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書評・出版・ 2007年1月12日 (金)

書評・『北海道中央分水嶺踏査記録〜宗谷岬から白神岬まで〜』/米山(1984入部)

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『北海道中央分水嶺踏査記録〜宗谷岬から白神岬まで〜』

発行:日本山岳会北海道支部
2006.10.14
A5版188ページ/1000円
昨年貫徹した、日本山岳会の日本列島中央分水嶺踏破計画というのがあった。その一環、北海道支部の2004年から2006年にかけて2年半の記録集。宗谷岬から白神岬まで約1130km。201回の山行、延べ968人を掛けて繋いだ。編集代表の高澤光雄氏に部報14号の返礼に頂いた。


道のない部分がほとんどなので、冬季と残雪季が稼ぎどころだ。この割合も、踏破距離も北海道が全国でダントツらしい。当然ながらマイナーな稜線の貴重な記録が山盛りである。一回あたりの山行人数は一人の区間もあり20人近くの区間もある。メンバーをみると中心実働メンバーは10人前後。山行日数は長くて4日、殆どは日帰りか一泊でコツコツ繋げた。なるべく沢山の人が参加する趣旨なので、長期の計画で一気に稼げなかったという。

日本山岳会といえば近年は実際に山に登らぬサロン的印象が強かった。それは若手がいないからである。にもかかわらずこれだけの快挙を挙げているのは、長く山行経験を積んだメンバーが豊富な為であろう。このテーマは一見地味だが玄人向きでやりがいあるおもしろいテーマだということが、文章を読めばわかる。当人達の達成感はさぞや大きい物だろうと思う。経験豊かな熟年メンバーだからこそ価値を知り、貫徹できる良い課題を見つけた物だと思う。

これだけの大作戦なのだから、もっと若い世代も巻き込んでできれば良かったと思う。しかしそもそも今や広い世代を抱える山登り集団自体が存在しないのではあるが。日本山岳会がこれからどうなっていくべきなのか少し考えた。「最も伝統あるただの一山岳会」で居続けられるのは、今回の主力メンバーの世代で最後ではなかろうか。今後はフランス山岳会やドイツ山岳会のように、より公共性の強い、すべての登山者の為になる、日本を代表する山岳組織の役割を担う事を期待している。その意味で他団体の投稿など緩やかな参加を認めた「きりぎりす」を発行している日本山岳会青年部の活動に注目している。

以前から宗谷岬〜襟裳岬の踏破をライフワークにしていた日本山岳会北海道支部長にしてルームOBの新妻徹氏(1950年入部)自身が今回、率先して結構な区間を繋いでいる。日本山岳会北海道支部が北大山の会のように名実ともに「実際に山に登らぬサロン」となっていないのは、新妻氏のようにマジな山をやめない熟年登山者実働部隊がいるからこそであろう。

初踏査や顕著な記録などの歴史も盛り込んで全域を解説した高澤光雄氏によるパート、今は現役を退いた先達の、回想を含む寄稿文なども随所に添えて(野田四郎OB〈1947年入部〉の十勝大雪冬季初縦走回想もある)、単なる報告書以上のおもしろい本になっている。今後はオホーツク/太平洋の分水嶺、樺太の分水嶺も視野に入れているとか。期待している。
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