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2/29-3/6(6-1) 2年班春メイン-39at,23敗退-
L井村(4 AL井ノ上(3 M高橋 田中(2

 

【時間とルート】

 

一日目:晴れのちくもり

ピョウタンの滝3km手前のゲート(9:20)札内ダム(10:20-30)登山口(12:15)コイカク夏道尾根末端=C1(16:40

札内ダムまで車で余裕で入れると思ったら、だいぶ手前で黄色いゲートが現れた。仕方ないので、そこから歩くことにする。しばらくとぼとぼ歩いていると、一台の車が僕らに声をかけてくれた。なんとこの人、土木関係の係長らしい。話を聞くに、つい先日、札内ダムに行く道で雪崩が発生したとのこと。ゲートはそのためのものらいしい。なんと運がないのだろう。係長は、僕らがこれから山に登ると聞いて、札内ダムまで乗っけてあげようと言ってくれた。そのために、二人ずつ分乗して、わざわざ一往復してくれたのだった。そして、去り際には名刺もくれた。帰りも電話をしてくれとのことだった。この言葉に一同感激。最後に係長と一緒に記念写真を撮ってようやく入山することに。

登山口までは暗いトンネルを行くが、途中にかかっている橋のラッセルが腰まである。そのために、一々スノーシューへの履き替えを余儀なくされた。これが結構面倒くさい。

登山口からはラッセルがごくい。げたでズボズボ。基本的にひざで、腿の時もある。雪崩は特に心配ない。ラッセルにかなりの時間をとられたが、なんとか尾根末端までたどり着いた。テンバでは、ドライバー鹿島の差し入れが、身にしみた。

思わぬゲートに阻まれ、しおしおする人たち

 

二日目:快晴

C1(6:05)Co1620(15:10-17:05)Co1320=C2(18:05

この日は、夏道尾根から稜上まで上がる計画だった。しかし、前日のラッセルに急斜が加わり、パーティの足取りは重い。途中あまりの不快さに、トップが空身でラッセルをすることにする。夏道尾根は、計画通りCo1400あたりから東側に1から2m程度の樹林内セッピが見られた。また、所々岩もあった。硬くなるのは、この樹林内セッピが終わり、岩が出てくるCo1500あたりから。岩は、ちょっとした段差になっていて実はコイカク直下よりも面倒だった。しかし夏道のルート状らしく、ロープが張られているので何とかなる。さて、結局予定テンバには結局たどり着かず、Co1620に冬テンをはり、ブロックを積む。ここは、稜上脇で、テントが一張り程度可能で、ある程度の風なら防げそうな所だった。しかし、天気図を取り、寒冷前線が夜にかけて通過することがわかる。少し話合った末、樹林内のCo1320の広いところまで降ろすことにする。風が強まってきている中、ラテルネをつけてもと来た道を戻った。

 

 

 

 

三日目:晴れ

C2(8:05)コイカクpeak(10:10)=Ω3

この日は、昨日までの長時間行動の疲れを癒すべく、たくさん寝て遅めに出発。昨日あんなに苦労して登った道をラッセルもなくサクサクと登った。コイカク直下は、確かに急だが、ブッシュも生えていてそこまで問題ではない。また、登っていてわかったのだが計画に記した、コイカク直下の掘れそうな所はなかった。稜上に出ると、日高の山々がわれわれを待ち受けていたかのように厳としてそびえ立っている。その中でも、39は特に雄々しく見えた。稜上は、十勝側に2,3mのセッピが張り出している。下から見た絵はなんだか、空沼岳に行った時に見たものと似ている。コイカク頭はブッシュがすぐに出て、とても掘れそうになかったので、・1560に降りる尾根の頭に強固な、少し広めのΩを立てた。

ところで、この日われわれは出発前に帯広労山と名乗る一人の男性に出くわした。なんと39にatするのだと言う。

コイカクピーク直下

 

 

