入り口のふさぎかたはスキー以外は何でも中に入れます。ピッケルは壁に刺して、物を掛けるのにいいし、スコップやノコは中でまだ雪をとって食用にするのに必要。アイゼンも中に入れると、朝、風のないところでつけられます。 ふさげる量の中サイズのブロックをいくつか内側に入れておき、ノコでかけらを整形しながら入り口に薄い壁を作ります。下の方は厚めに、上の方は薄くてもOK。風の強い日は隙間も丁寧にふさぎましょう。さあこれで安眠の宿の完成です。マットを敷いて、靴を脱いで、お茶を飲もう。 寒くなければ、ツエルトでも下げてノレンにしておくだけでも良いです。閉めちゃったらトイレは行けないの?その話はまた今度。 きょうはここまで。またね。 |
2021-4-25 16:51 |
映画・ブータン山の教室
こんにちは、イグルスキー米山です。イグルーブログではじめてのイグルー番外日記です。 きょうは「ブータン山の教室」という、ブータン映画を見てきました。ヒマラヤで「最も時代遅れの国」ブータンの、標高4800mの58人の村ルナナの、こども8人位の学校に行くことになったスマフォとヘッドフォン好きのやや態度の悪い若者の先生が、やがて心を入れ替えるというシンプルな話ですが、時代遅れ(時代錯誤)な登山愛好家としては必見です。 『ブータン 山の教室』公式サイト 『ブータン 山の教室』2021年4月3日(土)より開校ロードショー bhutanclassroom.com 私は22歳のとき1986年に、はじめてネパールヒマラヤの植物調査隊の下働きでヒマラヤの奥地に3ヶ月連れて行ってもらったのですが、延々歩くだけが交通手段の100年前の事態で、今回のルナナみたいなところをめぐり歩きました。はだしの子供、お祈りすること、すきま風吹く粗末な石造り住宅、焚き火で美声で歌う男たち、ヤクのうんこを焚き付けに火を炊くことなど、全てそのころ見覚えのあるシーンばかりでした。主人公もおそらくその年頃で、10万人の大都市ティンプーから沢登りしながら8日かけてそんな所に行ったのだから、当時の私の受けた感激とそう変わらないと思います。 軸になっていたのが「ヤクに捧げる歌」という民謡です。歌はやっぱり聴くだけじゃなくて、歌うものなのです。無伴奏で、のどを使って、気持ちよさそうに山に向かって歌う歌、これがやってみたくなる気持ちもわかる。この映画は、ピーター・バラカンのラジオ番組で紹介されたのですが、その時かけた曲は、ブータンの歌手Lhamo Dukpaがブータン語に訳したボブ・ディランのWith God On Our Sideでした。Apple Musicにありました。 全国でほそぼそとリレー巡回するみたいなので、気長にお待ちいただき、縁があれば映画館で御覧ください。残念ながらサントラ音源などはまだのようです。 穏やかな語り口調のルナナの村長が、アフガンで撃たれた中村さんによく似ていました。主人公はサッカーの香川選手?チベット人やブータン人は、絶対誰か知り合いに似ている人がいます。あの襟合わせする着物も、日本で流行らせたいものです。 山行記録: ネパールヒマラヤ アンナプルナ山群、ランタン山群 1986年07月18日(91日間) アジア, ハイキング / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com |
2021-4-24 21:54 |
イグルーを雪洞と比べると
こんにちは、イグルスキー米山です。 「イグルーです」というと、「雪洞ならやったことがある」という人は結構います。冬山を何年かやった人ならば。雪洞はテントに比べて安心のねぐら、悪天をやり過ごすのには最適です。私もイグルー以前によく作りました。20泊くらいかな。今回は雪洞との比較を試みます。 雪洞に技術は要らないイグルーをやったことのある人はほとんどいないのに雪洞経験者が多いのは、高い技術が要らず、誰でも力任せで掘ればできるからです。これがイグルーに対する雪洞の唯一最大の利点かな。イグルーは、これまで書いたように、初挑戦ではなかなかできません。 作れる場所:雪洞、積雪2m必要×イグルーはどこでも雪洞は、雪庇のできるような、稜線の傾斜側など、積雪が2mはないとできません。結構限られる場所です。イグルーはそういうところももちろんですが、まっ平らなところでも作れるし、積雪が30cmで、一段取ったら地面が出ても、極端な話できます。周りから広くブロックをとって集めればいいから。イグルー面積の3〜4倍も敷地があれば十分です。万一何か事故が起こったとして、そこでその場でシェルターが作れます。利尻山の南稜で幅1.5mの細い絶壁の上でも作りましたよ。 製作時間:雪洞2時間×イグルー40分雪洞は時間がかかります。3〜4人用の穴を掘るのにどうしても2時間。狭い入り口から中で広げるので、始めは作業も一人です。切り出したブロックを、イグルーは壁に使えるけど雪洞は捨てるだけだから、進みようも倍違うというわけです。 雪洞は体が濡れる×イグルーはさわやか雪洞ホリは狭いところで寝転がったり座ったりで、すごく体力使うので交代しながらやりますが、中の人は湿気と汗で体が濡れ濡れになります。私の学生のころはゴアテックスは貴族しか買えなかったので、カッパを着てやりました。イグルーは、オープンエアだから全然濡れません。まあ吹雪のときは逆にシビアですが。イグルーは、他のメンバーもブロックが切れる人なら、外からバンバン切って使えますから、更に短時間になります。外からブロックを供給する見込みのときは、床下は3段も下げないで済むので、始めの直径を1.5mではなく1.8mくらいの大きめに始めましょう。 雪洞は真っ暗×イグルーはほんのり明るい穴が空いているから昼か夜かわかるし、外の天気も気配がわかります。雪洞は閉じたら真っ暗で、外に出ないと何もわかりません。 雪洞は酸欠あり×イグルー通気良しテントや雪洞は酸欠があります。ストーブの火が消えた、とか、夜中に何故か息が荒くなって目が覚めたとか。あわてて穴をあけるということもあります。イグルーは穴だらけなのでありません。タバコもおならも早く消えます。今はやりの換気もバッチリです。 天井の沈下 雪洞あり>イグルーなしまあ学生じゃないから何日も停滞することも無いかも知れませんが、雪洞で長居すると、何日目かには天井が低くなって圧迫感があります。イグルーは3泊くらいしたことがありましたが天井が軽いせいか沈下はそれほどありません。暖かい季節は駄目でしょうけど。 *** というわけで、イグルーの圧勝です。作れるようになってしまえば、雪洞に戻る必要がありません。がんばって身につけてください。 きょうはここまで、またね。 山行記録: 利尻山 南稜 1992年04月24日(4日間) 道北・利尻, アルパインクライミング / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com
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2021-4-24 12:42 |
2021春メイン1年班南日高(楽古岳〜襟裳岬)
2021春メイン1年班南日高(楽古岳〜襟裳岬)(積雪期ピークハント/縦走/日高山脈)日程:2021-03-12〜2021-03-20メンバー: nikonikoaokazu kasaisnt yumepporo Mt-sunnyコースタイム:写真:暮れなずむ空。スーパーニッコリ。岬が見える。サラバ日高。始まりはデカ盛り。南へ。仲良しイグルー。そろそろ国境稜線とサラバ。二カンベツは結構細い。こんにちは海。on the road勇ましきL。急登の後、目の前に楽古ピーク。楽古山荘。素敵。岬に参上六人衆。感想:あの頃に戻りたいと思うときがあるが、時間は過ぎ去ってしまう。思い出は、自分が大事にし続けていればどこにも行かないからいい。そんな現役最後のメイン、そしてルームでの4年間。
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2021-4-23 21:42 |
穴だらけでもいいのだろうか
