Post to Twitter Post to Facebook

Canada・BC州・Bugaboo山群

期間2011/7/30~8/11

L澤田(2004) AL木城(水産) 井ノ上(3

7/30 晴れ

Time 登山口(16:00)― Kain hut(18:30)―Appleby Dome(19:20)

午前中にバンフを出発。我々を乗せたレンタカーがバガブーの登山口駐車場に着いたのは13時過ぎであった。登攀具に加えて大量の食料、とても一撃で上がれる重さではない。荷揚げは2回に分けることになった。各々、前半戦の分をパッキングし、噂の金網を車に巻きつけて入山。絶景の中、整備された登山道をよたよた進んだ。ベースキャンプ地のAppleby Domeは氷河とBugaboo山群に囲まれたかつてない壮大なテン場であった。(10CA$/1泊/1人)

テントをたてるなり、木城は吐き気などの体調不良で寝込む。澤田さんも調子が悪いみたいだ。一人で、すごすご入山祝いをして、明るいうちに寝た。夏のカナダは日が長いのだ。

 

 

7/31 曇ときどき晴  Bugaboo Spire/Kain Route

Timeテン場(8:00)―B-Sコル(9:30~10:00)―Bugaboo spire 南峰(13:00~13:40)―B-Sコル(15:30)―テン場(16:10)

体調は元通り。岩の感触をつかみにKainRouteを登ることにする。Crescent氷河をつめてBugaboo-Snowpatchコルに向かう。氷河の状態はだんごにならない程度にやわらかい。コルに上がる急斜面の手前で3人をザイルでつないだ。急斜面はクライマーやハイカーの踏み跡が階段状になっていて、容易に登れた。コルで登攀準備をし、稜線をつめていく。なかなか高度感のある岩稜歩き。壁が垂直になってきたところで、ラッペル用のボルトを使ってザイルを出して、5ピッチほどでピークまで登る。天気が悪いというバガブーで早くもピークを踏めてしまった。幸先が良い。

帰りは5回程懸垂。いずれも60m1本でラッペルポイント有。後は同ルートをクライムダウンでコルまで降りる。バックステップで急斜を下ってテン場まで。テントにつくと、雷とヒョウが降った。

深夜、こざかしいネズミのような生物にテントを食い破られ、枕もとのパンをかじられた。

Kain Routeを見上げる。

 

8/1 快晴 Crescent Spire・Mctech Arete area ・Paddle Flake

Time テン場(10:00)―登攀開始(11:20)―Crescent Spire Peak(19:00~20:00)―テン場(21:50)

Crescent Spireはテン場から取り付きが近い魅力的なところ。

取り付きは雪と岩の間で不快調。昨日のヒョウがぱらぱら岩についている。

1ps 20m 5.7終了点は岩角。

2ps 30m 5.7

3ps 30m 5.9凹角の中を行く。コケコケしててぬめる。

4ps 40m 5.9凹角から左へトラバースして岩角で終了。

広めのテラスがあって、1hちょっと昼寝をする。先行パーティがいたため。

5ps 25m 5.10a 一度3mクライムダウンして右のフィンガークラックへ。上の岩角でピッチを切る。が、すぐ上にボルトがあったのでそちらに移った。

6ps 40m 5.9ハンドが気持ち良い。クラックが二つに分かれるが、直上する方を行く。

7ps 50m 5.10a ナイスなハンド。上部は右側の少しガレた方に行きピーク。(全てLリード)

先行パーティの下降を見届けてから下降を開始する。

下降はパドルフレークの右側に見えるフェースから。すべてラッペルポイントが整備されていて、4回で下まで行けた。ところどころ残置シュリンゲがあり、60mシングルでも行けそうだが、これは見た感じの話。60mダブルあれば安心。

ルート名の由来と思しき壁

 

 

8/2 晴のち曇のち雨 Crescent Spire・Mctech Arete area ・West Side Story

Timeテン場(9:50)―取り付き(10:15~35)―ピーク(15:40)―テン場(17:20)

テン場からのアプローチが近く、しかも良いルートが多数あるので、このエリアはいつも人がいる。

1ps 40m 5.8 (澤) 雪の下から取り付いて、カンテを回り込み、直上。鋭い岩角でビレー。

2ps 50m 5.10a (澤)    ストレニュアスなオフィズスから、草の付いた脆くて浅いデコボコを登る。

3ps 30m 5.7 (木)    上のテラスまで。ボルトがある。

4ps 40m 5.8  (木)    テラスから見えるカンテをガシガシ登り、傾斜が緩くなるフェースの上のボルトでビレー

5ps 40m 5.7 (井)    緩傾斜の左にあるクラックを2m上がって、ガシガシ登り、ボルト

6ps 30m 5.7 (井)    右奥から頭まで回りこむ。

 