四日目:雪:気圧の谷

Ω3(6:25)コイカク岩稜分岐手前(6:40-7:30)Ω3=Ω4(7:50

この日は、視界があまり無さそうなことから23atを目指す。天気図的に午前中は持つと思われたが、5:30に外に出てみると風はないがあいにくの雪。視界の回復を待ち、空のガスが少し晴れてきた時に、出発してみる。しかし、コイカク岩稜への下りから先は視界100程度しかない。一時間待っても良くならないことから、この日はAtを諦めて、休養を兼ねてstayすることに。テンバに帰って天気図を作成すると、オホーツク海にLが発生していた。

 

五日目:晴れ→快晴

Ω4(5:35)ヤオロ(7:05-7:15)39(11:25-11:40)ヤオロ(13:50)Ω4=Ω5(15:15

いよいよ勝負の日。この時期は5:30から明るく動けるので早めに出発。稜上に出ると風強い。出だしの尾根の下りであの男性と挨拶を交わす。もう39をatしてきたとのこと。少し萎えるも気を取り直して行く。コイカクからヤオロまでは固くサクサク進める。セッピは十勝側に1m。局所的に3mある。

 

ヤオロ手前のCo1740ポコから岩が出てくる。上行ったり捲いたりして対処。ヤオロで少し休憩して39へ。ヤオロの下りからニセヤオロまではナナシの吹き上げ。気になる風である。セッピは十勝側に1,2m。ニセヤオロから前衛峰までは、両面セッピが問題となる箇所だが、名無し側にブッシュが豊富で、またそこまでナナシ側はきれていないので捲けば全く問題ない。見方によっては、樹林内セッピの延長にも見えてくる。またセッピも概ね南向きで、「両面」というのは、恐らく部報14号のグラビアのように、時折南北に波打つような状況を言っているように思えた。この稜線は全体的にALが主に前を行き、積極的に捲いた。

右にも左にも飛び出ている。

 

切れているのは、前衛峰の手前で、Mがザイルを要求したので、ザイルを出す。30m1p。とは言っても、ここは固くなく、蹴り込めばすぐにハイマツが出てくるところだったので、あまり怖くはない。前衛峰からも十勝側にセッピが出ているが、細くなく緊張しない。

 

 

問題の39直下は確かに急だが、硬くはない。ただ落ちてしまったら、ルンゼっぽいところを抜けて谷に滑落してしまうところ。Mがザイルを要求したのでここでもザイルを出す。30m。

ピーク手前のザイルを出したルンゼ地形

この時点で、引き返し時間の11時だったが、行きはセッピ判断よりも、捲きによるラッセルにより時間がかかったことを踏まえ、帰りは行きよりもだいぶ早く抜けれることを想定し、atを試みることにした。この急斜を登って、また少し急な斜面を登るとようやく念願の39peak。ピークに立った時には、視界∞。日高の最深部から贅沢にも南北の稜線を見つめた。帰りの39直下は、fixしておいたザイルを使って、BSして降りる。あとはトレースを辿って来た道を帰る。予想通り、帰りは素早く抜けることができた。

その夜イグルーでMのおしっこ穴からネズミが飛び出てきた。

 

 

 

六日目:くもりのち雪

Ω5(5:15)ピラトコミJP(7:30-40)Ω5(9:15-11:00)夏道尾根末端(12:30)札内ヒュッテ=C6(14:45

 

この日は23atの日。午前中はH圏内であるとの読みで、早朝にテンバを発つ。稜上は気になる風。コイカク岩稜は計画通り上を行ったり、ナナシ側、コイカク側を捲いた。ここは特に問題なし。岩稜を終えた後で、23が、ガスり始める。とりあえず、ピラトコミJPまで行って判断することにする。JPまでは稜上を行く。概ねBushは近く、セッピは十勝側に1m程度。特に問題なくJPまで。JPに着いた時点で視界2,300程度。これから悪化傾向であると判断して、早くに引き返すことにする。帰りは来た道を行く。コイカク岩稜を登っている時点でなぜかガスが晴れだす。テンバに戻り、茶を飲み、翌日の南岸Lが来て、帰りのラッセルがひどくなる前に下山することにする。その後3時間ほど晴れた23を遠くに見ながら下山する。楽勝トレースがあったおかげで、即行で札内ヒュッテまで。コイカク沢は、堰堤付近で表層雪崩が発生しており、デブリがあった。橋はきれいに除雪されていた。札内ヒュッテは、こぎれいな2階建てでベチア程度の広さ。二階は畳で、物干しざおも完備されている。装備を干して下山祭りをする。