こんにちは、イグルスキー米山です。 講習ではいつも、三段目以上は穴だらけのイグルーを作って、あとから埋める方法を紹介しています。雪山で実用するには、一刻もはやく屋根を塞いで、作ってしまいたいという事情があるからです。 本当は、漫画のエスキモーみたいにきれいな積み上げのかっこいいやつを作ってもいいのですが、何せ急いでいて、ハードな行動のあとに疲れていて早く腰を下ろして靴を脱ぎたいし・・・というわけでスピード第一で作ると、まずは隙間があいていても壁を作って屋根を塞ぎ、あとからそこにブロックのカケラを載せたりかぶせたりしていくという方法が早いのではないかと思っています。案外美しく作っても40分でできるなら、それでも良いのですが。 穴を塞ぐときのコツ穴を塞ぐときは、ブロックの出来損ないや、一段目や二段目の特大ブロックの角などをノコギリで切り取って、それを隙間にあうように置いたり、かぶせていきます。厚さ5cmくらいでもいいので、かけらでないと、サラサラ落ちて行ってしまうし、風で吹き飛ばされてまた穴があいたりもします。気温の高いベシャベシャ雪だと、スコップですくってモルタルみたいにかけてもいいときもあります。注意点は、隙間に無理やりかけらを突っ込んで押したり、叩いたりすると、微妙なバランスで組んである屋根が崩落して、また20分ほどやり直しになったりするので、やさしく行ってください。しばらくすればくっついて強くなるのですが、できたてのホヤホヤのときは不安定です。 気温が低くない、風も無いときは無理に完璧に塞がなくても良いです。眠れない夜に、隙間から見える一等星や月明かりなども風情があります。そよ風も気持ちいいときもあります。風流を楽しみます。湯気や湿気も抜けるし、タバコの煙もすぐ消えるし、まあコロナ的には換気もバッチリですね。タバコの人は立ち上がって天井付近で吸うと、分煙にもなります。 風が強い日は、丁寧に塞ぎます。どんなに塞いでも、風が強いと少しだけ吹き込んできます。寝場所を決めたあとでも、気になるようなら、内側からでもノコで整形したブロックをはめて対処できます。面倒くさくて放って置くと、雪が吹き込んで積もったりもします。昔の旧恵迪寮で漆喰壁と柱の隙間から雪が立てた三角板のように積もっていたのを思い出しますよ。 例えば富士山みたいに、降雪が極端に少ないのに風がすごく強い山では、この隙間からサラサラと冷たいグラニュー糖が吹き込んできて、これはどうしようもありませんでした。朝起きたら何センチも体の上に積もっていました。 逆に知床では、まる二日の暴風雪で寝ていたら、イグルーが、上まですっぽり埋まってしまって、天井部分が地面になってしまうほど吹き溜まり、静かな空間に変わってしまいました。出口が何メートルも先まで吹き溜まりましたが、吹き溜まりのフワフワ雪ですから、どうって事はありません。 この二つは改めて、「困ったイグルー」コーナーで紹介します。 でも中には性格がきちんとした人などで、「とりあえず穴だらけ製法」ではなく、「美しく40分製法」もできるかもしれません。要はブロックを丁寧に切って、整形する手間を早く済ませればよいだけなので。色んな人に経験を増やしてもらえば、イグルスキーよりよい方法はまだまだ未発掘で、もっと上手な人もでてくるとおもいます。 次は本場エスキモーのイグルーを紹介しようかな。 きょうはここまで、またね。
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2021-4-22 23:03 |
どこでも泊まれるってことは
イグルーは積雪が30cmあればどこでも泊まれます。これが、雪洞と違うところです。雪洞は積雪2m、しかも稜線の雪庇の脇のような、急な、風下吹き溜まり場所に限られます。でもイグルーは、新雪では駄目だけど、ある程度締まった30cmがあれば、人里でも作れます。雪さえあればどこでも泊まれるということです。絶壁の上でも、平らなところでも。針葉樹林帯でも、山頂でも。吹きさらしでも、吹き溜まりでも。テントだとストレスになるあらゆるところで安眠できます。とても自由です。 どこでも泊まれるということは、泊まっては駄目なところを知っているということ。どこでも眠れる、何でも食べられる、誰とでも仲良くなれるという人の本当の意味は、本当に泊まったらやばいところ、食べたら本当にやばいもの、付き合ったら本当にやばい人を知っている、直感で、知識で判断できるということです。 寝ていたら殺されるような場所を避け、食べたら体調を崩すものを避け、関わったらやばい人を見分ける、これが何でもできる人です。海外旅行で、山で、これは実感できると思います。その感覚を磨くことこそ、山登りの醍醐味です。 イグルーも、作ってはいけない場所があります。それは、雪崩の通り道です。イグルーはどんな暴風雪にも耐えられますが、雪崩だけは助かりません。これだけは避けましょう。どんなところを雪崩が通るかは、たくさん雪山に通って学んでください。とても大切なことです。 北大の山岳部には、1965(昭和40)年3月に札内川の雪崩遭難といって、6人が就寝中の雪洞の中で大雪崩に遭って亡くなる死亡遭難事故がありました。リーダーの沢田義一さんは、その後数日生存して、ポケットの中にあった地図の裏に、家族や、部員や、メンバーの家族にあてた遺書を書き残していました。 破格の規模の雪崩とはいえ、沢の中で泊まったことが失敗の原因でした。いつまでも憶えていてほしい遭難事故です。 |
2021-4-21 22:15 |
雨の夜は屋根が落ちます。
イグルー最大の弱点は、気温が高いと屋根が落ちることです。ありましたよ、実際に。夜中にしとしと雨が降ってきて、屋根がどんどん低くなってきて。こんな雪山でマジかよ〜。雨だれも増えてきて、2時頃ドスンと落ちました。予兆ムンムンだったから、「ああ、落ちたか」という感じで、寝袋から出て靴履いて、パッキングしてツエルトかぶってお茶沸かして飲んで、明るくなったら出発しました。寒くないから、死ぬほどのことはありません。 3月中旬の白神山地です。3月でも気温が高くてこんな事あるのです。眠る前に、小物を整理整頓しておきましょう。記録参照↓ 山行記録: 白神山地県境縦走(尾太岳〜二ツ森) 2012年03月16日(4日間) 白神山地・岩木山, 積雪期ピークハント/縦走 / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com 屋根を作ったあとで気温が0℃以上になるようなら、屋根は作らないほうが賢明です。私は夏も冬もタープを愛用していて、こういう季節は床下2段から壁を2段ブロックを積んで、高さが30cm×4になったら、スキーやストックを梁にして、足りなければそこいらの枝を渡して、その上からタープをかけると、雨にも強い良いテン場ができます。タープの紐はピッケルなどで固定。足りない分は小枝にくるくる巻いて雪の下10センチくらいに埋めて踏み固めます。これからの季節はこれです。通気性もよく、ドームテントより広くて快適ですよ。こういうときはツエルトよりも張りやすいです。 2016年4月、安房峠〜乗鞍岳縦走の記録です。↓ 山行記録: 安房峠【安房山、十石山、硫黄岳】位ヶ原滑降 2016年04月30日(3日間) 槍・穂高・乗鞍, 積雪期ピークハント/縦走 / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com タープは夏も主力です。テントフリーつながりの話なので夏のタープもひとこと。タープは、雨の日もその下で焚き火ができるのがたいへん便利です。雨や泳ぎで濡れた体が焚き火でパリパリに乾いて、ザーザーやまない夜でも快眠です。出発するのが嫌になります。雨の日、タープの下で焚き火をして二度寝するなんて、最高の贅沢ですね。 私のタープは6畳間くらいの正方形です。4人余裕で泊まれます。20年くらい前、登山用品店で作ってもらいました。四隅にハトメ、その中間にもハトメ、3mくらいの細引きを6本つけてあります。「テントフリー」なので、夏もこれです。重さ500g。たたむとトマトジュースのPETボトルくらい。 山行記録: 峠二つ越え黒部横断。針ノ木岳・蓮華岳、其々 2019年07月26日(3日間) 剱・立山, 沢登り / yoneyamaの山行記録 www.yamareco.com
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2021-4-20 21:54 |
教えその5 重いブロックを持ち上げる
こんにちは!イグルスキー米山です。 意外と苦労する人がいる、切ったはいいけどブロックが重くて持ち上がらないという問題です。これまでの写真を見ると、12月〜2月くらいの樹林限界以上の雪はサクサクの「かるかた雪」でホイホイ切れてホイホイ持ち上がるのですが、3月半ば以降になると、気温も上がり日射も浴びて、雪が徐々に高密度になります。なるべく大きなブロックを切ろうと言ってはいますが、持ち上がらないと壁が積めません。特に力の弱い人も中には居ますから、自分が持てる限界で、切りましょう。1段目、2段めなら、30cm×30cm×30cmのサイコロ状でもなんとかなります。3段目、4段目なら、細くするため、縦割りにしましょう。 とはいえコツもあるのです。私、以前合気道をやっていました。合気道というのは相手の手首や肘などの弱点を軽く掴んで、非力な人でもそのお互いの体の位置関係と動きと呼吸によってワザをかけ、思いもよらぬ大きな力を発揮するのです。か弱い人がポンポン人を投げ飛ばす不思議なコツがあります。その一つが、 へその前で息を吐きながら仕事をすると、強い力を出すことができるというものです。ヘソですよ。体の中心。両手を自然に前に垂らしたら、そこです。台所で包丁使う時、ワザをかける時に相手の手首を掴む時、全部ヘソの前20cm以内です。重いブロックを持ち上げるときは、前かがみではなく、膝を曲げ腰を落として、自分のヘソをブロックの前に近づけるのです。ブロックを持ち上げるというより、自分のヘソを近づけるようにして、そのあと一緒に立ち上がりましょう。いま流行りの、「寄り添う」ってやつですね。だから立ち膝とか、正座とかして、まずは自分の姿勢を低くします。簡単だけど、非常に大事です。凍って硬いブロックにノコを入れるのが続くときも、なるべくヘソの前になるように、自分の立ち位置と姿勢を工夫しましょう。疲れないために、とても大切です。 床においた鞄の中を探したり、地面のものを拾ったりするときも、小さめのリュックを背中からおろして中を探すときも、脚をたたんで片膝をついて、ヘソを落とし背中を立てて作業しましょう。そのほうが格好もいいです。 きょうはここまで。またね。 |