昨日と同じところを、4回の懸垂で降りる。雨がパラついてきて、外にシュラフを干しているLはそそくさとテン場へ。

すごく順調に登攀が出来ているぞ。

 

8/3 晴   第2回:荷上げ

ほぼ空身でテン場から登山口まで1.5h

少々の荷を背負って登るのに2.5h

途中の川に入り、体をゴシゴシ洗いたかったが、雪解け水は身を切る冷たさ。無理だった。

 

8/4  晴れ  Bugaboo Spire・NorthEast Ridge

Timeテン場(5:20)―取り付き(6:40~7:30)―Bugaboo Spire北峰(13:40)―テン場(18:00)

朝はお洒落に、フレンチトースト。足りない。

Bugaboo-Crescnt コルまで3級程度の登りをノーザイルで行き、取り付き。取り付きで先行パーティを待つ。腹が減ってネーベンをたくさん食べてしまう。

1ps 35m 5.9 (澤)フィンガーで以外と辛かった。

2ps 30m 5.8 (澤)ゴジラの背中状の岩を左上

3ps 45m 5.8 (澤)右上してテラスへ。高度感がある。

4ps 40m 5.8 (澤)気持ちの良い綺麗なジェードル。広いテラスで終わり。

5ps 30m Ⅳ (木)ハンドからチムニー。不自然に突き出した岩の上でビレー

6ps 45m Ⅳ (木)チムニー。寒い。チムニーの中は日が当たらない。

7ps 55m Ⅳ (木)チムニー。もっと寒い。チムニーの中には雪が残っている。手足の感覚がなくなる。リードは半袖で登っている。

8ps 50m Ⅳ (井)登りやすいところを登って、日が当たるところまで。

9ps 50m    (井)北峰の頭まで。

 

下降は、北峰から南峰に行き、Kain Routeを下る。南峰までのルートファインディングが難しい。まず、北峰から東側に6m懸垂。バンドをコンテでトラバースしていき、前方に見える顕著なVの字の切れ込みまで。そこから懸垂して、トラバースして、また懸垂するとKainRouteにでる。

 取り付き前の稜上には雪が残っている。

 

 

8/5 STAY

通りすがりのハイカーから聞いた小屋の天気予報によれば、今日は雷、明日から良い天気らしい。明日に備えて今日はStay。怠惰な時を過ごし、1日が終わる。結局、予報ははずれ、1日中良い天気であった。くやしい。

 

8/6 曇ときどき晴 Crescent Spire・Mctech Arete area・Mctech Arete & Mctech Direct

Timeテン場(11:30)―取り付き(12:00)―登攀終了(16:40)―テン場(19:30)

Snow Patchに行くつもりだったが、西の方の雲行きが怪しい。時間待ちをしても好転せず、じゃぁ、Crescentにでも行くか。なんと近くてお気軽なCrescent!!

1ps 35m 5.9 (澤) 小ハングを越えて3m上がったところでビレー。

2ps 45m 5.10a (澤)右に凹角がある(Direct)が、左へ走るクラック(Normal)を登る。広いところ                 でビレー。1psの終了点に使ったナッツをうまく外せず、残置してしまう。

3ps 25m 5.9 (木) ここからMctech Directのほうを登る。ギアが足りなくなり、凹角の中でビレー。不快調。

4ps 15m 5.9 (木)少し広くなったクラックから右側へ乗り移る。そのままテラスへ。

5ps 35m 5.8(木) テラスから右の凹角の中を行き、ラッペルポイントのボルトで終了。

 

ピークはさらに上にあるが、2回行ったので贅沢にもカット。そのまま懸垂で降りる。降りる途中、ロープがスタックして澤田さんが上り返す。

地面に着陸後、澤田さんは1ピッチ目の終了点に残置してしまったナッツを回収しにまた登る。岩からナッツを取り戻し、岩角で支点作り懸垂。

 

夜は快晴。小便に出ると、バガブー山群に切り取られた空に星が詰まっていた。絶景なり。

 

8/7 晴 ビバークポイントへ移動

テン場(15:30)―B-Sコル(16:15)―P-Hコル(16:45)―Howser南峰の尾根(18:30)―P-Hコル(19:40)=ビバークポイント

午前中はHowserのBecky-Chouinard Routeに行くためのネーベンや装備の準備をし、ダラダラする。井ノ上は準備していたネーベンをネズミにかじられる。忌々しい野ネズミめ。スパ食って出陣!

