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書評・出版・ 2008年12月23日 (火)

書評・北壁に死す/(米山1984)
原真(1956入部)の初期の著書、「北壁に死す」が、今月「北壁に消えた青春」として再び出版された。(Amazon

1961年4月、21歳で鹿島槍北壁で遭難死した弟、原武の遺稿集。事故から47年経ってもあせない、山を真剣に考える若者の手記。遺稿集本文は原武の名古屋大山岳部4年目の春までの山行記録と片思いの恋の記録。日記から1960年代の青春を追想する。山と恋について切々と書き記す個人的な日記。こんな大変なものを出版しても良いものかと2008年の人は思うかもしれない。が、そこが原真一家の凄いところだとつくづく思う。序文は深田久弥。
実はまだこの新版は手にしていないが目次を見ると本文は同じのようだ。過去二冊の「北壁に死す」がある。
最初の「北壁に死す」は、山と渓谷社から1973年発刊、新版「北壁に死す」は同じく同社から1984年に出ている。原真のあとがきがそれぞれに良かったので両方紹介する。

僕が学生時代最も感銘を受けたのは原真の書いた(1973版)後書き「なぜ山へ登るか」の中のことばだ。

「山の中の死ーすぐれた登山家の死ーは、ときに人生の完成を意味する。それは幻滅からの解放であり、自己欺瞞の克服である。美しい余韻を持つ、完璧な姿だ。
 なぜ山へ登るのか。答えは簡単だ。山には死があり、したがって生があるからだ。下界には多くの場合それがない。」

この一文は後の「乾いた山」や「頂上の旗」に収録されている(いずれも古書店か北大山岳館でご覧あれ)。


新版(1984版)のほうの原真の後書きの「武の逝った日」も凄い。武の亡骸に対面する父母の様子を克明に書き、その後父兄が医師として弟を解剖する様が記されている。とても詳しく書いてあるが、それはここでは書けない。

「父はおどろくべき予定を宣言した。『今夜、大町市民病院で、武の遺体を解剖する。』といったのだ。
たっているのがやっとぐらいにつかれていた私は、父の気力に驚嘆した。
『すべて手配はすんでいる。』
ともいった。その口調には断固たるひびきがあった。
父の態度は、むしろ明るい印象を周囲の人たちにあたえたのではないか。関係者から、遭難の模様を逐一きき、自ずからも山を指さして質問していた。
そのあと、宿へかえって、母と二人になったとき、号泣したらしい。
『武、武。』
といって、棺にすがって、声をあげて泣いたと、あとで母にきいた。
父親とは、なんと悲しい存在であることか。未熟な息子の、死という裏切りにあい、敢然としてその打撃にうち勝たなければならない。」


遭難の日、たまたま北壁別ルートにいた名古屋山岳会のドンちゃんこと加藤幸彦氏は身を粉にして救助と捜索に努めた。このドンちゃんはのちに長野県山岳連盟のギャチュンカン初登頂(1964)で活躍し、三浦雄一郎エベレストスキー隊でも裏方主任として活躍した。1996年、僕はブータンの最高峰チョモラーリに登る老境入りした加藤さんを撮影する機会に恵まれた。64歳とは思えぬパワーだった。(記録)原さん兄弟との縁はずいぶん後で知った。加藤さんはその後『絶対に死なない」という本を出している。(Amazon

まだ手にしていない「北壁に消えた青春」の書評も心苦しいけれど、最新版の感想はまたいずれ。

清野さん、原武を偲んで北壁行きましょう。
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