2021-4-17 13:08 |
教え4トレンチ法で解決
トレンチ!大きくて長いブロックを角を揃えて取り出す方法これまでの話で、イグルーを早く作るのは、大きくて長いブロックを角を揃えて切り出すのが大事と話しました。標高の高い(つまり樹林限界以上)、気温の低いところだと、簡単なのです。軽くて硬い「かるかた雪」なので表面も、下の方も、サクサク切れてホイホイ持ち上がって、積めばピタリと安定します。厳しいところほど楽勝なのです。ノコギリも、ギコギコやらなくてもマグロ解体問屋さんみたいに、刀みたいにサクーッと切れます。 しかし標高が低いところは、特に3月にもなると、以前に気温が上がったりして硬くなった層があったり、上のほうが厚く「ずっしり雪」だったりします。そういうところは、なかなかきれいに切れません。ノコ目がきれいに角まで届かないんですね。たとえきれいに大きなブロックを切っても、重すぎて持ち上がらなかったり、屋根材に使うには重すぎだろうと諦めていました。でも、ポイントはノコギリをちゃんと入れることなので、ノコギリを入れやすいように、はじめの一列トレンチを思い切って捨てることにしました。今年思いついた新技術です。 はじめの一列はトレンチを掘って捨て、大きいのを狙う。足元からブロックを出すのに、はじめの一つはノコの切れ目が縦にしか入らず、下面は入らないから、これは崩して掘りごたつみたいにして捨てます。そして、次からは下面にもノコを入れつつ、スコップの幅〜30センチほど、予定の場所に一気に長さ150cmの溝(トレンチ)を掘ります。掘り出すときは上に向かって外開きの角度で切れ目を入れるのをお忘れなく。30cm×30cm×30cmの小さめのブロックでいいです。これはブロックとしては小さいので、壁としては使わず、最期の穴塞ぎ用に脇に置いておきます。でも壁一段目なら幅30cmあれば正直何でもいいのでもったいないから使ってもいいです。 外開きのノコ目 切れ目は、ブロックを取り出す方向に微妙にひらいていないと切れているのに取り出せないです。トレンチなら上方向に微妙に開いた角度で。手前に出すなら手前側にも微妙に開いて。 溝ができてしまうとその両脇からブロックを取り出しやすくなります。下面にもノコの刃を入れられるし、こちら側があいているから楽です。150÷3で3等分、ちゃんとノコの切れ目を入れて大物をいただきましょう。 このとき、端っこではなく真ん中のブロックから切り出します。端っこは壁際なので、外開きにノコ目が入れにくいからです。真ん中だから、堂々と外開きします。そして真ん中が抜けてしまえば、両端のブロックは2面開いているから、もう外開きでなくても大丈夫です。足元から一段あたり、トレンチの両脇に2列ずつ、合計12個の特大ブロックが取り出せます。これがちょうどイグルー一段目の周りを囲む数にあう計算です。実際は入り口を開けるから11個でいいですね。壊れたり、欠けたりありますから、そのときは続いて掘る床下の2段めからもらいましょう。壁の2段めは図のように、計算上は8個あればよいのです。 三段目、四段目は次回に。 きょうはここまで。またね。
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2021-4-15 20:38 |
教えその3 どうして屋根が落ちないの?珠玉のワザ2つ
↑どうですか?このひどい格好のイグルー。屋根が潰れて、平らになっているけど、落っこちて来ないのかな?と思いませんか?イグルーはこんな屋根でも、気温さえ上がらなければ、カチンコと固まってくれます。雪同士くっつく不思議な習性があるのです。
はじめは本場北極圏人のイグルーみたいに幾何学的なパネルを、切り口に角度つけて傾斜をつけてはめ込んで載せて見ましたが、難しくて駄目です。手を離せばブロックがぼろぼろ落っこちます。ネット動画でエスキモーの実演見て、本当にやってるんだ!と信じられませんでした。 重力に逆らって屋根が落ちないための技術が2つあります。長年やってようやく考えつきました。その1・ブロック壁の幅を厚くして、載せるときは傾けず水平に置き、内側へせり出させる。壁が傾いていくからブロックの上面も傾けてしまうと、滑り落ちやすいですよね。あるとき気が付きました。傾ける必要ないじゃん!ブロック上面はあくまで水平にし、その上に載せるときは平らなままぐぐっと内側へせり出します。壁の厚みが薄かったり、ブロック表面が凸凹だとこれができません。そのためにも1段目と2段めは大きくて、接合面の平らなブロックが必要なのです。じゃがいもみたいなのはいくら積んでも駄目です。ブロックが幅30cmあれば、10cmは内側へ出せます。 その2・長くて細いブロックで橋架け式に屋根を塞いでいく。?これを発見して、ようやくイグルーを安定的に作れるようになりました。「その1」のまま3段目、4段目積んでいくと、厚いブロックは重いので、持ち上げるのも大変だし、不安定で落っこちてきます。だから3段目以上は、その大きな30cm×30cm×50cmのブロックを縦割りにノコで切って15cm×15cm×50cmとか、20cm×20cm×50cmとか、とにかく50cmの長さは活かして、細く割ります。なるべく雪の層と平行に切るとより折れにくいです。そうすると軽くなって、ホイホイ屋根が塞げます。上の写真では50cmといわず1m近くありますね。この頃になると、ブロックは割と深いところから切り出しているので、脆くなく、軽く硬い雪質(かるかた雪)になってきているのも都合がいいです。 できれば隙間が開かないようにやってもいいですが、山では急いでいるのでとりあえず穴だらけのドームにしてしまい、あとから塞ぎます。室内から見上げると、多角形の模様がきれいです。こういう屋根の建築が、コーカサスのグルジアだったかイングーシかダゲスタンだったかカラチャイ・チェルケス共和国あたりにあるそうです。建築家の旧友に教わりました。「ラテルネン・デッケ」っていうそうです。命名はドイツ語ですね。ラテルネは明かりの意味です。 書いてしまえば簡単だけど、ここに至るまでに私は10年以上遠回りしていました。惜しげもなく教えます。さて次は、理屈はそうでも、細長いブロックを壊さずに掘り出すワザも重要ですよね。以前は、簡単に掘り出せる雪と難しい雪があると思って、難しいところでは諦めていました。でも最近はそんなところでも切り出すワザを見つけました。この写真は先週の栂池です。もうすっかり重い雪になっていますね。これでも作れましたから。ちょっと疲れますけど。 次回あたりにそれを話します。 きょうはここまで。またね。 |
2021-4-14 22:09 |
三つの道具を選ぶ
↑私の道具です。黒い柄がゴムタロー、木の柄が同じシルキー社のノコ、スコップは30年くらい前のブラックダイアモンド製です。イグルー作りに欠かせないノコとスコップとあると便利な防寒テムレス雪崩レスキューのため、スコップは個人装備ですでに持っていると思います。イグルー作りにはあと、薄っぺらいノコギリ、これだけです。テントの代わりの重量としては、かなり軽いものですね。私は冬も夏も、ノコギリが一番頼もしい装備です。これさえあればテントとストーブの代わりになります。ノコギリを持って山に行く人は多くないかも知れませんが、ノコを使わなければきれいなブロックは取れず、イグルーも作れません。 ノコギリノコのオススメはずばり、上の写真にあるシルキー社のゴム太郎30センチ以上(刃渡り)です。ノコの長さはすなわちブロックの大きさの限界を決めるので、この長さは譲れません。もう少し長くても良いくらいです。木製ではなくゴムの柄が画期的だったのでこの名前がついているようです。 https://www.silky.jp/items/102-21-2.html 換え刃だけでも売っていて、柄にテープだけまく人も居ますが、柄は立派なゴムグリップを付けたほうが仕事が捗ります。硬い雪ブロックも切るし、立ち枯れタンネを切って焚き火もするので、私の山登りでは大活躍します。 もうひとつ大事なのが柄の形です。カーブして、握った時に小指がぐっと引っかかり力が入る形のものが良いです。ゴム太郎など、林業用、剪定用のものは、ちゃんとそのあたりが現場で支持されている形なのですが、登山用のものなどで、パッキング重視のせいか、柄がまっすぐだったり、棒状だったりのものがあります。ブロックをいくつも切り出すので、春先など雪が硬いと、しょぼいグリップだと握力を使い腕が疲れます。ヤクザが小指詰めると、ドスが使えなくなるんですね。 また、柄の長さは片手で持って小指までの短さのものが適しています。狭い場所で取り回すためです。林業用の、刃が40センチ、柄が30センチのような両手用の物は、刃が長いのは良いのですが、柄が長くて引っかかります。 ステンレスの刃も錆びると切れ味が落ちるので、帰宅したらすぐ鞘から抜いて、よく乾かし、機械油を塗っておきます。