 

七日目:くもりのち雪

C6(8:00)札内ダム(9:00)ゲート(10:30

遅めに起きて、ヒュッテを発つ。歩きなので、あっという間に札内ダムに着く。札内ダムに行く道は除雪されていなかった。しかし、この先何もないこと、またトンネル内に非常用の電話があること、またここからドコモ携帯が通ずることからここを最終人家にしても何ら差し支えないと判断する。とりあえず、期待していたあの係長の名刺を片手にMが電話をかける。しかし、あいにく今日は雪のために工事をしていないらしく、現場に今日はいないらしい。がっかり。仕方ないので、一同ゲートまで歩くことに。ゲートに着いてからは本物のタクシーを呼んだ。しかしそれから程なくして、一台の車がゲートまでやってきてとまった。どうやらこの人も、札内ダムに用があったらしいのだが、このゲートに足止めを食らったらしい。この人にだめもとでヒッチ交渉してみると、二人までOKとのこと。車に乗って事情を話してみると、なんとオフィスの人に携帯をかけて、近くのレンタカーを調べてもらい、帯広空港まで乗せてってもらうことができた。ごっつあんです。ここのトヨタレンタカーで車を借りて、またゲートまで戻る。ゲートでは冬テンが一つぽつんと立っている。クラクションを鳴らし、寒々と震えたMを回収した。こうして春メインは幕を閉じた。

 

1839峰

 

【パーティ】二年班春メイン。39成功、23敗退。

Ls:天気判断ミス(6日目)、進め方判断遅れる(2日目)

L:装備チョンボ。 AL:前行けた。M:頑張った。口出しできた。ザイルワークもう少し。

田中:トレペ忘れた。

 

 

〈追記:これからこの山域に行く人のためにアドバイス〉

・電波はドコモが強い。auは今回のゲートでは入らないCo1300以上で入る。

・車は基本的に札内ダムまで入れるが、今回のような例外的な場合もある。

・札内ダムに人が常駐しているかどうかは、怪しい。ただ今回が例外的だったのかもしれない。ただし、報告で述べた理由から札内ダムが最終人家になりえると思う。

 

<ルートに関して>

 

・コイカク沢は中州が大きく、注意すべき点は3,4箇所に留まる。そして、その多くも対岸を歩けば回避できそうなもの。全層雪崩はどうなるかわからんが。

 

・コイカク夏道尾根はコイカク直下よりもCo1500より始まる岩の方が面倒くさい。全天で下れるかどうかは怪しい。またCo1620のテンバは、全天には耐えられなさそうである。コイカク直下もブッシュあって掘れない。年にもよるのだろうが、今回われわれがとまった所ならイグルーは掘れそうである。

 

・39に見られる両面セッピは捲けば問題ないし、そこまで高度な判断を求められるわけでもない。求められるとすれば、かなり上を行く場合。今回のように捲けば、時間はかかるが確実に進められることだろう。

 

・準備山行で指摘された、大きなスケールの山行であるが、やはり行っておいた方がベターである。そのことを一番感じたのは、39前衛峰前でザイルを出したところ。Lsはいらないと思っていたが、Mは必要と感じていたので、そこのギャップを準山で埋める必要はあっただろう。したがって、今回確かに39にはatできたが、冬メインで日高を経験しているからこそのものだと思っている。今後この山域に行くパーティは、大きな山でザイルを出す準山をしておいたほうが無難だと言える。

 

・コイカク岩稜はそこまで難しくない。

 

・ななしの吹き上げは基本気になる風。

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