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記事・消息・ 2012年5月30日 (水)

戸隠 本院岳ダイレクト尾根 澤田卓郎(2004年入部)
澤田(2004年入部)
木城(2009年入部)
登攀日2012.3/27-30
「長野北部にある戸隠連峰、本院岳ダイレクト尾根は良いらしい」ちょくちょく一緒に山に行く知人からそんな話をきいた。きのこ雪の雪稜の尾根らしい。
3 月、函館在住で山岳部に在籍している木城と、どこか登りに行こうという話になった。そこで本院岳の話をしてみると、偶然にも木城も興 味をもっていたとの事。北アルプスなどに比べ、そこまでメジャーな所ではないと思っていたがよく知っている。
きのこ雪の雪稜はとにかく、奮闘するという話 は聞いたことがあるのだが僕も木城もともに、き のこ雪などの経験がないので、わくわくする。
最近、充実する事なく引き返さざるを得ない山 行やクライミングが多く、久々に充実したいとい う思いが強い。なんとしても登りたいので、4 日分の食料を用意した。テクニカルさは必要でなさ そうだから、少々重くても関係ないだろう...と、なんだかんだいって酒やつまみもいれていた。
3/27 晴れ
朝、戸隠に着く。天気は快晴。車で走っていると戸隠連峰が見えてくる。予想以上にかっこいい山だった。頂上稜線の雪庇がでかい。
雪は結構しまっている。もう春山だ。ワカンを置いていくか悩むが、先の様子もわからないので 持っていくことにする。
林道を歩いて、ダイレクト尾根取り付きまで。そのまま尾根を登っていくと P1(ピナクル1)左に回 りこんだルンゼを登る。上部だけ立っているので、 100mほどコンテで登ってリッジ上で確保する。
すぐ上が P2のようだ。そのまま、ビレイしてもらって一段登ると、P2の岩峰がでてきた。ぼろぼ ろの岩を登ってから、ハイ松のブッシュを木登り。 ザックが引っかかってうっとうしい、もがきながらリッジ上へ。その後は雪稜を行き、P2-3コルへラッペル。
P3緩いリッジを通過し、P4雪壁を登る、P5、P6も特になんてこともなくこなす。徐々に高度が上がってきて背後の景色も良くなり、きのこ雪も 出てくるが天気もよく快適。ただし、下界の様子 が見えると緊張感もあまり感じない。この日は P6 の肩にテントを張った。
3/28 雪 朝起きると曇り。行動始めるころには雪も降ってきた。 P6 上部は直登しようとするが、厳しそう。いったんクライムダウンして左を捲くことにする。P7 は雪壁を登ってきのこ雪上に這い上がる。視界も 悪くなってきた。P8 はリッジ上を行く。きのこ雪 を登ったり、立った草付きを登ったり、木登りし たり。3p 程度。このころには雷まで鳴り、湿雪が 激しさを増してくる。気温は高いので手袋や服は びちょびちょだ。状況は不快だが、全身を使って きのこ雪を崩し、草付きにアックスを決めて登る、 楽しい。

