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書評・出版・ 2014年12月7日 (日)

【書評】アルピニズムと死 山野井泰史 2014.11(米山悟1984年入部)

アルピニズムと死
山野井泰史 2014.11

山野井泰史の、「垂直の記憶」以来10年ぶりの本。山野井泰史のことは前の一冊で満腹すぎるほどよく読む事ができました。高校時代からまっすぐにやりたい事を求め、そのための道を進んで来た彼の思う事が、簡潔乍ら誠実な文章で凄く伝わりました。前回はギャチュンカンの生還の少し後に書いたもので、今回は指も無くして握力も体力も無一文になった彼が、また垂直のアルパイン界に戻ってくるこの10年間を書いています。

この本のひとつのテーマは、何故これまで彼は死なずに生き残って来られたのか?という事です。もちろんそんな事は分からないけれど、彼が凄い想像家だというのが強く印象に残りました。
まるで予言者か催眠術師のように、自分の山行のシーンをすべて「言いきり文体」で並べています。
「長いトレッキングの果てにたどり着いた寒々しいベースキャンプ。体調を崩しているが、強い気持ちを維持している」
「悪名高きクレバスだらけのガッシャブルム氷河。確保してくれる人は誰もいない。怪しいルートは決して選ばない。それでも落ちた時の事を考え、両手にアクスを握りながら歩く」
「5700m付近から、ピラミッドのようなガッシャブルムIV峰が見えてくる。緊張のあまり心拍数が上がるが、しっかりと目標の東壁のコンディションを見極めている」
「氷河上のキャンプでは時間はかかるが面倒がらずに水を作り、お茶をたくさん飲む」
「テントから頭を出すと、北から雲が流れているのが見える。この冒険を精一杯楽しもうと決意する」
「暗い時間からアタック。強い孤独感は無くなったが、不安からか、まだ完全には集中しきれていない」
「ハーネスにカラビナとロックピトンは装着するが、動きの邪魔になる細いロープはザックに入れたまま東壁に入って行く」
「黄色の大理石の岩はロックピトンを受けつけないほど硬い箇所が多い。黒い崩れ易い岩が突然現われ、5級の難しさが続くが、冷静にアイゼンの前爪を使って踏み込んで行く」
「登りながら下山予定の北東稜の形状を記憶する」
「核心部と思われる7000mで雲の流れをもう一度見る。再び登攀に集中を戻す」
出かける前に自宅の畳の上で赤毛のアンみたいに想像するそうです。
順調に進んでいない時の事ももちろんたくさん想像するのです。想像しすぎて出発の前夜眠れないことも想像してあるそうです。
ネットも携帯もやらずゆっくり調べて、忙しくない暮らしの中で想像して、山を準備し自分の方法で向き合う姿です。

そして山に入ったら研ぎすました五感ですべての気配を受け止め、判断するよろこびを満喫しています。

表題の「アルピニズム」と「死」それぞれに簡潔な言葉があります。楽しいだけの山登り、絶対安全な山登りに対して。 

山野井泰史の歴史と存在は特別なものだけど、言っていることにはすべて共感しています。人生をこれだけ垂直アルピニズムに捧げて、生き残っている登山家が同時代同世代にいて、誇らしい気持ちになります。山好きの読者は、自分とは比べ物にならない人生だとは思いながらも、強く憧れる登山家の姿ではないかなと思う。
前回書評↓
http://aach.ees.hokudai.ac.jp/xc/modules/AACHBlog/details.php?bid=102
  • コメント (1)

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まっちゃん   投稿日時 2014-12-9 9:53
 これは書き下ろしなんでしょうか?年末の休暇に是非読みたいと思います。題名が重すぎですが。。。
 先日、氏の父親である山野井孝有氏の「いのち五分五分」を読んだところです。以前米山さんが書いていた宮沢氏の冤罪事件についての話もありましたし、今回の本の裏側を親の視点から書いたという意味でも、併せて読むとより興味を持てそうです。
 
 
 
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