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書評・出版・ 2008年3月14日 (金)

【書評】秘境西域八年の潜行(米山84)
秘境西域八年の潜行(上、中、下)
中公文庫1990
980円、1100円、1200円
(現在は「秘境西域八年の潜行 抄」中公文庫BIBLIO 1000円)


西川一三(かずみ)が死んだ。

先月2月7日、89歳。戦争中、興亜義塾生を経て、モンゴル僧に扮した諜報員として鎖国中のチベットに潜入、戦争が終わるまで(終わっても)生還するためチベットを彷徨った。むかし満州、モンゴル、トルキスタン、チベットと手を結び、シナを背後から包囲する「ツラン民族圏構想」というのがあった。大戦期(昭和18年)のチベットは中国(国民党政権や共産党)からも独立していて謎のエリア。そんなところへ手ぶらででかけて8年も。しかも後半6年は敗戦のため生き延びるための徒歩旅行だ。この体験の凄さは本を読まなきゃわからない。

チベットの山を狙っていた我々の80年代、開放政策の始まった直後の彼の地の情報は乏しく、この戦前潜伏モノ、西川一三、木村肥佐生らの手記を読んだ。のち1996年にブータン、チベット境のチョモラーリ(7326m)を登った折、この本をギャンツエ〜カリンポン間の、往年のチベット街道の現場で読むという、特上経験をした。西川は「チョモルハリ」を見上げる荒涼とした凍えそうな街道で、1904年の英軍ヤングハズバンドの古戦場跡に思いをはせるのである。僕の訪れたのは夏、地平線まで広がる菜の花畑と駄馬のひく馬車がのどかだった。

岳人4月号171pの岳人時評で江本嘉伸氏が西川氏との思い出などを記している。その中で西川は「チベット人から学ぶことは一つもないです。」「私が学びたいのは蒙古人。次はインド人。次はシナ人。チベット人は最低です。」というのがギャフンとおもしろかった。そうかもしれない。追いはぎに遭い、餓死凍死のすれすれで繋いだ旅だったろう。小野田寛郎氏もルバング島には二度と行きたくないと話していたし、先日お会いした青函トンネルを掘り続けた人も、つらいことばかり思い出すので二度と行きたくない、と。

このような人がまだ生きていたのを知ってはいたが、縁もないのに訪ねるという事にもならず。先月まで同じ時代の空気を吸ってきたという事にかえって違和感がある。亡くなった機会にまた本を開いた。

中公文庫は最近BIBLIOというシリーズになり、全三巻10センチ近くあったのがダイジェスト版の一冊になっているようだ。たしかに全部読むのは常人にはきつい。

尚、同じく同時代のチベット潜行記で、

●チベット潜行十年 (中公文庫)
木村 肥佐生 (著)
780円


もコンパクトで良い。この人はダライラマ14世の少年期に会見しているし、ダライラマ自叙伝(My land my people)の日本語訳もしている。こちらもBIBLIO入りしていた。


●チベットわが祖国―ダライ・ラマ自叙伝 (中公文庫BIBLIO20世紀) 1100円
ダライラマ14世(著)、木村 肥佐生 (訳)


*追記。昨日(3月16日)からチベットではえらいことになっている。しかしこれは今まで絶えず続いてきたこと。何故今チベットがこうなのか、今更ながら知りたい向きには「チベット我が祖国」の読書をお勧めします。餃子ごときで騒いでいる場合ではない。
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