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OBの山行記録・ 2015年5月17日 (日)

日高山脈主稜全山縦走記(日勝峠〜襟裳岬) 勝亦浩希(2004年入部)
果てしなく続く白い稜線を一人進む。ピッケルを刺すとまさにその位置から、ズンという重低音と共にとてつもなく巨大な雪庇が落ち、轟音と共に谷底に消えていく。踏み抜いたら助かりようがないなと肝を冷やし、慎重に進む。疲れ切った一日の終わりの夕焼け、雪洞から這い出て見る朝焼けに感動しながら、一歩一歩進んでいく。満身創痍となって辿り着く終着点の襟裳岬で夕焼けを眺めながら、長かった縦走を振り返って佇む。
 そんなイメージを頭に浮かべながら、ワクワクしていた。予定していた海外遠征が都合により中止となり、そうだ日高全山に行こうと決めてから日々夢想しては心を弾ませていた。入山前からいい山行になる予感がしていた。
 作戦はなるべく軽量化して春の締まった稜線を気持ちよく駆け抜ける。生涯一度の挑戦になるだろうから失敗に終わらないようにはしたいが、そうすると荷物は増えていくばかりだ。なんとか楽古岳までは縦走できるかなという荷物だけ持ち、何もかもうまくいった場合に襟裳岬まで行くこととした。
3/28 日勝峠(5:45)-ペケレベツ岳(9:00)-ウエンザル岳(11:50)-パンケヌーシ分岐(13:45)-・1318コル=C1(15:00)
 晴れ。日勝峠駐車場からスノーシューで出発する。気温が高くズボズボになることが多い。早くも膝が痛くなり、下りは泣きながらトボトボと。
3/29 C1(4:10)-芽室岳(6:30)-雪盛山(10:30)-ルベシベ分岐(12:30)-・1696南コル=C2(15:10)
 晴れ。序盤は気持ちが良く、後半はシャリバテ。足が痛む。スノーシューの下りが悪いのだろう。・1696を越えてイグルーC2。


3/30 C2(4:10)-1940峰(9:00)-トッタベツ岳(15:15)-・1803西コル=C3(16:40)
 晴れ。C2から少し細くアイゼンで行く。夜明け前の締まった雪をサクサクと思いきやバリズボで消耗する。・1712手前から1940峰手前まではスノーシュー。40峰からトッタベツへの標高の高い稜線も、このところの高い気温のせいかズボズボ、バリズボの部分が多く消耗する。夕映えのポロシリが雄大だ。ヒラヒラになってC3に入る。足の爪が割れていた。
3/31 C3(6:30)-カムイ岳北東尾根頭(11:00)-・1563北Co1520南東尾根頭=C4(11:40)
 晴れのち曇り。風。朝起きるも風が強く様子を見る。晴れているので意を決して出発。振られる風に体を傾けて歩く。カムイ北東尾根から1ピッチ南下しイグルーC4。夕方から前線通過で雪が降る。

4/1 C4(3:50)-エサオマントッタベツ岳(7:50)-札内JP(8:30)-春別岳(13:00)-・1917南東コル=C5(15:30)
 曇りのち雪。夜明け前のガスの中出発。雪庇に気を付けて進むと徐々にガスも晴れ、雪も締まって気持ちよく歩く。春別岳を越えるとガスがかかってきて風も吹き、岩稜はいい雰囲気だ。日高にこんな稜線があったんだなと感心する。・1917の頂上に着くころには視界も悪く雪も降りだす。下りも少し急峻で地図を見ながらコルまで下り、疲れ果てて尾根陰にC5。
4/2 C5(5:35)-カムイエクウチカウシ山(8:15)-・1807(11:00)-1823峰(15:40)-1823峰南東コル=C6(16:20)
 晴れ。風。朝は風も強く前日の疲れもあってゆっくり出る。振られる風の中カムエクまで。風は少し弱まるが、ピラミッド峰、1807峰付近は風に煽られないように注意する。午後になるとやはり雪はズボズボになりペースが落ちる。疲労の中、23峰北コル付近でイグルー適地があって少し迷うが少しでも進めることにした。黄昏の23峰南東コルで、翌日からの荒天に備えてきっちりとイグルーを作る。完成するころには月明かりが山を照らし、十勝側には街の灯が見えた。

4/3 C6=C7
 吹雪。イグルーから一歩も出ずに過ごす。暴風警報が出た。夜はイグルーのすぐ外でジェット機が飛んでいるような風の轟音に少し不安を感じる。
4/4 C7(5:10)-コイカクシュサツナイ岳(8:30)-ヤオロマップ岳(11:00)-1599峰(14:30)-Co1680南東尾根頭=C8(17:00)
 快晴。朝目覚めるとまだ風の音が大きくのんびりしていたが、その後風はピタッと止まり慌ててパッキングして出発。ヤオロから先はまたズボズボになり、雪庇にも気を使う。
4/5 C8(3:15)-ルベツネ山(4:00)-ペテガリ岳(6:30)-中ノ岳北Co1300=C9(10:30)
 晴れのち曇り。前日に夜明け前まで丸い月が出ているようになったことがわかり少し早出する。凍ったテントから出ると、月光に照らされた山脈が実に美しい。昨日溶けた雪が氷化し、ルベツネ手前は急峻で固く注意する。ペテガリCカールのコルで真新しい熊の足跡があった。雪庇の陰から出てくるなよと声を掛けながら通過する。ペテガリの頂上ではいよいよここまで来たなと感じる。ペテガリ東尾根分岐から・1469間は細い尾根に大きな雪庇が出ていて注意する。ここを除いた全行程で雪がよく締まって歩きやすく、今日はチャンスだと気持ちよく飛ばすが、風と黒雲が一気に押し寄せてきたので雨に当たる前にと早めにイグルーを作る。