p6付近


プラトー手前のラッペル地点を見に行くが、視 界が悪くよく分からなかった。この日は P8 上でテ ントを張った。 3/29 晴れ
今日はよく晴れている。が、昨日の雪に陽があ たりあちこちで雪崩れている。
「早く雪落ち着かないかなー」と朝寝して、のんびりと準備する。
「さて、そろそろいくかいな。」と出発準備をし ながら鼻歌混じりにザックの雨蓋を白樺の木にか けると、枝がぽっきりと折れた。リッジの両脇は 切れ落ちている。雨蓋がころころと斜面を転がり 始め、急峻な谷に消えていった。やってしまった ...。雨蓋に何が入っていたか考える。ラテルネ、手袋予備、行動食...まずい。致命的ではないもの の、今後の行動がかなり制約される。駄目もとで ラッペルしてみると、なんとほぼ垂直のリッジ側 面から飛び出た木の枝に引っかかっていた。ラッ キー。回収して気持ちよく再出発。
昨日さっぱり分からなかったラッペル地点も晴 れていれば何でもない。プラトーへの登りも微妙 で 1 ピッチロープを出す。
プラトーからは本院岳がドーンと構えており、なかなか良いロケーション。ロケーションは良いのだが、まだ積もった雪が崩れている。仕方がな いのでテント張って昼寝したり、昨日びしょ濡れになった服を乾かす。昼も過ぎ、日もかげり、斜 面のぐさぐさ雪も固まってきたので再度登りはじめる。P9 は斜面をトラバースしてルンゼ状を登る。 2p 目、左のルンゼからリッジに抜けようとするが、氷が溶けた草付きや泥壁になっておりアックスも いぼいぼも決まらない。結局クライムダウンして 右のルンゼを登る。ルンゼを抜けてきのこ雪を登 る。悪い。3p目、もうひとつきのこを越えP9下 まで。雪稜をピークに向かって登るが、ピナクル が出てきた。ピナクル登ると向こうへラッペルするか?懸垂支点作れるか?トラバースか?対処に 迷い、偵察していたが、暗くなってきていたのでリッジ上で泊まることにする。両脇は切れ落ち、こんな所でテント張るのって所でもテントの中に入ると落ち着く。布一枚で全然違うもんだ。「しかし、あのP9どうするんだ?」と考えていると夢の 中でも雪壁を登っていた。
3/30 晴れ 今日は天気が悪化傾向らしい。とっとと登って安全圏まで下りたい。昨日迷ったピナクルは土嚢 袋支点のラッペル覚悟で登って見ると、向こうは緩い雪稜になっておりなんてことなかった。ほっとする。最終ピッチは一番下の雪が無くなっており、一部垂直の雪壁になっている。1ポイントだ が厳しそうなので、空身で登り、Fix。再度荷物背 負って登り返して、ピークへ。
登れた、嬉しい。が、まだ緊張感の抜けない下 降がある。そそくさと出発。 下降は西岳 P1 尾根。まず、どでかい雪庇のでた稜 線を行く。雪が団子になって歩きづらい。ずぼず ぼの稜線は時間がかかった。P1 尾根の下降ポイン トは雪庇がでていた、確保してもらって偵察。なんとか雪庇の切れ目から P1 尾根に降りられた。
下降は「P1 尾根が下降できるらしい」程度しか調べていなかった。しかし、楽な下降ルートとい う感じではなかった。2度ほどラッペルし、ナイフリッジを渡る。さらに雪崩れそうな斜面をロー プ出してトラバース。夕方になってきている。天 候の悪化も予想されている。どこまで悪場が続く のか分からない。徐々に緊迫感がでてくる。もう 少し雪があれば容易にトラバースできそうなきの こ雪を空身で登り、少し行くと急峻な斜面にでた。ここから 5p 程度ラッペル。ロープは 1 本しか持っ て来なかったので 1p に降りられるのは 25m。時 間に追われていたので、木城に 50mラッペルして もらい、僕は 25mラッペルしたり、クライムダウンした。途中で暗くなってしまった。暗い中、大 斜面をラッペルしているとここが日本ではなく、 海外の高峰のように感じてくる。
ようやく、斜度の緩くなったリッジの上に降り 立った。しかしここからも、樹林内なのにきのこ 雪や岩峰の捲きがあり、ただのんびり下るという 感じではなかった。
最後は渡渉でうろうろしつつ、林道を歩き、夜遅く下山した。結局ワカンを使ったのは最後の2時間。せっかく持ってきたから履こうか...という 程度だった。緊迫した下降となり、核心はこの下 降だったように感じた。天気も持ってくれて良かった。
** 久々に充実した山行になりました。やはり、山は苦労して登って降りてこられた時が楽しいなと 実感しました。下山後飲んだビールはとても旨く 感じました。
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