スコップイグルー用の最適スコップはなるべく平べったくて、両側に反り返りがあまりついていないものです。ブロックを取り出す時にノコの切れ目に差し込んでパコッと出すだけの役割なので。だいたい何でも大丈夫です。スコップの柄は、写真のような短さが最適です。深い穴の中の狭い場所で取り回すので、長すぎる柄は邪魔になります。短くできるなら最短でセットしましょう。 防寒テムレスもうみんな使っていますね。2013年くらいから登山愛好家のあいだで徐々に広がりました。お値段がうれしい現場価格で、手が蒸れない完全防水、しかもボア入りで温かい。氷点下13℃くらいまでなら行動中でも使っています。イグルーづくりは雪を持ち運ぶ作業なので、とても適しています。濡れないし、冷たくない。おまけにストーブにかけた熱い鍋をつかんでも溶けないし(ただし焚き火にかけた鍋は駄目でした、高温なんですね)、熱湯の中の茹でたパスタをテムレスで手掴みしてみんなの皿に盛り分けるという荒業も熱くないです。でも雨の日に手首のところを上着の袖の内側に入れておかないと、雨だれが中に入り濡れます。そうなるとなかなか乾きません。全部ひっくり返して懐に入れて眠らないと。濡れたテムレスが凍ると危険です。毛の手袋に換えましょう。 ゴム紐をつけて腕からビレーできるようにしておくと、脱いでも風に飛ばされず便利です。私は手首から雪が入らないように肘までカバーを縫い付けて自作しています。
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2021-4-13 23:13 |
教えその2・広さについて
◎3〜4人用(円形)人の寸法はおよそ縦180cm、幅45cmで勘定します。四人だとちょうど180cmの正方形(上の図で黒い四角)ですね。イグルーブロックは円形だと強度的に積みやすいので、正方形のたて穴の上に半球型のドームが乗るという構造です。30cmを下へ三段掘り進むので、もとの雪面より随分低いところが床になります。だから積んだブロックの下も横に広げて広くできるので、3〜4人用なら少し狭めの150cm四方の正方形(上の図で橙色の四角)に一段目の土台ブロックを積みます。一段目は正方形だけど、二段目はコーナーに「橋架け」でブロックを置くから、次第にドームになっていきます。 ◎1〜2人用(小さい楕円形)180cm×90cmくらいで勘定します。楕円形になるけど、小さいから、ブロックさえ十分な大きさがあれば長い直径側の壁も大丈夫です。 ◎5〜8人用(ひょうたん島式)直径3mというようなイグルーは、やったことないですが、天井に手が届くかな?180cm×横並びで225cm(5人)というのは作った事がありました(「難」の図)。楕円形になると、長い方の壁が強度的に弱く、コーナーが遠くなるので屋根塞ぎに苦労して時間がかかります。こういうときはそれぞれ同時に二人で二つ(3人+2人とか)作って、中でつなげます(「良」の図)。各々は円形なので、所要時間は一つと変わりません。接点の壁を共有する格好なので、強くて早いです。つなぎ目のマドはなるべく広くしましょう。雪の壁越しだとお隣の声があまり聞こえないので。 ◎9人以上(アリの巣)ひとつの円形イグルーには4人まで。それ以上は増やしてつなげるという方法で落ち着いています。 4つを連結して12人用を作ったことがあります。それぞれに二つずつ出入り穴をつなげて。もう、モグラの巣みたいで楽しいです。参考に御覧ください↓。 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1083606.html ◎積雪が30cmしか無いところ強風の場所などで雪が飛ばされて積雪が浅く、下に掘り込めず、一段取ったら地面というところでは、広く周辺から一段ずつ切って集めます。段の高さは5段くらい、見た目は掘り込み式より大きくなります。でも、吹きさらしと吹き溜まりはセットなので、半径50m以内には吹き溜まりがあると思います。どうしても山頂に泊まりたいんだ、というような時くらいか。初めて作ったイグルーが、日高のペテガリ岳山頂で、一段分だけの積雪でした。改めてお話します。 ↓このときのイグルーは初冬12月で、積雪50センチでした。でも降りたての新雪じゃなかったから、ブロックができました。 https://www.life-rhythm.net/igloo/ きょうはここまで。サイズの話でした。またね。 |
2021-4-13 10:38 |
上ホロ登攀(化け物左、正面壁左クーロアール)
上ホロ登攀(化け物左、正面壁左クーロアール)(アルパインクライミング/十勝連峰)日程:2021-04-10〜2021-04-11メンバー: Takenaka2017 kasaisntコースタイム:写真:北西稜P3?2p目終了点より岩にシュリンゲ掛けて雪を被せた1p目 よく探せばナッツきまるBen Nevis感想:前十勝?の噴煙が異常。噴火しないでほしい。
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2021-4-12 21:27 |
教えその1 大きく長いブロック
まずは、いちばん大切なことを。
なるべく大きくて長細い、角の決まったブロックをバンバン切り出すこと。 これに尽きます。 講習会をやるようになって見てみると、 うまく行かない人の大体の傾向はブロックが小さいです。 刃渡り30センチのノコギリなので、30cm×30cm×50cmくらいの 大きなものを足元から丁寧に切り出して、周りに積んでいくのです。 そしてまともなブロックを取り出すには、 角まできっちりノコで切れ目を入れることが大切です。 両サイド、後ろ壁、下底と。 奥の角のところは念入りに。 スコップを入れたらコトリと動くのが、良いブロックです。 無理やりスコップをこじるようだと、奥の切れ目が不十分で、 取れたとしてもブロックが欠けます。それから 切れ目を少し外開きに入れないと、 切れているのに引っかかって出てこないというケースも よくあります。そのときは外開きのノコ目を入れ直します。 なぜ丁寧に切るかというと、そうしないと大きいのが取れないからです。ブロックはとにかく大きく面が平らなほうが、早く安定して作るのに有利です。
でも作れるブロックの大きさは決まっています。 大まかな段取りは◎一段目(紫と水色)は土台。厚み30センチのでかいやつを長辺4つ、短辺3つの長方形に並べます。直径1.5mくらいに丸く並べてもいいよ。 ◎二段目(水色)は一段目と同じ大きさのブロックを乗せます。このとき壁の厚みを利用してぐっと内側にせり出して積みます。 これだけでもう外観の壁の高さの半分60cmです。 ◎三段目(橙色)はもう重いブロックでは安定しないので、20cm×20cm×50cmくらいの細長くて重くないブロックを 切って、コーナーに乗せて橋掛けして屋根を塞いで行きます。穴だらけでもいいからまずは屋根を作り、 隙間をあとから軽いブロック載せて塞ぎます。ブロックは足元から切り出し、三段下まで掘れば十分です。一段目の雪質は日射や風の影響が強くて硬すぎたり、重すぎたり、脆すぎたりして、挫折しそうになるけど、下に行くほどよいブロック、つまり硬すぎず、重すぎず、脆くない雪になります。諦めずに進めましょう。 きょうはここまで。 話も穴だらけだけど、まずは骨格だけ話しました。またね。
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2021-4-12 1:24 |
浦臼/鳥越山・隈根尻山
浦臼/鳥越山・隈根尻山(積雪期ピークハント/縦走/増毛・樺戸)日程:2021-04-11(日帰り)メンバー: Yanke1987コースタイム:写真:同上神威尻、ピンネシリ鳥越山から石狩平野キンドー氏登頂隈根尻ピークより樺戸山感想:旭川方面に向かう途中、城砦のように見える隈根尻に登る1.林道は雪が切れている箇所がある。2.鳥越山を越えると雪庇が崩れた箇所がある。2回ほどスキー脱いで通過3.樺戸山ーコル間が唯一スキー快調、シールつけたままで降りたけど。4.隈根尻最後の登り夏道が出ている。コルにスキーデポしてピークまでツボ足5.鳥越山までシールで戻る。そこからの滑降は落枝を踏みながら。
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2021-4-11 22:37 |
栂池イグルー講習会
イグルー講習会で15個作りました。こんにちは、イグルスキー米山です。 無風快晴の春の山でイグルー講習しました。 7人参加。もう表面は結構固くて、ツボ足でも潜らない感じの雪です。栂池の標高1900m付近です。参加者の中には以前挑戦したけど3時間もかかったという人も一人いました。 まずはイグルスキー講師が4人用を一発作って見せ、そのあとみんなが一人一個ずつ作るという流れです。40分で作るのが目標ですが、今日の雪は硬くて重くて、結構時間がかかり、1時間15分かかってしまいました。2月の雪とはずいぶん違ってきました。でもこんな雪でも作れます。雪洞はこのあたりではどこにも掘れません。 目の前で見て、教わってみればできるのだこのあとみんながコツを飲み込んで一個ずつ作ります。小さめに作 ると中の作業がしにくく、大きく作ると今度は屋根が塞げる気がしません。でも大丈夫、それぞれに解決策があります。 結局、みんなは2時間ちょっとかけて、なんとか屋根を塞ぎきりました。 「これでも雪洞掘るより早いし、体も濡れない」(雪洞泊経験者) 「一人で集中してできるのがいい」(孤独の好きな人) 「達成感デカッ」(若者) 「よおし、コツが分かった」(自力で挑戦したけど3時間かかった人) 「はじめは屋根が塞げるとは到底思えなかったですよ、うれしい〜」(やや弱気だったお姉さん) 「浅いところは雪が硬くて無理そうだったけど、下に掘るといい感じの雪に変わった」(若者) などなど、発見の感想を聞きました。そうです、下に掘っていくと良い雪に出会うのです。 二日目はほぼ半分の時間でほとんどの人が屋根まで完成できました。あと二つ三つ作れば、そして、もっと標高の高い、気温の低いところ(雪が軽くて硬いのです)で作れば、40分は達成圏だと思います。 15もイグルー作ると、まるで古墳群です。 ひとまず報告でした。細かいコツなどの解説は、これからおいおいしていきます。 きょうはここまで。またね。お楽しみに。 |