4/6 C9=C10
 朝出るもガス、風と霧雨。昼近くになっても回復せず、イグルーを補修して停滞を決める。少しでも進めておきたかったのに動けず1.5停滞してしまった。残り日数を考えて地図をなぞると、楽古岳からの下山が妥当に思えてしまう。誰が決めたのか、日高の主要部である芽室岳から楽古岳を歩けば日高全山として認められることになっている。自分自身それと軽量化を考えて楽古岳まで行けるだけの荷物、何もかもうまくいけば襟裳岬までとの計画を立てた。しかしいざ楽古岳から下山するのかと思うとなんだか釈然としない。この山行をやろうと決め、日々夢想していた頃からいつもゴールは襟裳岬なんだと心は決まっていたのだ。幸運にも翌日からの3日間は天気が良さそうだ。明日以降がんばってみよう。
4/7 C10(3:20)-中ノ岳(4:30)-ニシュオマナイ岳(7:10)-神威岳(8:50)-ソエマツ岳(14:30)-・1529北コル=C11(15:50)
 曇りのち快晴。暗いうちから出発するが、中ノ岳まではバリズボ、ズボズボで朝から消耗させられる。前日の雨の影響だろう。停滞前に通過していれば三分の一くらいの労力でいけただろうにと悔やむ。中ノ岳を越えると一転クラストして歩きやすくなる。寒気が入ってきたので、止まっていると寒いが歩いているとちょうど良い。ソエマツを越える頃には雪の状態も悪化して尾根の陰を整地して泊まる。夜、腰が何度かギクリとするがギリギリセーフだった。

12日目の朝。ピリカヌプリより北望。ちょうどモルゲンロートに染まった。

4/8 C11(3:30)-ピリカヌプリ(5:10-30)-トヨニ岳(9:15)-野塚岳(13:00)-オムシャヌプリ(14:50)-オムシャヌプリ東峰南Co1310=C12(15:20)
 晴れのち曇りのち雪。風のない引き締まった冷気の中を小気味よく歩くと次第に指先に血は巡り、新しい一日がはじまる。ピリカの山頂に着くころにちょうど山脈はモルゲンロートに燃えた。トヨニから下ってスノーシューにする。オムシャヌプリ手前から雪が降り出し、オムシャ東峰から下ってすぐの岩陰に泊まる。また寒い夜は嫌だなと思ったが、腰も心配なので寒いテントの濡れたシュラフに潜り込む。


久しぶりに自分の顔を見た。
4/9 C12(4:35)-十勝岳(5:20)-楽古岳(9:10)-ピロロ岳(12:00)-広尾岳分岐(15:00)-Co840コル手前=C13(16:00)
 快晴のち曇り。風もほとんどないのに楽古岳手前まで防寒着を着たまま歩き驚く。寒いからなのか、身体の発熱能力が低下しているのか。楽古岳から下ってスノーシュー。急な下りは滑っていく。広尾岳分岐を過ぎてどんどん標高を下げ泊まる。あとはもう大丈夫だと安心して酒を飲み干す。


4/10 C13(5:50)-△1121(8:00)-猿留川林道(10:00)-トヨニ湖(16:00)-沼見峠南Co300=C14(18:00)
 曇り時々小雪、雨。見栄えの良い三角点1121を最終ピークとする。振り返る山脈は雲の中だ。コンタ尾根を猿留川に下る。林道の上部は橋がなく三度転石徒渉。時折雨宿りしながら荒れた林道の熊の足跡を追い、豊似湖へと登り返す。雪を繋いで豊似湖裏の峠を越え、ずぶ濡れになって林道に出て泊まる。

15日目。雨の中襟裳岬に到着。まだまだ元気だったが、体重は5kg近く減っていた。
4/11 C14(6:30)-襟裳岬(11:30)
 雨。百人浜に出てえりも岬まで。

15日間の縦走を終え辿り着いたゴールでは、体重は5kg近く減ってしまっていたがまだまだ歩ける気がした。毎日感動的な山の姿を見ながら歩き、訪れたことのある場所を通っては、あのカールで泊まったなとか、あの沢を登った時はひどい目に遭ったな、などと思い出しながらの気持ちの良い縦走だった。日高での思い出に限らず、多くの仲間の顔が浮かんだ。こんな体験は初めてだったし、他の山域ではこんな気持ちにならなかっただろう。30歳、山を志してちょうど一回り12年の節目の登山だった。これまで山行を共にしたり刺激を与えてくれた仲間たち、山の楽しみ方を教えてくれた先輩方、応援してくれた良き妻と素晴らしい山々に感謝する。
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