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書評・出版・ 2013年4月10日 (水)

【古書の書評】富士山の旅/冠松次郎著1948(米山悟1984入部)

図書館には絶版になっていた本がたくさんあります。
冠松次郎と云えば今世紀初頭に黒部川を歩きまわり、名著もたくさん。黒部好きなら大好きな登山家ですが、なんと富士山の本も書いていました。山麓の甲府に来ると、こういう本が見つかります。昭和23年の版。厳冬期含め四季を通じ登っていて、どのルートも書いていて、山麓の風物も紹介している。全くよく歩いています。


「富士山は眺むべき山で登る山ではないと云ふてこれに登らず、その遠景を見て満足してゐる者は眞の自然愛好者と云ふ譯には行かない。」
「富士山を眺めてその實體に觸れず、而して富士山の景觀を語らんとすることは難い。あの豪壯荒涼たる風象に接して、さて飜ってこれを顧みその縹渺とした姿を描くところに、兩端を盡したる喜びがある。その山の實體に觸れず、委曲に接せずして山に親しむと云ふことはありえないのである。」
山登りが好きで好きで、どうしても書いてしまいたくて書いたような、こういう本が大好きだ。山の古い本は、輝きがあせない。
子供二人との8月末の山行記録で
「八合目の小舍についたのは午近い頃で、持參した飯盒の飯を茶碗に分けて澁茶をかけ、ツクダニと福神漬とで腹いっぱい押し込んだら、子供たちは忽ち元氣を盛り返した。」富士登山、お茶碗持っていったんかー。
1943(昭和18)年の元旦に、もう少し大きくなった息子と御殿場ルートから砂礫を飛ばすつむじ風を突いて山頂アタックしています。1883年生まれだから60歳。戦争中だけど、このころまではまだ国民は戦争に負けると思ってなくて、本土が焦土になるなんて予想していなかった。原発事故から2年たったちょうど今頃は似ているかもしれません。山岳部のペテガリ初登もちょうどこの月のこと。
「それにしても、何と云ふすばらしい氣持なのだ。あの廣大な裾野を上り、氷壁のやうな山體を、ひと足ひと足に刻みながら、今この頂に上りついて、我を繞る浩蕩たる山川風物の大觀に接した氣持ちは。私たちにでも、この高嶺は、この嚴冬の眞中に、雪の衾を延べ、氷の扉を開いて、水晶宮のやうな燦蓮としたうてなに迎へてくれるのだ。」

なくなった登山道、村山道と須山道についても歩いたうえで書いています。
お中道も、山麓も、それに周縁の山の山行も。良い本を見つけました。

水晶宮のやうな燦蓮とした『うてな』・・・。

こんな古書の書評を書いても誰も読めませんが図書館などにはあるかもしれません。

  • コメント (1)

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ボレロ   投稿日時 2013-4-13 20:25
米山様
冠松次郎の富士山の単行本とは珍しいですね。北大山岳館には冠の本がかなりありますが、残念ながらこれはありません。
--渋茶をかけ、ツクダニと福神漬とで--なんて楽しいね。
北大山岳館では蔵書の中から戦前の和洋書の紹介をしていますが、けっこう質問や訂正の要求などがあります。誰も読まないだろうなどと言わずに、これからも良い本を紹介してください。
 
 
 
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