2021-4-10 11:55 |
カミホロ 左クーロアール 化け物OW他
カミホロ 左クーロアール 化け物OW他(アルパインクライミング/十勝連峰)日程:2021-04-10(日帰り)メンバー: sy2017 Iida_2017コースタイム:写真:1p目 長スリング必携2p目 名物チムニー化け物OW ドライコンディション かつ草付きバシバシで登りやすかったフォローも苦笑いなのだった。ベンネビス
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2021-4-9 23:17 |
こんにちは!イグルスキー米山です。
イグルーを知っていますか?こんにちは!イグルスキー米山です。
イグルー「igloo」とは、カナダやアラスカの先住民が作って住んでいた雪のブロックのドーム状の家です。防寒、防風、防音完璧で現地調達、ほぼ手ぶら(ノコギリとスコップだけ)で、猛吹雪でも安眠できる宿です。
私は北大山岳部でイグルーを身につけて以来、雪山登山でずっと実践してきました。もう30年以上になります。この間に泊まった数はおそらく200泊くらいです。講習などもして、作った数は300くらいかな?おそらく温帯の住人としては世界一だと思います。はじめは試行錯誤だったけど、今は誰にでも作れる方法を見つけました。 私の作る登山用イグルーは冬季登山の実用第一です。テントに勝つために、3,4人用でも40分で作ります。これなら文句ないでしょう?それに、テントより快適安全軽量で言うことありません。
イグルーは誰にでも40分で作れますただ、作るのにちょっとコツがいるので、初めて自分だけで作ると長く時間がかかります。屋根がどうしても塞げないこともあります。まして冬山登山でテン場を作るときは、疲れ切って実力ぎりぎりの気分のときも多く、なかなか新しいことに手を出せません。あまりやる人が居ない理由はこのあたりではないかなと思います。 イグルーは、テントや雪洞に比べ利便性が高いのです。厳しく、長期の、雪山登山者にこそ強く推薦する技術です。その理由はおいおい説明します。誰でもここにあるコツを飲み込んで2,3回作れば、実用レベルになります。
でも、雪山登山には縁が無いけどイグルーに泊まってみたいという人、北日本の豪雪地に住んでいて、幼稚園の庭に作って子供と遊びたいという人、イグルーキャンプをやってみたいという人も、条件さえ満たせば作れます。そんな人達にも、なんとか完成できる技術を伝えたいです。
多分世界一イグルーを作っているイグルスキー米山の、唯一無二のイグルーウェブサイトです。他の誰にも出来ない仕事だから、とてもやりがいを感じます。
このブログではそのコツを、テーマ毎に書いていきます。
必要な道具、どんな場所に作るか、どうやって作るか、どうやって寝るか、どんな歴史があるのか、これまでの様々なイグルーの話、たくさんの話をしていきます。
そんなに書くことあるのか?と思うかもしれませんが、イグルーは作るたびに発見があり、自分でも驚きます。作れるようになるのは難しくないけど、奥は深いのです。
初めてのブログなので書きながら見やすくしていきます。体裁がまだむちゃくちゃですね。
きょうはここまで。またね。
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2021-4-1 2:30 |
伊豆クライミング(城山、城ヶ崎フナムシロック)
伊豆クライミング(城山、城ヶ崎フナムシロック)(フリークライミング/伊豆・愛鷹)日程:2021-03-25〜2021-03-29メンバー: nikonikoaokazu yumepporo Mt-sunnyコース状況/その他周辺情報:フナムシロックは『伊豆海の森スマイルキャンプ場☺︎IZUMI RESORT』さんhttps://www.izumiresort.com/aboutusで駐車。1日1000円なり。至近で便利、アプローチも丁寧に説明してくれた。写真:フラッシュダンス5.9ワイルドx、10a南壁のホームボーイ5.8。小川山のスラブと違って手がかりが色々ある。ジプシーマリー10a。面白い。河川敷からの城山、河川敷は車が土手まで入れる。スーパーも近くていいテンバ。七輪で仲間とチマチマやるのは楽しい。ワイルドボア、ストーンフリー10c。白い岩は気分をさわやかにしてくれるから好き。ガバがいっぱいでゴシゴシ登れる。フナムシロック、海が近い。感想:城山南壁は歴史のあるエリア、今回OSできたハートルート11aは日本のフリークライミングの黎明期を支えた戸田直樹氏が81年に初登。お手軽感は少しあったが歴史あるルートでOSグレード更新できてうれしい。みんなでキャンプして、クライミングを楽しむ、自分の好きなスタイルです。
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2021-3-31 11:52 |
コイカク夏尾根〜1823〜カムエク〜エサオマン〜神威北東尾根
コイカク夏尾根〜1823〜カムエク〜エサオマン〜神威北東尾根(積雪期ピークハント/縦走/日高山脈)日程:2021-03-24〜2021-03-29メンバー: Iida_2017 mt_furanoコースタイム:写真:カムエクピーク!南西稜を見下ろす。札内JPのトラバース。2日目の朝23からカムエク朝焼けの231903分岐から1917本当に大切なものはそれほど沢山ありません母を感じる幌尻。エサオマンの下り,少し急。ブッシュ帯を巻いたのはここくらい。コイカク23間ピラミッドからカムエク1917への登り23から見る39。まさしく男のブツである。エサオマンピーク!快適トッタベツヒュッテ。よくわからん沢,冷たかった。一応fixした1800mピナクルエサオマンから歩いた稜線を振り返る。左からカムエク,ピラミッド,右岸尾根頭ピラミッドがめっちゃかっこいい5日目の朝東西稜線の奥に幌尻。エサオマン。北日は山が一個一個でかい。感想:日高大好きっずなので日高大好き。
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2021-3-30 6:36 |
白山イグルー縦走・石徹白から白川郷
白山イグルー縦走・石徹白から白川郷(積雪期ピークハント/縦走/白山)日程:2021-03-21〜2021-03-26メンバー: yoneyama 8o8mnokataコース状況/その他周辺情報:初日雨、三日目の朝はマイナス13度くらいになったため、雪面は概して固く、スキーに適さなかった。雪の量はあり。視界不良時の複雑な尾根線、硬いと急斜面が難所になる。総合力が必要。写真:剣ヶ峰と御前峰を見上げる三方岩岳最高点1736より三方岩岳と笈岳御岳山と乗鞍岳を眺めるイグルー完成埋没の室堂白山を背に北上ゆくて別山白川郷合掌造り集落が見えた別山からの稜線右は剣ヶ峰こういうところに限って下は激流。アイゼンに変える。行く手、念仏尾根が延々。左端の白い山は20年前に南下した大笠山、その右が尖った笈ヶ岳1780mへの雪壁白山、御前峰ちらり送りの西名さんは石徹白の杉まで同行、林道はすべて雪あり左、三方崩山、右、頭を雲に突っ込んでいるのは昨日滑ってきたオモ沢源流ネコヤナギ見つけにくかったけど見つかった三ノ峰避難小屋デブリで硬い急斜面16時の気象通報で天気図を描いた記憶と違う新しい小屋三方岩山頂振り返り。銚子ヶ峰から1,2,3峰オモ沢源流のスキー、遠くに妙法山の稜線行く手に三角の笈と後ろに大笠。懐かしの雪崩の破壊、白山道路のゲート付近間名古ノ頭の急なトラバース途上三方岩岳雪崩の破壊、白山道路のゲート付近再びスキー。野谷荘司南コルのC5イグルー裏面イグルーでねる間名古ノ頭のトラバース半ばのC4右奥に間名古ノ頭。その下のコルまでスキー快適御岳山と乗鞍岳を眺めるイグルー冬季小屋は黄色く塗ってわかりやすい別山からの稜線荒島岳、赤兎方面念仏尾根へ、登り返し白山最高峰、御前峰が見えた別山への登りより、御前峰大汝への下降路は固くて急別山山頂より白山御前峰へ多少の風よけ小雪舞う御母岩、銚子ヶ峰へ内部別山山頂より白山御前峰へ三方岩岳に向かう冷え込んだが晴れた朝噴火口底部へクライムダウン、硬い。別山を振り返るイグルー道具野谷荘司南コルのC5イグルー風強し別山別山山頂より白山御前峰へ吹き溜まりとクラスト別山を振り返る乗鞍岳から剣岳まで見えている板の間はやさしい最高点半熟ゆで卵雨の登山口まで2時間半つるが山楽会提供の毛布1780mへの雪壁日が暮れる雨は止んだ、銚子ヶ峰への尾根。