 

Pigeon-Howserコルに着いたとき、先の雪の状態を見て、アイゼンとバイルはなしで取り付きまでいけると判断し、P-Hコルでビバークすることにした。荷物をコルに置き、デポする登攀具を持って取りつきを偵察に行く。コルから南への下りは急で、早朝のカチコチ氷河をアイゼンなしで下るのは少々怖い。よってステップをつけながら行く。途中いくつかクレバスが開いていたので3人をザイルでつなぐ。East Creek Basinにザイルとガチャをデポ。そこからまた氷河を降りて、取り付きへ続くガレを尾根の上まで登ってみて、来た道を帰る。帰っている途中ひとパーティとすれ違った。

ビバークの夜は寒かった。

Pigeon-Howserコルを目指して進む。左にPigeon 右にHowser

Pigeon-Howserコルから先の下りにはところどころクレバスがあった。

 明日はあれを攀じるのだ。

 

 

<ビバークに関して>

過去はPigeon-Howserコルでのビバークが行われていたが、現在は一切禁止されている。過去の記録を頼りに計画を立て、今ある規則を理解していなかった。ルールを破ってしまったことを深くお詫びしたい。

 

 

 

8/8 晴のち曇 Howser Massif・South Tower・Becky-Chouinard Route

P-Hコル(5:00)―取り付き(6:30~6:40)―Sundy ledge(12:50)―Howser Peak(20:10~20:40)

―着陸(23:10)―テン場(24:50)

 

朝4時に起きて(起きたというか、眠れずにいて4時に動き始めたというか)ラーメン食って茶飲んで出発。雪は固くなっていたが、ステップがあるのでアイゼン、バイルはコルにデポ。

装備は、登攀具、雨具、防寒着、ネーベン、水、ラテルネ。

3人分の装備を2つのザックにつめる。残り1つのザックはコルにデポ。

ステップを下っていく途中、ステップがグリセードで潰されている箇所があったが危なくなく下れた。昨日デポった装備も回収して尾根へ。Ⅱ~Ⅲ級のガレを登って巨岩の下から取り付き。

本日、このルートには4パーティ取り付くようだ。

1ps 60m 5.6 澤田さんリード。ボルダーを右から巻いてすぐのクラックを5m登って岩稜歩き

2ps 50m 5.8 浅いクラックを登って、ハング下の広いところで切る

3ps 40m 5.10a ハングを越えて、少し登り岩角で切る。荷物を持っているとキビシー。

4ps 60m 5.8 浅いクラック。最後に巨岩と壁のチムニーを登って岩角で切る。

 

先行パーティに「次のピッチは60いっぱい出るから、少し前に進んだほうが良い」と教えていただき、5m歩いて快適テラスに移動。木城にリードを交代

 

5ps 60m 5.9 スカイラインを越えて、右側の壁に沿って上昇。広めのクラック。突き出した岩の裏で切る

6ps 45m 5.8 凹角の中を登り、ガレた広いところでビレー。落石注意。

溝になっているところの入り口まで移動

7ps 65m 5.8 クラックがたくさん見えてあみだクジのようだが、溝から続くクラックを登っ てバンドを右へ、また壁沿いに上り、Sundy ledgeに到着。

若干ロープが足りず、ビレーヤーはコンテの形で5m進んだ。

 

終了点で前のパーティが進むのをまつ。Sundy ledgeの左にあるクラックの下まで移動して、澤田さんにリード交代

 

8ps 40m 5.9 ハンドで凹角ガシガシ。2段のレッジであるところで切る

9ps 25m 5.7 一度凹角の外に出て、また凹角に戻る。石が詰まっているトコで切る。日陰で風が冷たい。

10ps 45m 5.9 凹角の中からスクイズチムニー。中はぬれぬれで、氷も張っている。ザックを吊り下げてずるりずるりとあがる。べしょべしょになって気持ちが悪い。

11ps 60m 5.9 ガリーから左の壁を登ると凹角になる。

12ps 50m 5.6 井ノ上がリード。10mを凹角を上がってノッチからテンショントラバースしてガリーをつめる。

 

