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92カムチャツカ第二次遠征 »

ハバロフスクの夜

フラテ山の会 小杉 尚


 我々がアムールの河畔に着いたのはもう九時を廻った頃であった。ハバロフスクの長い昼が漸く終わりかけ、夕陽が照るにはまだ早い、そんな時刻であった。我々3人は山行終了後、他の7人と別れ一日だけこの街に留まっていたのである。


ハバロフスクの空港前にテントを張る




 遥か向こう岸も見えない洋の如き大河には船が散在している。一部はどうやら遊覧船の様である。そこで3人はその内の一隻に乗ることにした。ところで、この船はかなり可笑しい所があって、遊覧船であるのに観光客の姿が全く見られないのである。客は地元の若い男女ばかりであった。




 何故か我勝ちに船に乗り込もうとする彼らに混じり、何とか中に入ってみて初めて、理由が察せられた。外からは分からぬが、中はカウンターがあり、一種のバーの様になっているのだ。我々はそこを後にし、景色の見渡せる二階へと上がって行った。




 ところが、船の出港と同時に急に階下が騒がしくなった。どうやら唯のバーではなくてディスコになっているらしい。ここに来て全ての疑問が解けたのである。即ちこの船は単なる遊覧船出はなく、一種のデートコースとなっているのだ。道理で若い男女ばかり乗るのである。「ウーム大変な船に乗った」と思っている内に、一人のロシア人が話しかけてきた、ナポレオンを片手に。彼は英語を解せず、我々も露語を解せない。それでも何度か互いに杯を揚げれば心も通じる、気持も昂じる。そして彼と共に階下へ踊りに行く事になった。




 さて、ディスコは物凄い熱気である。ハバロフスクは見廻った限りでは歓楽街がある様子は無かった。従って、若者達のエネルギーはこの様な場所でしか発散されぬのではないだろうか。それ故、ここには濃縮された活気があるのだ。彼らは飲み、唄い、叫び、踊り続けた。船が再び元の河岸へ戻るまで。彼らに混じり、踊り疲れた我々が船を後にしたのは夜も十二時を過ぎてからである。疲れた身体にアムールの川辺を通る風が心地良かった。




 ロシアの素晴らしい若者達に、そしてハバロフスクの熱き夜に乾杯。

 
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