雪崩の破壊、白山道路のゲート付近別山からの稜線別山北面を振り返る三方岩岳最高点より野谷荘司山と今朝歩いた稜線野谷荘司山より三方岩岳御岳山と乗鞍岳を眺めるイグルー完成雨の雑木林、かわいい落ち葉石徹白のスギのある杉の林の窪地野谷荘司への登り。後ろは三方崩高いところに出入り口室堂の白山神社別山へ最期の登り二ノ峰山頂の少しばかりのオオシラビソ20年ぶりの石徹白の杉御前峰の神社御前峰の神社宮鳩の避難小屋入り口は高度感満点。重いザックで入ると緊張する御前峰へ。東側は絶壁摂氏零下13度強風扉が内開きで本当に助かった。この冬、初客かも。スキーを履いてみるが、固く、吹きだまりは潜り、スキーの底版が剥がれてしまった。雪かきしてお邪魔します。別山最期の登り木曽御嶽山と恵那山?が三角に見えるオモ沢乗っこし。尾根に登るゆくて別山シュカブラと別山シュカブラと御前峰御前峰の神社より室堂間名古ノ頭とのコルへ雪崩のネコヤナギ一番右端のルンゼを下った。固くて急でアイゼンの歯だけ刺さる感じ雪庇の最期の登り今回新調のリング朝穴ほってドアへ1780mへの雪壁ようやくシールを外してスキー林道にて手作りドリップコーヒーイグルーの屋根別山より白山御前峰へオモ沢源流のスキー三ノ峰より別山へ麻婆春雨とアルファ米間名古ノ頭の急なトラバース途上、すごく硬くて長いこういうところに限って下は激流。アイゼンに変える。スキーはここまで。尾根が細くなり、東側もアイスバーンになり傾斜つく右上は滑降してきたオモ沢の全景。下りのブナ林室堂台地への登り。昨日歩いた別山からの国境稜線ガスに巻かれ、また晴れ、三方崩山三方岩岳感想:20年前に富山の大門山から大笠、笈岳、三方岩までスキー縦走した。今回はその南の延長を北上する白山完結編。残念ながら松は仕事の都合で不参加。30年来のお付き合いのカタオカ(サンナビキ)さんと挑む。石徹白は美濃白山禅定道の正面玄関。峰を越え越え我が道で白山に登ろう。目方はスキー込みで三十キロ弱。1日目:雨の林道ずぶ濡れ。銚子ヶ峰手前まで。入山は車をニシナさんに出してもらって石徹白へ。ここは車を置いていけないし公共交通も無いのでこれしか手がない。林道はデブリが激流まで迫る危険箇所が三つ。アイゼン履いたりする。カタオカさんのシールの引掛け金具が破損し、針金で対処する。ニシナさんは石徹白杉にて引き返す。どうもありがとう。大した雨じゃないと思っていたが、下半身カッパを着なかったため、登山靴の中がドボドボになってしまって後悔。普通、雨の季節は地下足袋で、登山靴の季節に雨ってあまりないから忘れていた。覚えておこう。宮鳩避難小屋は20年前の記憶と違ってピカピカ。冬季出入り口が高度感ある高窓で、緊張する。全身ずぶ濡れの身に、小屋の毛布がありがたかった。いつもどおり、両かかとに五百円玉大の靴擦れ。靴ももうぼろぼろだ。2日目:樹林限界出て、三ノ峰避難小屋まで。全然乾かず、やる気も消沈して出発。空は曇天、強風、雨は小雪ではあった。靴以外は行動でバリッと乾いた。しかし濡れた防寒テムレスは厄介だ。久しぶりに毛の手袋+オーバー手を使う。銚子ヶ峰、一ノ峰、二ノ峰とどんどん針葉樹が減っていく。標高が2000無いのに樹林限界が低くてカリカリだ。スキーはこの日から担ぎっぱなし。視界もあったりなかったり。少々早いが霧の中思いがけずも見つかった三ノ峰避難小屋に転がり込む。風が強くてかなわない。入り口前は吹き溜まっていたが、スコップで彫りまくってドアノブまで達する。戸は幸運なことに内側開きだった。内部は清潔で簡素。白山で、福井県の県域はここより南側まで。つるが山楽会記名の毛布をありがたく使う。ここは貴重な三県境ポイントだった。またひとつ三県境を踏む。3日目:快晴強風、別山越え気温が下がり、濡れたものがバリッとフローズン。朝は凍った靴に足が入らず。アウターにインナーが入らず苦労する。靴ずれのかかとをゴシゴシやって突っ込む。拷問だ。初めての青空に別山が真っ白だ。白山本峰も初めて見えた。神々しい。続く稜線は片側が絶壁のところが多い。雪庇も大きいが、庇ではなく、こんもり根がある感じで安定している。大屏風の2276の下りなど、カキンカキンの急な斜面で、高度感もあり、尻もちついたら助からない長い斜面だ。地味に難しい稜線である。南竜山荘のある低い所には降りず、県境稜線を辿る。どこかの青い県警ヘリが飛んできて、頭上を越えていった。御岳や北アルプスが全部見える所にきょうの宿りを作る。ここ数日の雨や低温が不安だったが、イグルーの出来ない雪はない。カタオカさんには初イグルー。ちょっと小さいと言われた。確かに足を伸ばせなかった。4日目:快晴、最高点御前峰越え。スキーとアイゼンの判断目まぐるしい稜線ちゃんと早起きして6時に出る。ひたすら白くて硬い斜面を登って広大な室堂のプラトーへ。ここも犬ぞりがほしいくらい長い。視界がないと難しいだろう。お宮にて家族の幸運をお祈りして冬季小屋の位置を確認。ここはわかりやすく黄色に塗ってあり入りやすそうだ。お宮の後ろの一番広いルンゼを登る。山頂がすぐ近くに見えても遠いところが富士山に似ている。山頂のお宮も立派だ。20年近く前、残雪期に大白川から柳田くんとカメさんと登ったときのまま。山頂には岩の上にまでスキーの跡がある。今朝のものかもしれない。朝イチで登る著名なヤスヒロ氏一行のものだろうか。すごい。大汝とのコルに降りてスキーと思っていたが、ここの急斜面がすごく硬く、緊張する。噴火口周辺でスキーを履いてみるが、横滑りしながら滑落しそうで、アイゼンに付け替える。大汝から東に降りるルンゼも、ちょっとスキーという気配じゃない。標高差200mは滑落しそうだ。緊張してアイゼンで下る。念仏尾根2349の平らな稜線に来てようやくスキーに。硬い面と積雪面がくるくる変わり、重荷登山靴スキーでは結構息が切れる。稜線が細くなるとスキーを脱ぎ、また履いて、間名古の頭手前のコルを見下ろす硬い急斜面で20mほどスキーでずり落ちる。50mほど下の積雪までは横滑り滑落という感じを覚悟して滑り出したが、回転もしたし、怪我しては元も子もない。やはりアイゼンに変えるべきだった。アイゼンでもバックステップするくらいのところ。いろいろ判断の迫られる稜線だ。間名古の頭は、西側をトラバースするが、ここも樹林帯のくせに斜度45度でカキンカキンだ。100m位行って、アイゼンに替える。午後3時、この時間帯に危ないところを通るのは経験的にまずいと思った。ちょっと傾斜のゆるいところでイグルー作って泊まることにする。これがイグルーの良いところ。集中力の落ちた時間に、無理してやばいところを抜けようとしてはいけない。きょうは広いイグルーを作る。なんだかひらめいた。今回の雪は最低の質だが、足元から長細いブロックを切るには、トレンチを掘ればいいんだ。重くて硬い雪だろうが、縦割りにして使える。これで足元から三段掘れば、最期に雪捨て整形の手間も要らない。広いイグルーも遠慮なく作れるな。5日目:オモ沢の痛快スキーと視界無い複雑稜線間名古の嫌なトラバースを朝イチで済ませ、三叉峠からスキー滑降。僕の20年使っている板の、滑走面の接着剤がヘタったのか、みるみる剥けて取れてしまった。カタオカさんに登山靴スキーや竹ストックと共にボロい装備を笑いものにされる。僕は足首が自由に動く、登り重視の靴で登って滑りたいんだけどな。今回の山行では、結局雪面が硬く、ラッセルがなかったので、シールスキーで登降という場面は一度もなかった。ノリが剥がれ気味だったのでこれはラッキーだったかもしれない。オモ沢乗っ越しから取り付いた稜線は、霧に巻かれ、複雑な地形で方角や雪面の傾斜が見えず、必要以上に頭を絞らされた。急な雪壁が現れ、雪庇の弱点から這い上がるポイントも有り、なかなか簡単ではない稜線だ。しかし、広い雪原に針葉樹の点在する北海道のような場所も多々あり、そんなところでは鼻歌がでる。サンサーンスの3番とか。そろそろ集中力も落ちてきた、明日の下山射程範囲に入ったので野谷荘司山の南コルでイグルーを作る。トレンチ式、次回の講習からはこれを教えよう。コルに下る前の高いところで岐阜バスに電話をかけ、明日の高速バス名古屋行きを予約する。電波通じた。今回は結構テン場では通じない。6日目:三方岩から白川郷へ下山高曇り。野谷荘司山から行く手の稜線を眺める。視界があるってありがたい。北方の笈岳が三角に、大笠が真っ白に、美しい。三方岩からの下りは北側の急斜面をトラバースして尾根に乗るのだが、ここがまたカキンカキンに凍っていて怖い。20年前はここで視界ゼロ、フワフワ新雪の急斜面で、状況は違うけど、それも怖くて不安だった。このルートは下山路にするにはあまり安心できる尾根ではない。尾根はずっと傾斜が強く、先が見えないくらい急だ。雑木林に入っても急だ。ヘアピンカーブを見て確認したのも思い出した。あのときはこの雑木林を転がりながらスキーで降りた。馬狩の道路は大雪崩で被災していた。トンネルを越え、白川郷へ舗装道を長く歩く。有線放送で「恋はみずいろ」お昼だ。バスターミナルで靴を脱ぎ、久しぶりに足の指をぐっと伸ばし五本指靴に履き替える。クロッカス咲く合掌集落を散歩して天ぷらそばでビール。バスではどっと眠り込んだ。56歳と65歳。ふたりまもなく誕生日。スキー板もビンディングも靴も全部オシャカになってきた。イグルー技術だけは作るたびに発見がある。
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2021-3-30 2:35 |
利尻山 仙法師第二稜