残置シュリンゲでいっぱいのラッペルポイントから20m降りる。コンテで100mガリーを登って、感動のピーク。夕日の絶景。

 

ピークからの懸垂下降。

1回目サウスピークから北に少し歩くと残置シュリンゲがある。10m懸垂

2回目シュリンゲから25m。近くボルトを一箇所飛ばして、一段降りるとボルトがまたある。

3回目30mちょっきり。ほぼリッジ沿いに下りる

4回目30m。汚い凹角沿いに下りる

5回目30mテラスに向かっており、少し左に振る。足場からかなり高い位置にボルトがあり、外人仕様となっている。

6回目30m。22時、とうとう暗くなり、ラテルネを装着。

7回目30m。スラブ上を行くべし、左に行き過ぎるとロープが引っかかるかも。

8回目20m。

9回目20m。

10回目30m。ベルクシュント手前まで。

11回目30m。雪の上から空中懸垂で無事に着地。

 

P-Hコルのデポを回収し、疲労と眠気でヘロヘロしながら氷河をくだりテン場まで。どんなに疲れていても、祝杯は忘れずに就寝。

ピークに立つ瞬間。

 

 

8/9 晴のち雨  レスト

うーむ、食料が尽きてきた。食べ過ぎてしまっていたようだ。

米とスパが2日分。ネーベンはピーナッツのみ。

行けて、あと1回か。

そんなことを考えながら、しかし、昨日の満足感に浸りながらのレスト。

 

8/10 晴のちヒョウのち雨  Snowpatch Spire・West Face・Wild Flower?

Timeテン場(8:20)―取り付き(10:10)―引き返し(16:10)―テン場(19:00)

朝、晴れていたのでSnowpatch West FaceのWild Flowerを目指す。トポを見つつ取り付きまでは行けた。しかし、Wild Flowerの特徴である著大な凹角がどうもトポのラインからは見当たらない。上にあがれば見えるだろうと、取り付く。

1ps 15m (井ノ上)氷河から一段上がって様子を見る。まだ凹角はわからない。

2ps 60m ピークのほうに伸びる溝に導かれてみることにする。凹角は見えない。おかしいな。

3ps 60m  まだ導かれてみる。緩傾斜では溝だった地形は立ってくるとチムニーになった。前日の雨のせいで染みだしが酷い。コケやら土やらとても汚い。チムニーを抜け出した後の足場で切る。

4ps 25m (澤田さん)今まで導かれていたラインから左に抜けると広いところにでてボルトを発見。どうやらラッペルポイントのようだ。そして、明らかにWild Flowerではないようだ。薄々感じていたが、我々は新ルートを開拓しようとしていることを確信した。

5ps 45m  傾斜のない浅いクラック。あと1.5m登ればラッペルポイントがあったのだが。切ったところからは死角であった。

6ps 50m 右に見えるスクイズチムニーを登ると1つだけボルトが設置されている。そこから上は登れそうにないので、ボルトを使ってテンショントラバースし、左のクラックに乗り移る

 

ここから先はクラックがつぶれてしまっていて登れそうにない。澤田さんが左にトラバースしてリッジに出てみるも、風化した岩がポロポロで登れそうにないらしい。新ルートはピークまで登りきることが出来ず、敗退を決定する。ちょうどその時に雷とヒョウが激しく降り出す。岩角に捨て縄をかけて先ほどのラッペルポイントを目指す。トップが降りるのを待っているとクレッタはヒョウで埋まっていた。45m4回の懸垂で着陸。回収するザイルは濡れてひどく重たかった。

 

8/11 曇り  下山

Timeテン場(8:00)―登山口(9:45)

食料も尽きたし、ヒョウにも打たれたし、帰る。

 

 

<バガブーについて>

圧巻のクラック天国。

氷河を渡れば、突き上げる岩峰があり、スパッとクラックが走っている。

5.8や5.9の気持ち良いルートの大概がマルチである。なんと楽しいのでしょう。

特に、ベッキーシュイナードは長くて、登りきったときの感動は凄まじい。

もし、日本に、多々あるバガブーのルートのうちどれか一本でもあれば、アプローチに2日かかっても行くでしょう。

Snowpatch Spire。Crescent Spireから

Bugaboo Spire. Crescent Spireから。    ありがとう、Bugaboo

Post to Twitter Post to Facebook

Tags: