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日高ではないですがカウンナイについて

対象モジュール: 特別記事
件名 日高山脈の地名問題
要旨  今年二月頃、過去の山行記録をまとめていて、現在の国土地理院1/25,000(インターネット版)では、札内川上流の地名が、大幅に変えられていることに気がつきました。具体的に述べます。 「記念沢(キネンベツ沢)」が「札内川」本流になっている(その「札内川」下流...
 

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なし 日高ではないですがカウンナイについて msg# 1.3
depth:
1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009-2-16 18:33
米山 
「日高山脈・その名の起源」興味深く読みました。アイヌを尊重していた武四郎が、日高の名だけは日本の古典から引用していたとは。北上が日高という話も。武四郎が日高の地名を探していたとき、それにふさわしい名前を見つけられなかったという事でしょうかね。

さて、話は日高ではないのですが、北海道で最も人気の沢、クワウンナイ川と呼ばれるカウンナイについても地名問題として指摘したいと思います。

カウンナイは化雲内と当て字されました。この三文字には旧仮名遣いではクワウンナイとふりがなを振りました。が、もちろん昔も発音はカウンナイでした。旧仮名づかいとは表記と発音にずれのある表記方法だったからです。敗戦後、仮名遣い改革が行われ、音に近い仮名遣いをするよう、国語が変わりました。だから改定後はカウンナイと書くのが正しいのですが、地形図のアイヌ語地名としてカタカナで書かれていたクワウンナイはそのまま残り、その後旧仮名遣い自体も忘れてしまった日本人が、クワウンナイと音読するようになりました。

北大山岳部のように戦前から連続して山に登っていた集団には音としてのカウンナイが継承されましたが、90年代以降、道内の沢人口が大きく増え、カウンナイでの初心者の死亡事故の増加に加えて営林署が一方的に入山禁止にしたころから、音を継承していない人たちが地図に書いてあるからとクワウンナイと音読するようになりました。90年代を道外で過ごし、北海道に戻った私には、登山関係者がそろってクワウンナイというのを聞き、別の沢の事かと思っていました。念のため国語改革以前の戦前世代のOBにも確認しましたが、この川の名はカウンナイと呼んでいました。

よく、戦前の古い地図にもカの字を使った別の地名がある、クワはクワだったのでは?と反論する人がいますけれども、旧仮名づかいにはクワと書くカと、カと書くカの、二種類のカ音がありました。科学はカグワク、化学はクワグワクです。漢字の振り仮名はいちいち書きませんでしたから、誰でもいちいち区別していたわけではありませんでしたが、厳然ときまっておりました。これは中国語や朝鮮語を学ぶと、日本語で今は同じ音に読む漢字どうしも、もともとは何種類か違う音であり、それが時代が下ると同じ音をするようになってきたことがわかります。音は楽な風にすぐ変わりますが、文字は制度を変えないと変わりにくいので、ずれが生じるのです。

旧仮名づかい表記方法は千年かけて完成された、理路の通った表記法で私自身は好きなので、クワウンナイと表記するのはやぶさかではありません。しかしこれをクワウンナイと呼ぶのは滑稽です。「ごりゃうくわく(五稜郭)に、ゆきませうか」と音読するのは、冗談だから面白いのです。

カウンナイはまだアイヌの言葉に近い可能性がありますが、クワウンナイではそこから遠ざかります。それも日本語の国語改革と、それに対する無知から変わるのでは、情けないではありませんか。
 
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