利尻山 仙法師第二稜(アルパインクライミング/道北・利尻)日程:2021-03-24〜2021-03-27メンバー: kasaisnt nrtk7写真:落陽小屏風は右から大きく捲いてローソク岩とのジャンクションへ。第一ギャップからの登りはザイル出した。P2基部から振り返る。マオヤニキレットの懸垂。P1への登り。ここから右へ回り込むが意外と立っていた。立派なブツである。P2からの懸垂2p目。ガスの中よくわからんルンゼや雪壁を登る。P2上から。稜に上がり、西壁と相対する。ピーク。2p目終了点から振り返る。ここから雪壁登って南稜へ合流。バットレス基部。エスケープルンゼを使わずに仙法師第二稜を忠実に行ったがアップダウンあり結構面倒。その後のリッジも一応ザイル出してく。第一稜とのジャンクションはどこを登れば良いのかよくわからない。西壁を眺めながら。バットレス1p目。朝日快晴の下、汗だくで大空沢を行く。バットレス。雪少ない。3p目。圧倒的な雰囲気。無理せずP2基部を整地して泊まる。バットレス頭より。感想: トレーニングとして前から行きたかった利尻仙法師稜へ。出発2日前にらくようで南稜を登ってきたという信大の現役達と飲む。バットレス、除雪されちゃったかあ…。3/24 ギリギリに準備して結局眠れぬまま0時ごろ札幌発。笠井と限界を感じたら交代しながらのロングドライブで稚内へ。予報が安定せず不安なので、2日分の停滞食をプラスした重いザックを担いでフェリーに乗り込み、仮眠を取って利尻に上陸。バスに乗って栞橋で下ろしてもらい、Sea to summitのはじまり。 気温はプラスで快晴アチアチの中、大汗かきながら大空沢を歩いてCo500付近から第二稜に取り付く。メインを貫徹して体力的に仕上がっている笠井と、クライミングばっかりしている成田、一気に差をつけられる…。・1072あたりから尾根は所々細かったり急なクライムダウンが出てくるので、EPに換える。特に深い理由も無くよく使われるエスケープルンゼではなく、尾根を最初から忠実に登るこちらを選択したが、アップダウン多くめんどかった。Co1130コル付近の風から守られそうなところを整地してC1。第一稜とのジャンクションの登りは全部壁って感じでどこを登るのかよくわからない。時間あるので偵察に出るが「まあ、ここかな…?」程度の確信しか得られずにテンバへ帰る。3/25 この日はガスガス予報なので停滞のつもりでゆっくり起きる。が、外を見ると高曇りではあるが、周囲の視界はばっちり。いけるじゃん…と思ったが、明日明後日は確約された好天で特に焦る理由も無いのでこのまま惰眠を貪った。ダメ人間である。だが気持ちよかった。3/26 外を出るとなんかガスっている。まあ晴れるでしょうと出発。稜から右に雪壁トラバースからの雪壁、木登りから急なルンゼ登り、のちリッジを左にのっこして雪壁登りと彷徨いながらなんとか第一稜とのジャンクション。他のパーティーはどこを登っているのだろうか?と思わせられるようなよくわからない登りだった。バットレスが思いのほか近い。しばらく稜線歩き、クライムダウンで第一ギャップへ。ここは超快適テンバ。第一ギャップの登りは笠井リードで1p50mザイル出して行く。ハイマツピーク?から細いリッジなので一応2pザイル出して第二ギャップへの下り口まで。第二ギャップへは20m程の懸垂。ここから成田リードで左から回りこんでハングしたエビの尻尾を叩き壊してリッジへの復帰を試みるが、思った以上に手がかりの無い垂壁&除雪えぐいので諦め、反対側の右の雪壁をザイル出して20m程クライムダウン、そこからはザイルつないで笠井リードで1p100mぐらいのトラバース&雪壁登りでローソク岩とのジャンクションへ這い上がる。ここからマオヤニ沢の源頭へ懸垂。支点は岩に残置リングボルトとハーケンがあったが心もとないのでハイマツ掘り起こした。マオヤニ沢源頭の雪壁に下りてからは雪壁登りで南稜とのジャンクション、P2基部へ。ここは快適に泊まれそうで、バットレス基部にまで進めるにはやや微妙な時間なのでここで泊まることにする。P2基部を削って(今シーズンこの後南稜か仙法師稜行く人すみません、結構邪魔な感じで削りました。)テント張る。中々緊張感があっていいテンバ。3/27 P2の登りは急だったが朝で雪が堅かったのでノーザイルで登れた。P2頭からは懸垂2psでP2、P1のコルへ下りる。支点はどちらも出ていて楽させてもらった。1p目の懸垂はリッジな感じの懸垂なので注意しなければ振られたり変なところへ下りてしまうところだ。P1へはリッジから素直に浅いルンゼを直上し、ルンゼ終点からザイル出して笠井リードで1p50mで右に回りこんでからの一部岩の露出した木登りからリッジ登って左にバンド状トラバースでP1を捲いた形でP1の基部まで。ちょっと行くと信大のものと思われるテンバ跡があった。ここは絶景のいいテンバだ。また今度泊まりたいなあ…。目の前にはバットレスが立ちはだかる。雪は所々ついているが、この時期としてはかなり少ないのではないだろうか。リッジのクライムダウンをしてからバットレス基部へ。岩角とナッツで支点作りいよいよバットレス登攀へ。リード空身方式は時間かかるし、何より「トレーニング」にならないのでスノーシューとストックはフォローに預け、リードも全装担いで登る。1p 成田 50m 7m程登って右にトラバース、そこから残置リングボルトとRCCのある下部のえぐれた5m程度の垂壁を直上するが、ここが普通に難しい。がんばって登るが、あと一手で垂壁を抜けるというところで、マントルの全てのホールドが浮石という絶望的状況に。つらい体勢でレストして攻略法を探るが、回復よりパンプのスピードの方が早い。マジか…。ちょっとクライムダウンして、ザイル張ってもらう。場所が場所である以上ここで時間かける訳にも行かないので、フリーは諦めRCCにシュリンゲかけて簡易アブミとして乗り込み、何とか浮いてなさそうなホールドを探して掴んで垂壁を越える。そこからは右にバンド状をトラバース(ここも触れるものほぼ全て浮石でひどかった)し、氷の張ったチムニーに入る。氷にアイスフックを決め、このピッチとしては快適にチムニーを登り、そのあとはまたもクソボロい壁を10m程悪態をつきながら登り、左にトラバースしてハイマツのリッジへ。ハイマツのリッジを10m程登ってハイマツテラスのぶっといハイマツ掘り起こしてビレー。核心垂壁は二人分のスノーシューストックとテントとジェットボイル担いだフォローの笠井も苦戦。終了点について2人とも苦笑い。だがこれで核心は越えた。2p 成田 50m 目の前の壁を左から回りこんで浅いルンゼを登りテラス状に出る。テラスを少し右に行くと一段へぼい氷の張ったルンゼがあり(残置あり)、その一段を越えたところで潅木とイボイボでビレー。3p 笠井 45m 一段岩を越えて、S字ルンゼ?を登ってリッジに乗ったところのハイマツでビレー。ここから確保なしでザイル引きずってバットレス頭へ。更にコンテで南峰を右から捲いて本峰基部へ。成田リードで40mで急なリッジ登って本峰ピーク。本峰でザイルしまい、北峰へ。天気は少し悪くなってきているが、四方が海に囲まれたこのピークはいつ来てもユニークだし、気持ちがいい。やはり今年は雪が多かったのか、ピークの祠はほとんど完全に埋まってしまっている。 あとは北稜を歩いて下山するだけ、と思っていたが、下っていると次第に風が強くなり、長官小屋付近では、マジで吹っ飛ばされそうな爆風に耐風姿勢を何度もとりながらの下山を強いられた。絶海の独立峰なので標高を下げても下げても風は弱まらず、最後まで気の抜けない山行となった。樹林帯に入ってやっと安全圏、モービルトレースに導かれ北麓野営場へ。セコマで腹と酒を満たし、翌朝フェリーで稚内、帰札。
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2021-3-27 11:58 |
積丹/屏風山〜赤石山(南東尾根滑降)
積丹/屏風山〜赤石山(南東尾根滑降)(積雪期ピークハント/縦走/積丹・ニセコ・羊蹄山)日程:2021-03-27(日帰り)メンバー: saito1987 Yanke1987コースタイム:写真:赤石山頂上屏風山頂上からニセコ羊蹄赤石山南東尾根を遠望屏風山取付からポンネアンチシ山屏風山左に伸びる尾根を登る当丸山屏風山西面トーマル峠付近から屏風山〜赤石山の稜線大天狗山(右)泥ノ木山Co600付近から緩い沢型へザラメの尾根を飛ばそうよ尾根頭から屏風山頂上を往復赤石山から南東尾根へ滑降開始尾根は樺の疎林帯鉞山東面感想:西積丹の屏風山から赤石山(△998.7)をスキーで繋ぎ、赤石山の南東尾根を滑り降りた。この尾根は西積丹の山塊で唯一山スキーに適した尾根かも。パウダーよりも今回のようなザラメの時期がおすすめ。上部は緩やかな疎林帯を滑り、Co600の小ポコから浅い沢型へ。そこからCo500の岩峰状の下部を捲くようにしてスキーヤーズレフトの斜面へ移る。下部は密な灌木と植林の急斜面となり、滑降は楽しめない。
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2021-3-21 9:38 |
赤井川/三角山〜二ツ森〜銀山〜稲穂嶺
