48 山 辻村太郎(つじむらたろう)/1940/岩波書店(新書版)/177頁
辻村太郎(1890-1983) 地理学者、登山家
小田原市に生まれる。1912年東京帝大理科大学地質学科に入学、同大学院卒業。1918年東京高等師範学校講師、1920年同助教授。1923年東京帝大地理学助教授、1944年同教授。1951年退官。1939年〜1952年、日本地理学会の副会長、会長を務めた。日本山岳会名誉会員。 カール地形で名高い山崎直方に師事し、自らも氷河やカールの研究を行なった。日本地理学界のパイオニアとして活躍、Landscapeを景観と翻訳した。 日本山岳会創成期のメンバーとして、登山界にも貢献した。「スウィス日記」「ハイランド」の著者辻村伊助は従弟にあたる(12参照)。 。
内容
岩波新書の創刊は昭和13年であり、本書はその2年後の昭和15年にその1冊として出版された新書版である。(表紙に63の番号)。
内容は、総説、渓谷、山嶺、氷河、火山に大別され、その下に小見出しがつく詳論である。「はしがき」に、
「さて書き上げて見て我ながら驚いたのは、山の気が希薄で、書冊の匂いが勝っているのは未だよいとしても、文章が窮屈であって、岩山みたいに堅苦しく、火山の裾野を見るように、延び延びとした所が殆ど無いことである。」とあり、たしかに読みやすいとは言えないが、長い登山経験が通り一遍の山の解説書ではなくして、山好きの好個の教養書となっている。
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