赤井川/三角山〜二ツ森〜銀山〜稲穂嶺(積雪期ピークハント/縦走/積丹・ニセコ・羊蹄山)日程:2021-03-20〜2021-03-21メンバー: saito1987 Yanke1987コースタイム:写真:三角山手前のリッジは南へ迂回する先週の本倶登山余市と阿女鱒銀山頂上へ稲穂トンネルに下山青蝦夷をバックにスタート二ツ森頂上直下三角山を滑る銀山を滑る三角山の北面はパウダー滑降三角山三角山へは樺の疎林帯が続く・714ピークから銀山、遠く八内岳二ツ森と・714ピーク稲穂峠へ三角山から北上三角山頂上感想:先週に引き続き、分水嶺をスキーで踏破。全体に標高が低く派手なピークこそ無いが、右に赤井川カルデラ、左にニセコ羊蹄の絶景を眺めながら渋ポコ群を幾つも越えていく。途中入り乱れた小地形を無視し、できるだけスキーに有効なラインを見出してゆくので退屈はしない。三角山はこの名の通り山容で、周辺では目立ったピーク。東側に細いリッジがあり、スキーでは鬱陶しそうだったので、南側から回り込む。日中の腐り雪に難渋しながら二ツ森を越え、夕方近く銀山のピークへたどり着く。夜半からの天候悪化に備え、肩に雪洞泊。眼下にすぐ銀山の町の明かりが見え、降りたくなる衝動を我慢。翌日朝は高曇り。11時には雨が本降りとなる予報なので、急いで下山する。電波塔?の林立する稲穂嶺周辺から稲穂峠へ。ひと昔前は函館小樽を繋ぐ一級路線の峠だったようだが、トンネルができて今やその面影もなし。
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2021-3-21 4:48 |
上ホロ登攀(八つ手右→化け物右、正面壁中央クーロアール)
上ホロ登攀(八つ手右→化け物右、正面壁中央クーロアール)(アルパインクライミング/十勝連峰)日程:2021-03-19〜2021-03-20メンバー: Takenaka2017 Nakagawa2019コースタイム:写真:2日目は晴れ終始快適正面壁デビューしましたCSベルグラのF1(たぶん) 感想:沢での全身で耐えるような悪い登りやE赤岩でのトレーニングなど全てが繋がっていると感じた。もう春だけどまだまだ登り足りない。ピーク直結の素晴らしいクライミング。また一つ、イケない遊びを覚えてしまった。
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2021-3-21 4:05 |
神威山荘〜シビチャリ山〜1839峰南西稜〜コイカク夏尾根⇄1823峰
神威山荘〜シビチャリ山〜1839峰南西稜〜コイカク夏尾根⇄1823峰(積雪期ピークハント/縦走/日高山脈)日程:2021-03-06〜2021-03-13メンバー: sy2017 Takenaka2017 Nakagawa2019 TnkYutaro2019コースタイム:写真:シビチャリ山手前の岩稜23背景に本パーティ初ピー写戦慄の瞬間朝焼け燃ゆるカムエク39とΩ39直下の下りニセヤオロより歩いてきた稜線23クリームシチュー雑炊いよいよ入山リーゼント?シビチャリ山周辺入山祝い細さと雪庇で上を行けない時はブッシュ帯を巻いた39からニセヤオロまで感想:やっぱり日高はいい。日高主義者と傾奇者(?)が爆誕。
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2021-3-17 12:58 |
冬季赤岩 西奥ダイレクト
冬季赤岩 西奥ダイレクト(アルパインクライミング/札幌近郊)日程:2021-03-17(日帰り)メンバー: sy2017 nrtk7写真:2p目フォロー きつい3p目。普通にむずい。3p目フォロー2p目。むずいがプロテクションは快適。1p目佐藤。むずい上にプロテクションはハーケン。感想:アイゼン登攀が大嫌いだった数年前には夢にも思わなかった6級ルート。大先輩とこのような困難なルートにトライでき単純に嬉しい。適切なプロを決めたら多少ランナウトしながらも、しっかりと登るのは流石でした。巷(一部?)にファンも多い"ベガ雄"(ベガ卒業済み)ことSYと赤岩の西奥ダイレクトへ。無雪期手登りでもそれなりに難しいが、アイゼンアックスだとどうなるのか気になって行ってみた。1p目 佐藤 出だしのハングが既に難しい。が、佐藤は吠えながらフリーで突破。しかしその上のつるつるで残置ハーケンでA0。その上のバンド状もそこからの右スラブトラバースも全部むずい。しかもプロテクションは9割以上へぼい残置ハーケン。それでもこの男は叫びながらも1箇所A0はしたものの安定したムーブで突破していった。しゅごい…。あ、僕は初っ端から諦めてA0祭りでした。2p目 成田 最初の5mぐらいのトラバースを慎重にこなし、一段直上するところが夏と変わらず第一核心。傾斜強い。1,2手フッキングで身体上げてガバを持ってから、足とか無いけど腕力ゴリ押しで突破。上部クラックはじわじわと登って最後のマントルはクラックにぶっさせるので夏より楽な感じで越えて無事アックスフリーで終了点まで。3p目 佐藤 夏は4級だし簡単でしょうとか思っていたがそんなことは無かった。変な角度のクラックにねじ込んだり、足がつるつるだったり、バンド状に上がるところがバランス悪かったりと普通にむずい。でもやつは叫びながらも簡単そうに越えていく。フォローのほうがやられてたんじゃないか!?トップアウトする頃には風強く雨or霙降っていてしんどいので即降りる。1.5年前にはクレッター手登りでギリギリ登れるようなルートを、まさか冬季に大体フリーで登れてしまうとは思わなかった。冬季赤岩の素晴らしさをまた確認してしまった。赤岩5+くらいのトップロープ→カムイ岩→千代死別or赤岩5級含むマルチor上ホロむずめルートor雷電ドーム壁とかの流れは凄くいいと思った。
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2021-3-14 12:23 |
本倶登山〜美比内山〜千尺高地
本倶登山〜美比内山〜千尺高地(積雪期ピークハント/縦走/札幌近郊)日程:2021-03-13(日帰り)メンバー: saito1987コースタイム:写真:気持ちの良い樹林帯美比内山から無意根山積丹半島方面手前三角山と奥珊内岳裏余市本倶登山から滑降開始美比内山近く長万部岳〜大平山方面千尺高地から北斜面を滑る赤蝦夷本倶登山頂上無意根山をバックに美比内山へ・792から本倶登山途中天狗岩京極地下発の揚水池を横目に緩い雪原をスキーで進む感想:ここ連日の晴天で山はすっかり春のカタ雪に。スキーの機動力を生かして札幌の奥座敷を踏破。微地形とラッセルで冬は1日以上かかる行程(本倶登〜美比内)を半日で。下りは北斜面のヤワ雪を求めて千尺高地まで足を延ばす。
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2021-3-7 12:14 |
黒松内岳
黒松内岳(積雪期ピークハント/縦走/道南)日程:2021-03-07(日帰り)メンバー: Yanke1987コースタイム:写真:ブナの森を滑降林道より、700mクラスの山にしては白いブナの森を登る頂稜を行くピークより二股山下降、上部の急なところ長万部岳方面夏道尾根よりピーク、結構急狩場、でかい山塊感想:澄み切った青空の元、ブナの森を快調に登るとピーク手前の急斜面が迫ってくる。結構急でクラックも発達しているので隣の尾根に移る。Co660でスキーをデポ、ツボ足。山頂からはこれまで登ってきた山々が見渡せた。下山は移った先の尾根を末端まで辿り沢を経由して林道に乗る。沢中は雪多くあまり苦労しなかった。
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2021-3-3 1:17 |
雷電 ナイル川
雷電 ナイル川(アイスクライミング/積丹・ニセコ・羊蹄山)日程:2021-02-26(日帰り)メンバー: Iida_2017 nrtk7写真:2p目フォロー悪人面1p目フォロー2p目出だし。アバラコフロープ直通しでクリーンに下降。上のしょぼいのも律儀に登った。1p目トラバース。遠望。感想:やっとバーチカルアイスに自信が出てきた今シーズン絶対に登りたかった雷電のナイル川。前々回来たときは下部がぼっきり折れていて敗退、前回は微妙につながっておらず敗退。今度こそは、と意気込んで向かうと完全復活とは行かなかったが辛うじて繋がっていた。崩壊部分はルーフ状になっていてかなり厳しそうだが、ルーフ下に奇跡的にバンド状氷があってそこを左トラバースで氷柱に乗り移ればいけそうなのでそこを登ることにする。1p目 成田 40m 7m程氷柱を登ってバンド状を左トラバース。巨大ツララとカンテ状の間を挟まってカンテを乗り越え、左端のグズグズの垂直氷を直上。一段休める棚を経て更に垂直ぐらいの氷壁を10m程登って傾斜が落ち、左端の氷柱にスリング巻いてスクリューでバックアップとってビレー。2p目 成田 60m 一段5m程の垂直ないくらいを登って、緩い氷を20m、そこから所々クラゲハングとなっている垂直を20m程登って落ち口。ちょっと登っていっぱいになったのでアバラコフとスクリューでビレー。3p目 飯田 30m もうナイル川は終わりだが目の前に7mぐらいのしょぼい氷があったのでせっかくなので登る。立ち木でビレー。下降は潅木、アバラコフ、アバラコフの3ps懸垂。下部が通常よりもエキサイティングな形で楽しめた。
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